イスタンブール 旅のつづき

以前旅の終着点だったイスタンブールに戻ってきて、生活を開始。また旅のつづきを始めたい・・・

アルメニア問題

2006-10-20 01:10:31 | 政治関連
最近学校でアルメニアに絡んだ問題に焦点があたることが多い。

今日も先生が「日本と韓国、もしくは中国との間で戦争時の虐殺等を巡って議論にはならない?」と議論を振ってきた。
隣には韓国人が座っているので、「確かに問題になることはあるし、実際中国との間では日本に対して大きなデモも行われた。ただ、若い世代では芸能面など交流が行われていて、多少問題が薄まっているようにも思うが、引き続き問題である。」とだけ話した。

隣国との関係。
2005年の中国全土に広がった反日デモが記憶に新しい。それ以外でも戦争時の歴史解釈を巡る歴史教科書問題、中国との間では東シナ海のエネルギー権益を巡る領土問題、韓国との間では竹島領土問題と問題は多い。

もちろんトルコにおいても同様で、世界中のどの国でも隣国との間には何らかの問題があるようにも思える。

・トルコ-ギリシャ
キプロスの領土を巡る問題

・トルコ-アルメニア
オスマン帝国によるアルメニア虐殺問題


前置きが長くなったが、先週の12日にフランス議会(下院)である法案が可決された。
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フランス国民議会(下院)はオスマン・トルコ帝国によるアルメニア人虐殺を演説や出版物の中で否定すれば、罰則を科すとの法案を賛成多数で可決、上院に送った。フランス政府はトルコとの外交関係を損なうとして法案に反対。
下院採決では党派を超えて賛否が割れた。法案が上院でも可決されるかどうかは微妙な情勢。

フランスでは既に、当時のアルメニア人殺害を虐殺と認定する法律が2001年に公布されている。これを基に今回の法案は、虐殺を否定した市民に1年の禁固刑または4万5000ユーロ(約675万円)の罰金を科す内容。フランスのアルメニア系市民は約50万人とされ、法案はこうした市民の働き掛けを背景に野党社会党が提出した。
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これに対して虐殺を史実と認めていないトルコ政府は強く反発しており、トルコ外務省は、「両国の関係に重大な打撃をもたすらもので、極めて遺憾」と声明を発表。
その後もトルコの新聞によれば、トルコ政府は公共入札に関してフランス企業との共同入札は認めないとする報復措置を検討している。


同法案可決後、学校に通う途中のTaksim Istiklal Caddesiの一角にあるフランス大使館の前では度々トルコ人よる抗議活動が行われ、今も大使館を囲むようにトルコ警察が駐在、警備にあたっている。フランス製品の不買運動のような行為にはなっていないが、トルコ人の反発は強い。

虐殺の事実を認めないトルコとアルメニアとの間には国交はいまだに樹立されていない。これがキプロス問題と並ぶトルコのEU入りを妨げる一つの原因であると考えられている。

人道的見地での問題ももちろん、EU加盟問題と絡んでまだまだ問題となりそうだ。

まだまだこの歴史問題を十分知らないからだとは思うが、トルコは事実であるならば認めなければいけないという気持ちと、一方でフランスの法案は妙な違和感を覚える。(アルメニア人虐殺問題

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3 コメント

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アルメニア人虐殺問題 (琥珀)
2006-10-24 01:03:34
折りしも、トルコ人作家オルハン・パクム氏がノーベル文学賞を受賞したのと同時期のこのニュース。

「アルメニア人(キリスト教徒?)虐殺」を認める発言をして、トルコで国家侮辱罪で起訴されたこともある氏(現在は公判を打ち切り、氏を放免)の受賞はなんだかタイムリーすぎて穿った見方をしてしまいます。



来月はローマ法王がトルコを訪れる予定だし、またひと悶着ありそうな予感。



それはさておき、オルハン・パクム氏の作品は「わたしの名紅(あか)」と「雪」が邦訳出版されていますが、「The White Castle」「İstanbul: Memories And the City」などはまだ邦訳されていないので、Cimbomさんは原書で是非
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özür dilerim! (琥珀)
2006-10-24 12:26:53
オルハン・パムク氏の間違いでした~

最近職場で韓国人の朴さんとよく話していたからごっちゃになってしまいました、申し訳ない。



bayramin mubarek olsun
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RE: (cimbom)
2006-10-28 04:54:40
確かに日本の田中さんがノーベル化学賞を受賞した時の騒ぎからすれば、オルハンパムクに対するトルコメディアの扱いは低いね。受賞以降目立って報道もされてないし。

穿った見方というか、アルメニア虐殺を肯定するオルハンパムクだからこそ受賞できたという報道はこっちではやはり多いね。

(ま、おかげで村上春樹が受賞できなかったのだとすれば、そこまで春樹好きではない私からすればまあ良かったかと。。。)



さて、今日日本から来た友達に「私の名は紅」は持ってきてもらいました。笑 

原書で読むにはもうちょっと時間が必要・・・
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