突然ですが、問題です

60 ÷ 2 × 3 = ?
答えは何でしょう?
10でしょうか?90でしょうか?
算数問題なので、答えは1つです。
今日は少しだけ議論に付き合ってください

ちょっと長いのですが。
こちらカリブ共通で使われている教科書に

BODMAS(ボドマス)

という計算の順序を示すやり方が載っています。
B=Bracket (かっこ)
D=Division (割り算)
M=Multiplication(かけ算)
A=Addition (たし算)
S=Subtraction (ひき算)
この順番で解きなさいと、教科書では教えています。つまり、
2×(3+4)-5 = 2×7-5 = 14-5 = 9
てな感じです。当たり前にできますね。
しかし、この方法を使うと間違ってしまう問題が出てきます

15-5+3=?
BODMAS(ボドマス)を使うと答えは、15-5+3=15―8=7
しかしこれは間違い。正解は、 15-5+3=10+3=13
なのです。
このくせものBODMAS(ボドマス)

長年教科書に載っているので、先生たちはこれを信じて教えてきました。
ところが、数年前ここにいた小学校隊員たちがこの間違いに気づき
全国を回って先生たちに「これは間違っている」
と教えて回ったので、大混乱
私がここに来た時も、この問題について
「教科書にはBODMASって書いてある。でもJOCV(協力隊)は
それは間違いだって言っている。一体どっちなんだ?!」
と責められたことがありました。私は何のことかさっぱり

?!
そこで、この国の算数カリキュラムオフィサー(算数で一番偉い人)に聞きました。
彼は「BODMASを使うと間違うことがある。」と詳しく説明してくれました
そして今日

この間行ったテストの分析プレゼンをこの地域の6年生の先生たちにしました。
そこでさんざん聞かれていた、この憎き「BODMAS」について
カリキュラムオフィサーの言葉と説明をそのまま伝えました。
しかし、先生たちは理解こそしてくれたものの、返って憤慨

「じゃあ、子どもたちになんて教えればいいんだ?!」
「あんたが教室に来て、子どもたちに説明してくれ。」
とまで。なんか責められてる

?!
私は、ここセントルシアで学力の向上や教え方について、
どうアドバイスしていけばいいのか、よく考えます

こちらにはこちらのやり方があるから

無理に日本のやり方を押し付けるのはよくない、と常々思っていました。
だから、私は返ってここで学ぶことの方が多かったのです
そのうち、ここのレベルで考えていたら、この国のためにはならないのかも
日本の良さも伝えていかなくては、と気づくようになりました

そもそも、日本とセントルシアの算数事情は非常に違うので
日本の良さ取り入れるのはとても難しいのですが。
まぁでも、こちらの先生に私を理解してもらうのは簡単なことではないので
はじめはクラスによく行き、様子を見て『歩み寄り』を大事にしてきました
しかしながら、今日のプレゼンでは

カリキュラムオフィサーの言葉を代弁した、といえども
ここセントルシアの教科書を真っ向から「否定」してしまった形となってしまったのです
算数。答えは一つだから、簡単なことなのに

信じている教科書を否定され、変な日本人が新しい理念を打ち出し
何を信じていいのかわからなくなって、自分がどうし教えればいいのか迷ってしまった・・
先生たちが憤慨するのも納得です。
『歩み寄る』ことと『正しいことを教える』こと。
どっちが大事にしたらよいか・・・矛盾
しかし、間違っているものは間違っている。ちゃんと教えないと。
前回校長先生にやったプレゼンとは違って、憤慨あり、議論あり

みんなクラスを持っている先生だからそれだけ真剣でした。
矛盾を感じ、責められてへこんだものの
それに負けずに、正しいとこを教えてくことは大事だと思えました
さて、ずいぶん長くなりましたが最初の答え、わかりましたか

?
答えは90です。
「かけ算」と「わり算」は、「たし算」と「ひき算」よりも強いのですが
「かけ算」と「わり算」が同時にある時は、「左から順番通りに」解いていくんですよ

あ~こんな簡単なことがわかってもらえないのも、
このBODMASのせいだ

!
なんて、うそです。
私の英語力のせいです


ドラエモンの出してくれる翻訳機が欲しいこの頃です。
写真は、今日のプレゼンの様子