イスタンブール 旅のつづき

以前旅の終着点だったイスタンブールに戻ってきて、生活を開始。また旅のつづきを始めたい・・・

イラク越境

2007-10-19 06:16:12 | 政治関連
[アンカラ 17日 ロイター] トルコ議会は17日、イラク北部のクルド人武装組織を掃討するため、軍による越境攻撃を承認した。西側諸国やイラク政府はトルコに対し、軍事行為を控えるよう求めている。議会は賛成507、反対19の賛成多数で攻撃を承認。これを受けてブッシュ米大統領は、越境攻撃は北大西洋条約機構(NATO)のメンバーであるトルコにとって利益にならないとの見方を示した。
米政府は、トルコ軍の攻撃によってイラクで最も平和な地域の安定が崩れ、イランなど他の勢力の介入によって混乱がより広い範囲に拡大することを懸念している。イラク政府は17日、トルコに代表団を派遣し、危機の平和的解決を試みると発表した。NATOと欧州連合(EU)も攻撃を控えるようトルコに求めている。
トルコのエルドアン首相は、直ちに攻撃が行われるわけではないとしているが、議会の承認を受け、トルコ軍は必要と判断すれば越境攻撃を開始する法的根拠を得たことになる。
イラク北部を拠点とするクルド人非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)によるトルコ軍への攻撃が続くなか、エルドアン首相は国民から対応を強く求められている。トルコ政府のこうした姿勢を受けて、原油相場は1バレル=88ドルを超える記録的水準に上昇。
トルコのエネルギー省高官がロイターに明らかにしたところによると、政府は武装勢力による破壊行為の可能性に備え、アゼルバイジャンとトルコをつなぐ原油パイプラインの警備体制を強化したという。チチェキ副首相は議会で、越境攻撃を行う場合、ターゲットとなるのは約3000人とみられるPKKメンバーのみだと述べた。また、テロとの戦いでは今後も経済的または外交上の手段を用いる意向を示した。

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ここ一ヶ月くらいで民間人、軍人30人近くがPKKにより殺されているので、今の国民感情的には避けられないのだろうなぁ。とはいえ、確かに平和的な解決が望ましいのであって、ここで攻撃した所で火に油を注ぐだけだから。
とはいえ、イラクを勝手に(正当な理由もなく)攻撃したアメリカに「イラクの治安がこれ以上乱れては困る」なんて訳の分からん理由で反対される筋合いはないとは思う。誰が今の惨状を招いたのだと。こういう所がアメリカ嫌いではあるな。
(アルメニア虐殺を歴史的に認めるなんていう法案がこないだアメリカ議会でも可決されたけど、人の事言う前に自分のやっていること冷静に見つめろよと思ってもしまうけど。)

ま、とは言ってもここにいる人間として、「トルコ、イラク越境」なんてニュースが流れるや為替は敏感に反応してリラ安の動きを見せるくらいだから、ちょっとくらい攻撃しても、、、なんて自分勝手なことも思ったりもするけど。リラ高を何とかしてもらわねば困る。

新大統領

2007-09-03 05:39:25 | 政治関連
先週の話しだけど、28日に第11代トルコ新大統領が誕生した。新大統領はAKP(与党)の元外務大臣Gül。前回の大統領選では野党CHPの投票拒否により無効となり、それが元で総選挙にもなったのだが、結果AKPの圧勝に終わり、大統領選も特に問題もなく進んだ。

AKPが大統領、首相と占めてしまってはいわゆるトルコの政教分離が崩されるとか、Gülの奥さんが頭に被っているために「今後イスラム色が強まっていく」などと色々な憶測が飛んだ上、大統領就任式には軍の最高幹部がこぞって欠席するなど空気はあまり良くない。とはいえ元外相のGülはアメリカ寄り、かつEU加盟交渉を行うなど欧米には受けが良く、彼らはこの選挙を評価している。
と、何とも矛盾に映ってしまうのだが。

いずれにせよ、選挙の影響で経済的に悪化していくと言われていたのも取り越し苦労で、トルコリラは強さを保ったままである。トルコは歴史上軍部が強く、政治的におかしな動きを見せる(政教分離が崩れる)ようなことがあると、公然と政治に介入していく。かつて3度ほど介入し、政権は交代している。

そのため、そんなことは繰り返さぬまいとGülは今の所は穏健な動きを見せている。軍部はトルコ建国の父アタトゥルクの思想(政教分離)を守っており、そのためどんな政治家であろうと逆らう事はできないであろう。その点思想が忠実に守られてはいるものの、どうも古い感じを受けてしまう時もある。

トルコ史上でイスラム教政党が大統領、首相を同時に務めたことはなかったので、これからまた新しい歴史が始まるといえる。

大統領選

2007-04-30 07:36:32 | 政治関連
今、トルコでは大統領選が行われており、大統領は議員選挙で首相は国民選挙となっている。与党のAKPからGül外相が候補となり先週第一回目の選挙が行われたが、550定員の2/3を獲得できず第一回目では決定は持ち越された。

そして野党CHPはAKPがイスラム色が強いことから首相Erdoanに続き大統領までAKPとなった場合に「政教分離」が崩れるとして強い反対を示している。実際にも第一回目の投票も参加せず。

そしてCHPはGül候補を無効とすべく、約10年前に民主主義ではなくてイスラム政権が望ましいという発言をしたこと、また第一回目で2/3に満たなかったことを受けて立法局へ裁判の申し立てをしている。その結果は5/2の第二回選挙の前に結論が出されるとされている。

そこへ圧力をかけようと反AKP、「政教分離」の確立を望む国民のデモが今日行われ、5/1にも2回目が行われる。

新聞で読んでいたので「あるなぁ」程度でしか思っていなかったが、今日朝起きて外に出てみたら家から数mの所からデモの行進は始まっており、友達と急遽参加することに。

Mecidiyeköyの家近くの交番前。


そこから行進は続く。


今日はどちらかというと比較的緩やかな方らしく、子供、女性も交えて家族で参加する姿を多く見かけた。途中の公園ではみんなくつろいでいたし。





ただ、5/1はより本格的なデモらしく、トルコ人もできるだけそこには近づかない方がいいと言っていた。


なかなか日本にはこの「デモ」というのが一般的ではないので、なかなかピンとこない。国民に与えられるべき「権利」を要求する、ということがないとトルコ人に言った所で、なかなか理解はしてもらえない。
「要求しないのであれば日本国家は国民に権利を最大限に与えれているんだね」と言われてしまっては、確かにでは何を要求するのだろうと思ってしまう。平和ボケというか・・・

決してお金をもっている経済大国だから、というのは成り立たないだろう。アメリカでも欧州でも国民は権利を、あるべき姿を国に要求する。そして反論を唱える。まあそこでもじっと耐えてというのが日本国民なのかもしれないが。


それはさておき、熱い国民性のトルコなのでデモなど当たり前だが、今日は中に入ってみて面白かった。また大統領選の結果は後ほど。

テロとクルド人とイラク

2007-04-10 06:47:23 | 政治関連
今日、15時頃に隣駅のosmanbeyから歩いていたらバスが道の真ん中に止まり、周りが立ち入り禁止になっていた。すぐにバスに爆弾が仕掛けられているのだろうと分かった。というのも朝の新聞で昨日taksim(新市街の中心地)の路上に爆弾が置かれたという記事を読んだばかりだったからだ。この手の爆弾騒ぎは頻繁ではないものの稀にある。

朝の新聞によれば爆弾騒ぎの犯人はクルド人の女性テロリスト(PKK)3人らしく、詳しくは書かれていなかったが、現場から立ち去る際にすぐに捕まったらしい。

残念ながらいつも持ち歩くカメラを持っていなかったので写真はないけれど、分厚い防護服を着た爆弾処理班によって30分ほどで処理された。ちなみに現時点では誰の犯行かは分かっていない。


と、今日の出来事は最近起きている色々な事件とも無関係ではないのかと思う。というのもトルコ南東部のクルド人が住むエリアではクルド人の独立を求めるPKK(クルド人労働党)とトルコ軍との間で定期的に戦闘が起きており、つい最近もトルコ軍、クルド人に死者が出たばかり。

また、イラクのクルド民主党(KDP)のバルザニ議長(イラク大統領タラバニの息子)は昨日、「トルコがイラク東部のキルクークに干渉するのであれば、我々もトルコのディアルバキル、南東部のクルド人に干渉する。今はその状態ではないけれど、10~15年でクルディスタン国家を築く」と脅しとも言える発言をしたことから、トルコの政府関係者はバルザニを仮想敵とみなして対応せねばならないとコメントしている。

クルド人とは?
簡単に説明すると人口は3000万人ほどで世界最大の国家のない民族と言われ、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニアの一帯で生活している。かつてのオスマン帝国内に広く分布していたクルド人もトルコ建国の際に独立を勝ち取れず、各国に散らばってしまい、トルコ内では「クルド人は民族として存在しない」とされクルド語の使用が禁止される、クルド人を主張すれば牢獄されるなど迫害を受けてきた。但し、今ではEU加盟を目指すトルコの下、多少なりとも改善はされているものの、もちろんクルディスタンの建国などは議論もされてはいない。




つまり、今回のイラクのバルザニ議長の発言はトルコにいるクルド人を更に刺激することにもなり、トルコは強い反応を示すであろう。

もともとこのイラク北部のキルクークは石油があることから、キルクーク-ジェイハン(トルコ)はパイプラインで繋がれ輸送が行われていた。しかし度々テロの標的となった事から2003年に輸送が停止されている。しかし石油資源のないトルコとしてはその確保のため、キルクークとの交渉はうまく進めたい所。
とはいえ難しい問題もあり、今年の2月にはイラク石油国営販売公社は今後イラク北部から石油を購入する際はクルド自治政府との交渉をするようにと通達し、問題となった。というのもクルド人自治政府など認めたくない(というのはクルド人としての存在自体を認めたくない)トルコとしては交渉もできないと突っぱねた。

なので今回のトルコのキルクークへの干渉というのはそこに住むトルコ寄りのトルクメン人への干渉なのではないかと思っているのだが。

というのもキルクークにはクルド人、トルクメン人、移住してきたアラブ人が住んでおり、今年中に誰の土地であるのかという住民投票が行われることになっている。それによってキルクークの石油の行方も変わってくるのだろう。


私の推論もだいぶ入っていますが、今後、この手の話題は増えてきそうな気がします。まあテロがあるとは言っても、旅行は大丈夫だと思いますので・・・

世界の警官

2007-03-13 21:01:42 | 政治関連
トルコ猛反発 米のアルメニア人虐殺非難決議案 「穏健な日本」と対極

【ワシントン=古森義久】米国議会の下院に90年前のアルメニア人虐殺でいまのトルコを非難する非拘束の決議案が出され、採択される見通しも生まれてきた。現在のトルコ政府は同決議案に猛烈に反対し、もし可決の場合にはトルコ国内の米軍による基地使用をも制限すると言明し、両国関係の危機までが語られ始めた。米議会民主党が日本の慰安婦問題糾弾の決議案を審議する状況と酷似しているが、トルコの対応は日本のそれとはまったく異なっている。

同下院には1月末、1915年から数年間に起きた「アルメニア人虐殺」を非難し、その非難を米国の今後の対トルコなどへの外交政策に反映させるという趣旨の非拘束の決議案が民主党アダム・シフ議員(カリフォルニア州選出)らによって提出された。虐殺開始の記念日とされる4月24日までに本会議で採決される見通しだ。

アルメニア人虐殺とはオスマン帝国時代のトルコにより帝国領内少数民族のアルメニア人約150万人が虐殺されたとされる事件。欧米の歴史学者の間でも「トルコによるジェノサイド(事前に計画された集団虐殺)」とされ、今回の決議案でもその用語が使われている。

しかしトルコの歴代政府も国民多数派も集団虐殺とは認めず、現政権はアブドラ・ギュル外相をこの2月、ワシントンに送って米側の政府や議会に対し同決議案が採択された場合、トルコ国内の反米感情が燃え上がり、政府としても自国内のインジルリク基地などの米軍による使用を禁止あるいは制限すると警告した。

米国議会が外国、とくに同盟国の歴史的な行動をいま取り上げて非難するという動きは、日本の慰安婦非難決議案のケースとまったく同じだ。しかし、トルコが対米安保関係を変更してまで国家をあげて猛反対するという点は日本の対応とはまるで異なっている。

http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070311/wld070311000.htm



記事の通りで、その対応の違いと言ったら情けない限りですね。

そして隣国にいるのでイラクについてはよく情報が入ってきて、今でも自爆テロなどでほとんど毎日のように人が死んでます。自爆テロはアメリカのせいではないにせよ、現状を招いたのはイラク戦争を始めたアメリカ。その戦争で何人を殺し、そしてつい先週も治安維持のためとはいえイラクへ増兵する決議案が出されたばかり。

いやいや自らを棚に上げてよくまあここまでできますね、アメリカも。


ちなみに、同様にフランスがアルメニア虐殺を否定した場合に罰則とする法律がフランス下院で採決された時は、トルコで大規模の抗議デモが行われ、フランス大使館周辺は警備隊で固められていたのに比べれば、対アメリカには新聞の論調もそこまで厳しくなく、抗議デモも行われていない。

ここぞとばかりにアメリカには厳しくいくかと思ったけど、意外に静か。対米安保関係を変更してまで国家を挙げて猛反発という雰囲気はテレビ、新聞でもそこまで伝わってこないので、日本ほど弱腰ではないにせよ、やっぱりトルコもそこまで強くはないかなぁとちょっと残念。(対フランスへの圧力に比べれば、やはり劣る・・・)

オルハン・パムク氏

2007-02-09 09:22:50 | 政治関連
遅ればせながら昨年ノーベル文学賞を受賞したオルハン・パムク氏の『Benim adım kırmız(わたしの名は紅)』を読み終えた。近所の友人から原書を借りたけれどもとても読めなかったので、読んだのは日本語版です(トルコ人にとっても彼のトルコ語は読み難いようです、念のため)。

オスマントルコ帝国時代の細密画家たちの芸術性の高さ、そしてイスラム教の中で生きる画家たちが盲目になるまでその腕を磨き、ついにはアラーの神が見る世界、つまり真の世界を表現し、しかしヨーロッパから来る新たな芸術の中で苦悩する細密画家たちを見事に描いている。その宗教的な背景、文化的・歴史的な側面もさることながら、単にミステリー(犯人は誰か)として捉えても十分に面白い。

日本語でも最初は取っ付き難いですが、興味のある人は是非手に取ってみては


さて、そのオルハン・パムク氏、最近ドイツの大学に講演に行く予定が急遽延期にしたことで、同氏に対してではなく、トルコ政府に対して批判の声が上がっている。というのも、先日も書いたが記者フラント・ディンク氏が殺害された事件の背景と同様に、オルハン・パムク氏も以前アルメニア人大量虐殺は事実行われたと発言したことから、トルコ政府より国家侮辱罪で訴えられていた。

フラント・ディンク氏を暗殺した犯人が捕まった際、「オルハン・パムク氏も気をつけろよ」というようなメッセージを残したことから身の危険を感じた同氏が今回の渡航延期を決定した訳だが、ようはアルメニア人大量虐殺を認めないトルコ政府を、そしてそれに対して反対を唱える者が殺害されている(身の危険を感じている)状況に対しての批判である。

最近は、この手のニュースが多い。

先日もフラント・ディンク氏を殺害した犯人がイスタンブールからサムソンに逃走後、同地で逮捕されて警察に連行されたが、その後警察で身元確認等が行われている時、この殺害をやったことを批判するどころか褒め称え、「君は英雄だ」と言った警官がトルコの国旗を掲げて一緒にカメラを取っていた等の報道(ようは一部の警官が殺害を容認するような態度を取った)がされるなど、連日絶えない。


また、フラント・ディンク氏の葬式では何万もの人がイスタンブールの街中を歩いたのだが、その際"Hepimiz Ermeni'yiz"(皆アルメニア人)というプラカードを持って歩いた。ようは、みんなアルメニア人、アルメニア人と一緒、という平和のメッセージを込めたのだろう。とはいえ、その後各地でサッカーの試合等の人が集まる場では、"Biz Ermeni değiliz. Türk'üz.Hepimiz Mustafa Kemal'iz"(おれらはアルメニア人ではなくトルコ人。そして皆アタトゥルク(の子)だ。)というプラカードを持って反発しているようだ。アタトゥルクはトルコ建国の父です。

この祖国、民族を巡る議論が多少沸き起こっている、今日この頃。

次は、『雪』を読もうと思います。

アルメニア人記者 殺害

2007-01-21 23:05:19 | 政治関連
19日、アルメニア人の記者Hrant Dink氏がトルコ人青年に殺された。同氏はアルメニア語、トルコ語の週刊誌「Agos」を発行しており、以前には第一次世界大戦でのトルコ人によるアルメニア人大量虐殺を認める発言をしたことから国家侮辱罪で訴えられていた。また、一部民族主義者から反発を招いており、脅迫されるなどの被害にあっていたものの、Hürriyet紙によれば、「恐怖を恐れて隠れて生活するような事はしたくない」と普通の生活を続けている中で現実のものとなった。

19日15時に起きたこの事件を受け、同日夜にはIstanbulの中心部、Taksim~Osmanbey間を殺人に対する抗議活動として約1万人近くの市民が行進した。

20日の土曜日には朝からテレビ、新聞とメディアがトップで取り上げた。

私が住むMecidiyeköyはOsmanbeyとは一駅の距離なので、朝の散歩がてら歩いてみた。事件のあった場所はすぐに分かった。多くのメディアが駆けつけ、また休みの朝にも関わらず数百人の市民が足を止め、花束を上げており、多くの人が彼の写真を切り取って胸に付けていた。

その多くはトルコに住むアルメニア人と思われるが、トルコ人はこの事件をどう捉えるのか気になる所である。同日のHürriyet紙の一面は、「殺人者、売国奴!」といった書き方がされていた。ちなみに、日曜日の今日、犯人はSamsonで捕まった。


さて、アルメニア人の大量虐殺についてはトルコ政府は「虐殺はない」と主張しており、先日ノーベル文学賞を受賞したOrhan Pamukもそうであるように、虐殺を認める発言をした場合には国家侮辱罪で訴えられる。

これに対してトルコが加盟を望むEUではトルコがその虐殺の事実を認めてアルメニアとの国交を正常化するようにと要求しており、昨年にはフランスの下院で「トルコのアルメニア人に対する大量虐殺を否定する演説や出版物を発行をした場合は、罰則を科す」という法案を可決している。すでに2001年には同虐殺を認定する法律が公布されており、その時同様に、昨年末にかけてフランスとの間に緊張があった。私の通うTaksimのフランス大使館には常に警官が常駐していた。

これについてはトルコ政府が公共入札についてはフランス企業の共同入札を禁止する可能性もあるなど、過激な対策が取られる可能性があると報道されていたが、今の所は落ち着いているようだ。

こうした背景がある中での今回の事件。EU加盟交渉にも一石を投じそうだが、それ以上にアルメニアとの関係に再び焦点が当たりそうだ。


ちょっと堅くなりましたが、今一番ホットな話題なもので。
昨日はトルコ若手新年会でウズベキスタンウォッカを飲みすぎて頭がまだ痛いので、明日また。少なくともトルコ人の友人はどう捉えているのか、気になる所である。

エジェビット首相 死去

2006-11-09 08:02:04 | 政治関連
トルコ首相を1970年代に4期、1999年から2002年にかけてさらに1期務めたビュレント・エジェビット氏が5日、アンカラ市内の病院で死亡した。

目立った事柄としては、74年のキプロス介入を率いるなど、民族主義的な政策で知られたが、99年の5期目就任以降は、国営企業の民営化や欧州連合(EU)加盟へ向けた交渉を進めるなど、新欧米路線に転じた。
しかし、01年の金融危機や自身の健康不安などから辞任要求が強まり、02年の選挙では得票率1%と惨敗を喫したようだ。

もちろん政治家であるので賛否両論があるし、近所のロカンタの兄ちゃんとしゃべっていた時も、「たいしたことしてないし、、、」と別に悲しそうな感じでもなかった。それは得票率1%が物語っているのかもしれない。

ただ、それから毎日のようにニュースで過去の功績などが流され、死を悲しむ市民等の声が取り上げられていた。そして何より驚いたのは、近くの巨大ショッピングセンター(Cevahir)で知り合ったcafeで働くトルコ人は、週末にアンカラで行われる合同葬儀に参加するため、わざわざアンカラまで日帰りで行くと言う。

彼は俺より年下だし、cafeで働いているだけなのでそこまでお金もあるのかと思ってしまう。非常にいい奴ではあるのだが。それでもアンカラにそのために行くという気持ちを未だに理解できない。日本でそんなこと考えたこともなかったし、少なくともそう思わせる政治家などいない・・・

トルコ兵レバノンへ

2006-10-21 10:22:52 | 政治関連
今日、トルコ兵がレバノンへ到着した。

イスラエルのレバノン侵攻後、現状ではイスラエル軍の撤退によりイスラエルとレバノンのイスラム教シーア派武装組織、ヒズボラの間は停戦状態にあるものの、停戦を監視する国連レバノン暫定駐留軍(UNIFIL)に参加するため、イスラム教国としては初めての派兵となる。

トルコ国内では9月の議会での承認以降、トルコ兵がレバノンへ派兵する必要性がない、またはレバノン兵、市民と戦火を交える可能性があるとして反対活動がイスタンブールの各所で行われていた。
(写真は先月のTaksim Istiklal Caddesiの路上での抗議活動。)






トルコはイスラエルとは良好な関係を築いており、先に触れたBTCパイプラインを更に延ばしてイスラエルのエネルギー確保のために供給するという話しが以前出るほど、貿易面での取引等、関係は良い。一方でイスラエルとイスラム諸国との関係が悪いの周知の事実であり、トルコは外交上アメリカとの関係を良好に保ち、イスラエルとの関係も築いていくなど、いわゆるイスラム諸国とは外交上一線を画している。
とはいえ今回の派兵に対する一般国民の反対は強い。

トルコの中東における役割は、中東のイスラム諸国と欧米諸国との間に立ち、中立的な立場で間に立てると思っているが、その道のりは長いようだ。

アルメニア問題

2006-10-20 01:10:31 | 政治関連
最近学校でアルメニアに絡んだ問題に焦点があたることが多い。

今日も先生が「日本と韓国、もしくは中国との間で戦争時の虐殺等を巡って議論にはならない?」と議論を振ってきた。
隣には韓国人が座っているので、「確かに問題になることはあるし、実際中国との間では日本に対して大きなデモも行われた。ただ、若い世代では芸能面など交流が行われていて、多少問題が薄まっているようにも思うが、引き続き問題である。」とだけ話した。

隣国との関係。
2005年の中国全土に広がった反日デモが記憶に新しい。それ以外でも戦争時の歴史解釈を巡る歴史教科書問題、中国との間では東シナ海のエネルギー権益を巡る領土問題、韓国との間では竹島領土問題と問題は多い。

もちろんトルコにおいても同様で、世界中のどの国でも隣国との間には何らかの問題があるようにも思える。

・トルコ-ギリシャ
キプロスの領土を巡る問題

・トルコ-アルメニア
オスマン帝国によるアルメニア虐殺問題


前置きが長くなったが、先週の12日にフランス議会(下院)である法案が可決された。
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フランス国民議会(下院)はオスマン・トルコ帝国によるアルメニア人虐殺を演説や出版物の中で否定すれば、罰則を科すとの法案を賛成多数で可決、上院に送った。フランス政府はトルコとの外交関係を損なうとして法案に反対。
下院採決では党派を超えて賛否が割れた。法案が上院でも可決されるかどうかは微妙な情勢。

フランスでは既に、当時のアルメニア人殺害を虐殺と認定する法律が2001年に公布されている。これを基に今回の法案は、虐殺を否定した市民に1年の禁固刑または4万5000ユーロ(約675万円)の罰金を科す内容。フランスのアルメニア系市民は約50万人とされ、法案はこうした市民の働き掛けを背景に野党社会党が提出した。
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これに対して虐殺を史実と認めていないトルコ政府は強く反発しており、トルコ外務省は、「両国の関係に重大な打撃をもたすらもので、極めて遺憾」と声明を発表。
その後もトルコの新聞によれば、トルコ政府は公共入札に関してフランス企業との共同入札は認めないとする報復措置を検討している。


同法案可決後、学校に通う途中のTaksim Istiklal Caddesiの一角にあるフランス大使館の前では度々トルコ人よる抗議活動が行われ、今も大使館を囲むようにトルコ警察が駐在、警備にあたっている。フランス製品の不買運動のような行為にはなっていないが、トルコ人の反発は強い。

虐殺の事実を認めないトルコとアルメニアとの間には国交はいまだに樹立されていない。これがキプロス問題と並ぶトルコのEU入りを妨げる一つの原因であると考えられている。

人道的見地での問題ももちろん、EU加盟問題と絡んでまだまだ問題となりそうだ。

まだまだこの歴史問題を十分知らないからだとは思うが、トルコは事実であるならば認めなければいけないという気持ちと、一方でフランスの法案は妙な違和感を覚える。(アルメニア人虐殺問題