満ちるは桜。

好きなものを書いてる普通の人日記。

テキトーな話を少しとABC座見た感想

2016年10月24日 21時14分02秒 | A.B.C-Z
昨日乗る電車間違えた…(っ´д`;;c)
いつもテキトーに歩いてるから(っ´д`;;c)
というか、多分乗り換えたら辿り着けたんだとわかった。
けど、もう降りた後だった(笑)。
そして!それなら日比谷から一本で行けば良かった〜数倍楽だったもん…

と、心の中でボヤきながら無事行き先に辿り着き、
楽しい時間を過ごして旅は終わりました。
今日はお休みです。寝倒した。

昨日ずーっと、ひとつ前の記事を夕方の空港から書いていて、楽しかったです。
あんな小説もどきを書いてる時点で私は自己愛の塊で、そんな自分にバイバイできません(笑)。
小説書ける人って本当すごいなぁって実感しました。
会話って難しいねー。
でも、あんな話は以前なら書けなかったので、年取るもんだね。

橋本くんはどうしたのかな?
すごいかっこ良かったのに。
はしスタ読んだ感想です。



ここから下、ABC座感想。


というか、のえる君は大丈夫なのでしょうか。
私が最後に見た22日の13時の回では、
本当に目の前数十センチレベルでニコニコ踊っていたので全く怪我とかしていたとかわからず。。。
本当、プロですね。
復帰されてるようなので、駆け抜けて欲しいです。


あ、物語に関しては嫌な事も書いています。
すべてを褒め称えてはいません。
ですので、一切の負の言葉が嫌な方は読まないほうが良いです。

画像はさもう。






ABC座見た時に思ったのは、
「今まで言えなかったけど…」
って、本当嫌いだなって思う。
今言うのに、過去まで否定するのって思う。
あと、他にもグサグサきてるし、
今更書くとラジオでの戸塚さんの五関くんへの「ぬるま湯」発言も実はグサグサきている。
と、私も「今まで言えなかったけど…」を、意味もなく実践。
ジョーくんへの言葉も痛かった。
でも一番気持ちがわかる相手もジョーくんだったなぁ。あと修也。
私もあそこで帰ると思う。言い方までわかる。
あのテンションで「帰るわー、サヨナラ。」ってなる。
ジョーくんは、戸塚さんにとっては普通で特徴が無いから演じるのが難しいんでしたっけ。
ジョーくん、一番わかるよ。
本当、それの為に仕事して稼ぐ、みたいな。
他人には理解してもらうのが難しいとか、
修也みたいな心配してくれる友人とか。
すごいわかるよー。
でも、ジョーくんは悩んでもいると思う。
別に何年もそうしたかったんじゃなくて、
仕事を変えるような強い動機も何も無くて、
第一優先したいものが高校野球だったからコンビニ店員だったんだと思う。
だから、修也に話していた事は、嘘ではないのだと思う。
胸の内すべてを話したわけでもないと思うけど。
まぁ、暇な時間は本当考えたんじゃないかなー。
俺、これで良いのかな?って。
だって年齢がちょうど迷ってても動きやすい年齢だもん。
若い〜若くて動ける〜でも、高校野球が好きだ…けど…
みたいなさー、想像捗るわー。
お人好しで、言いたい事主張出来なくて、
でも本当は思ってる事があって…
ジョーくんは応援屋に就職した事で何か変わるのかもね。
ジャックバウアーが何に出てるか知らないから、
最初何のこっちゃって感じでした(^^;;

今回ストーリーが本当わからないというか、
リリーさんじゃん…何で女の人生やり直すんだよ、とか思う。
そう言えば追って来てくれるとわかってるから言うの?
そもそも社長来てくれるってわかってるか、期待してるでしょ。

最初、なぜ美穂のポーチにあんな手紙入ってるのか謎過ぎて訳がわからなくて、
読まれた内容もなぜポーチにそんなの入れた?って内容で、
でも舞台上の感動オーラが凄まじくて置いてけぼりだった。
しばらくして舞台に全く関係ない時に、
美穂の誕生日が近いから両親に感謝の手紙書いてたんかなー。
と、考えてはみたものの、あんな内容の手紙にはならないよなぁ…
って思いながら「まぁ舞台だもんね」ってなった。
友達も、というか私が母親なら友達気取りの窃盗女はブン殴りたいし、絶対許さない。
もちろん応援屋になど雇わない。
そして、野球部OBの子!
学芸発表会も真っ青なド下手くそが1人いてビックリした。
もう、正直お金もらう側じゃなくて、お金払って観に来てもらう側でしょ?ってレベルで下手だった。

何かね〜、物語の大雑把な流れは、
「家族再生の感動ヒューマンドラマ」
「桂馬の第二の人生の幕開けまで」
的な?そんな感じなのかな?
と、思いつつ、何かね、「?????」ってなった。
そもそも、セリフが聞き取れなかったりするのね。
誰が何を言ってるのかわからないとか。
歌が始まっても、何を歌ってるか聞き取れないとか。
何か「舞台ってこんなもんかな」って思うのは、
安易過ぎる死にネタと天涯孤独ネタ。
去年も人が亡くなったし、死なれるの本当嫌いです。
簡単に人を物語の中で死なせるくせに、
復興とか命を、人生を大事に…なんて言われても素直には受け取れません。
花火の理由とかのくだりね。
正直、物語自体はこんなんでよくオッケーでるなーって、
一回観た時は思いました。
何度か観て、ようやく違う部分の楽しさや、
素直に社長夫婦良かったねって観れましたけど、
あの友達モドキは本当胸くそ悪いです。
数年経ってようやく事故現場に行くことが出来た親御さんに、よくそんな事言えたなって思います。
真っ先に謝りに行かないんだ…って。
言えない事もあるよね…って事なのかな…
夫婦の出会いのエピソードは好きです。
人生ってそんな感じなんだろうなぁ〜って、思います。
あの信号が赤じゃなかったら…
あと3分早く走っていたら…
あそこで止まらなければ…
そんな偶然が重なり、人と人が出会うんですかね。
そこのシーンは好きです。
何だろうなぁ…桂馬のところとかも嫌いじゃないんです。
むしろ、勝てて良かった!ってなった。
Deliciousな愛ってどんな愛?!ってなるけど(笑)。
ABC座の物語は美穂さんとかの一部の許せないモヤモヤが残る話ではある。
題材は好きなのだけど、嫌いなネタも混ざっている感じ。。。
終わり良ければすべて良しって事なんですね。

パフォーマンスや歌は好きで、家で口ずさんでます。
まー、サビくらいしか覚えられなかったけど、
思い出しては楽しく歌っています。
桂馬に「change your mind」って歌いかける所とか好きだし、
「将棋盤」って3人でコーラスしてるのも好きだし、
特に戸塚さんが顔を横に向けてポーズとるでしょ、そこ好きです。
腐れ縁インザレインも好きです。
あれは「ららららららら」ってコーラス参加したーい(笑)。
コーラス良いよね〜(*^^*)
みんながコーラスに参加するのも好きです。
塚ちゃんと五関くんがコーラスみたいに現れて、
マイクスタンド2本使って5人が歌う歌。
あれ、由美子さんも歌詞違って歌ってたりする?
あと、腐れ縁インザレインはアレンジ変えて劇中でBGMになってるよね?
由美子さんや多田さんの歌の良いなーって思うのは、
ミュージカル仕様のセリフにもなる歌って事です。
何を言っているか、伝える歌なんです。
A.B.C-Zは基本的に歌を歌っているから、
そこは何を歌っているかわかるように歌う事は重要視してないでしょ。
でもミュージカルだから聞き取れないの良いのかな(^^;;
あの、人の不幸をクリッククリッククリッククリッククリックの歌で、
多田さんの歌の終わりがね〜好きで。
ちゃんと、音が上がるんだけど弱くなって欲しくない所でさー、
きっちりすごい力強さで歌い切るのよ。
あそこ本当好きで。
A.B.C-Zのショータイムや、
幕が上がると歌が始まるの本当好き。
A.B.C-Zが本当にかっこいいんです。
戸塚さんが本当に気持ち良さそうにしてたりして。
そういうの見てるの楽しいんです。
音楽の中に溶け込んで気持ち良さそうなのって、
あー!良いな〜!ってなるから好きなんです。
音楽と一体化する感覚って良いな〜って。
A.B.C-Zのパフォーマンスが好きだと再確認したABC座でした。
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バイバイ ジコアイ

2016年10月24日 00時49分39秒 | その他
好きな人がいる。
好きな人がいる。
好きな人がいても、何もない。
私は何もない所を見つめて「好きだ」と熱狂しているのかもしれない。
それでも、その人を知りたいと願い、
楽しい気持ちでその人を見つめ、
いつかくる日を恐れながら応援する。
誰を見つめているのだろうと思いながら、
今日もやはりその人を好きなのだった。







その日はいつもと同じような「遠征の日」で、私はいつもと同じようにアイドルを観に行った。
舞台は滞りなく終わり、好きな人を見れた嬉しさと、元々好きなパフォーマンスや歌を堪能する事ができ、満足感で溢れた1日となった。

「今日も良い舞台だったなぁ〜!」

そう思った私は、向かい合わせに座った友人に話しかけた。
「ね、それでね、すごい楽しそうにしててね、見てて嬉しかったんだぁ〜」
「そう、良かったね。」
その話はどうでも良かったよ、という風に友人が相槌を打つ。友人は一口ビールを飲んだ後、
「…私は、ちゃんと現実にあんただけを可愛いって言って大切にしてくれる人に出会って欲しいよ」
そう言って、ため息をついた。
私には好きなアイドルがいる。いつも応援してる、大好きなアイドル。
遠征だってなんのその。今日は久しぶりに会える友人と、舞台を観に行った後に居酒屋で飲んでいた。
彼らは私の目から見るとキラキラしていた。夢を追いかけて…なんていうのも好きな理由だけど、本当に好きな理由なんて今となっては重要では無かった。好きだから、好き。
そんな自分は、相手に恋している感覚で彼らを応援する。
久しぶりに会えた友人と、他愛もない会話をして笑い合った後、またアイドルの応援話に戻った。
「ね、何が楽しいの?いや、純粋に不思議なの。私、芸能人とか興味ないからさ。」
「うーん、なんだろうね。私も別に前は違うアイドル好きだったけど、ここまで応援してないし。」
「でもコンサート最近行ったんでしょ?」
「うん!いったよー。」
「また、どっか飛行機乗って?」
「うん。」
「よくやるね〜…」
「だって、旅行好きだし、アイドル見たいし。好きだもん。」
「確かにさ、そりゃイケメンかもしれないよ。
でも、お金払った先にどうするの?」
「…趣味だもん、何もないよ」
「見てて楽しいだけって事?」
「そうだよ、そりゃそうじゃん。趣味なんだから。」
「なら良いけどさ。私は心配だよ。」



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



嘘をつく事に最近慣れた。
仕事を始めてから、嫌いな人にも笑顔で話せるようになった。
弱い自分を押し殺して、朝から他人と関わる事にたえられるようになった。
負の感情を言葉で変形させ、私は普通の日常をこなしていた。
自分が好きなものを好きと言い続けるのは難しい。
なぜかといえば、あまりに馬鹿げている話だからだ。
もしかしたら、自分が本当だと思ってる気持ちが嘘で、嘘だと思ってる気持ちが本当なのかもしれない。
例えば、私が会社にいると毎日会う宅配の運転手さん。郵便局で見かける局員さん。バスで同じ時間帯に乗る男の人。
こんな人が好きだと言ったら、容易に周りの人に信じてもらう事ができる。その気持ちが本当か嘘かだなんて、何も関係がない。その話に不自然な流れがないからだ。
でも、アイドルが好きだと言ったら、いや、私の年齢では言う事も無理だった。言ってもあきれられる。引かれる。馬鹿げてる。リア恋枠は単なる枠だ。リアルに恋してるとイコールじゃないよ、なんて言われるかもしれない。そう思って、好きな気持ちは応援する気持ちに形を変えた。
何より、自分が一方的に好きなだけで、相手は普通の人間だ。似た年齢の彼らが時折話す日常話は自分にとってリアルなネタだし、似たような悩みを抱える彼らに共感する事もある。それでもそんな魅力的な彼らが日常生活を送っているのだから、私より普通に社会に溶け込んで日常生活を送っている事は痛い程わかっている。彼等はいつか近い未来に新しく自分の家庭を作る事を私たちファンに伝えるんだろう。

友人は、あくまで趣味だと言い切った私に諦めた風な顔をして言った。
「ま、応援も程々にね。いい加減、顔覚えられたんじゃないの(笑)?」
「まさか。私より通ってる人が何人もいる世界だよ。私なんて空気だよ。」
「ふぅん、そんなもんなんだ。
ま、趣味なら楽しんでね。今日はありがとう。」
「うん、私こそ今日あえて嬉しかったよ!また会おうね。私、ホテルこの近くだから。電車また乗り換えだから、あっち行くよね?じゃあね、気を付けてね。」
そう言って彼女と別れた。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


ホテルに戻る道では、飲食店が数件軒を連ねていた。地元より暖かい空気が流れる秋の夜は、気持ち程度に酔った自分の熱を冷ますには心地良い冷たさも持ち合わせていた。
ホテルに帰る道の中、ふと、友人との会話を思い出していた。
「私ら、もう1人だけで物事を済ます年齢じゃないのかもよ。別に男の人と!とかって話じゃなくて。
親とかでもさ、もう、少し考え始めなきゃダメな年齢じゃない?」
「まぁ、そうだね」
「そうだよ、永遠にさ、この生活を繰り返すわけじゃないでしょ。私らがこうやって何の縛りもなく簡単に約束して、会えて、帰りも誰も気にすることなくなんて、続かないじゃない。」
「うん」
「考えちゃうよね」
「うん」
私は夜中まで遊んだりするけど、飲んで酔っ払った事がなかった。酔っ払った後が怖くて、飲めなかった。帰りはいつもはシラフ。他に遅く帰る日は仕事帰り。私の日常には新しい事が入る隙間がいつしか消えた。
そんな事を考えながら道を歩くと、ホテルの近くにあるバーが、まだあいていて、ふと入る気になった。
お酒なんて強くない。飲み過ぎたら吐くだろう。そう考えると更に飲む気は起きないが、ホテルに素直に戻る気にもなれなかった。
遊ぶって何なのかな…
そう思って、お店に入った。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


思えば、中学以降の自分はどう生きていくのか想像しても想像がつかなかった。
でも、早く18禁が見たくて18歳になりたかった13歳の頃から、精神年齢だけ止まって私は社会人になった。
学生時代を経てわかったのは、私は人付き合いが下手くそだという事だった。
距離感がうまくつかめない。
それでも、何とか毎日人に会い、会話し、言わねばならない事を頭で組み立ててから電話をする事を決め、伝える。勤め始めて4日で呼び出しをくらい、コミュニケーションに関する本を渡された私からすれば大きな進歩だ。
多分、ここだから私は社会人なんだろうな、と考えたのは一度や二度じゃなかった。
そんな私は勤め始めてからもう数年経ち、他人からはベテランと言われる年齢になった。
年齢。月日が流れる。歳はとる。でも、学生時代「私、高校生になれるのかな…」そう考えていた自分から、今の自分とどれだけ変わったんだろう。
いや、考えすぎちゃダメだ。私はいい大人なんだ。タクシーの運転手さんとなら適当に話せるようにもなったんだ。
私は大丈夫。私は大丈夫。私は大丈夫。
そう言い聞かせ、店のドアを開け、いつもの自分なら座れないカウンター席に座る。
「どうぞ」
そう言われ渡されたおしぼりの温かさに、少し気持ちがほぐれた気がした。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



メニューにふと目をやると、見事にお酒のメニューばかりがあった。
「何になさいますか」
「あの…アルコールが強くないものって作れますか」
「作れますよ。何かご希望はございますか?」
「グレープフルーツ使った、甘めのやつがいいです」
「かしこまりました」
そこまで言うのがやっとだった。
カウンター席の店員さんや他のお客さんとの距離の近さが気になりだし、まともな精神状態でいる事が少し難しかった。
いや、これはアルコールでものんで少し酔った方がまだお店で飲んでも辛くなかったのでは…
いや、酔っ払えもしない自分が嫌なんだ。せめてここで1人で飲めるくらいの遊びが出来るようになりたい…
そうガチガチに考えていると、ふと、隣に人が座った。
手慣れた様子でお酒を注文し、店員さんと談笑している。

はぁ、こういう風になりたいと思っていたのに…

そう思いながら、以前友人に話した馬鹿げた質問を思い出していた。
「ねぇ、彼氏さんとどうやって付き合うようになったの?」
あまりに馬鹿げた質問ではあったが、馬鹿にすることもなく優しくこたえてくれた。
「え、何だろう。友達が紹介してくれた。」
「いやそうじゃなくて!紹介した先の話!紹介した後に付き合うことにどうやってなるの?」
「はぁ〜?…いや、そりゃまぁお互い何となくまたデート出来ないか探りあってデートしたよ。」
「それで?」
「何回か会ってから、お付き合いしようってなって、今に至るかなぁ。」
「へぇぇ、そんな感じなんだ。」
「あのねー、頭で考え過ぎだよ。
そりゃ、学生時代とか、社会人になれるかな?大人になったら結婚できるかな?結婚したら欲しい人は子供は出来るかな?とか、考えるけど、結局どうにかなってるでしょ。」
「うん」
「社会人になって、普通だったでしょ。こんなもんか、って。」
「うん」
「それと同じ事だよ。男女のお付き合いも。」
「そんなもんかなぁ」
「そうだよ。考えすぎない方が良いよ」

意識をお店に戻し、飲み物が来るのを待っていた。
「お待たせいたしました」
その言葉とともに、少しピンクがかったカクテルが目の前に現れた。
飲んでみたそれは、甘かった。甘くて少し酸味があって、炭酸が効いていて、やはりアルコールを弱めにしたのは間違いだったかな、と思った。



※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






「何飲んでるんですか?」

そう聞かれたのは、しばらく経った後だった。
お店の雰囲気に酔い、少しずつしか飲めなかった為、しばらくしているのに飲み物がまだまだ残っていた。

「あ、グレープフルーツのカクテルです」
「作ってもらったの?」
「はい」
「そうなんだ、美味しい?」
少し馴れ馴れしく話しかけてきたその人は、私より確実に上の年齢層の男の人だった。
こういう人は、タクシーの運転手さんと話してて少し慣れた。わかりやすく馴れ馴れしくて、緊張しない。

「何飲んでらっしゃるんですか?」
聞かれた事を聞き返した。少し位話が続くはずだ。
「これ?秘密」
「えー、秘密なんですかぁ?」
こういう返しもなれた。
「今日は仕事帰り?」
「そうですね、お仕事終わって、ちょっと冒険してみようかなって…」
仕事はもちろん嘘だ。でも冒険の部分は本当。嘘には少しだけ本当を混ぜた方が嘘をつきやすい。本当の事が混ざってるから、目に嘘が混じらなくて済む。
「へぇー、ここに来るのが冒険なの(笑)?」
あぁ、でも私が言える事なんて馬鹿みたいに幼いんだな…
「…そうです。ここは常連さんなんですか?店員さんとも仲良さそうですけど」
「うん、仕事場近いから結構来るんだ」
「へぇー、すごいですね」
「すごくないよ、バーに来てるだけだもん」
「え、私にとってはすごいですよ!」
「そう、じゃあ褒めてくれてありがとう」
そう言ってその人は軽く笑った。
人と話す事に慣れたいけど、こういう見知らぬ人と話す時、早く話し合う事自体が終わらないかいつも願ってしまう。
「まだ飲むの?」
「あぁ…あと一杯位飲みたいとは思ってます」
こんな風に、段々馬鹿正直にしか話せなくなってくるから。
「奢るから、一緒に飲まない?」
「…」
あぁ、ダメだ。すぐボロが出て答えに困ってしまう。
「冒険ついでにどう?」
バーのドリンクの値段は見ていなかった。私はグッズの値段や舞台のチケット一枚の値段の検討はつくけど、こんな店の値段の相場はわからない。高いんだろうか。
いや、奢ってもらったら最後、とことんついて行く所までついていかなければならないではないか。そんな事をしてしまっては店を出づらくなる。
冷静なフリをして頭の中でこんな事を考えてはみたものの、私にはどう返せば良いのかもうわからなかった。
「こういう風に話しかけられるの苦手?」
「いや、あの…緊張して…」
「おじさん相手に緊張しなくて大丈夫だよ(笑)」
「いや、緊張しますよ」
失礼な事言ってキレられたら大変だもの。
「真面目だね〜」
「あの」
「うん?」
「真面目って、どう見えるって事ですか?」
「うーん、俺どう見える?」
「えっ…」
思わず言葉に詰まってしまった。
「その反応だけでよくわかるわ(笑)」
「ごめんなさい!」
「あ、謝ったね」
「あ…ごめんなさ…いや、違うな…」
思わず敬語が出てこなくなる。
「敬語じゃなくて良いよ。
ね、謝りついでに飲み物奢られてよ」
こんなグダグダな私にも軽く話してくれるその人が、少し楽になっていた。
「…メニュー見てもどんな飲み物が出てくるかわからないから…」
「じゃ、どんな飲み物か教えるから、話そう」
もう断る術がわからなかった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





アイドルが好きだ。
アイドルが好きだ。
アイドルが好きだけど、
本当はアイドルじゃなくて本人が気になる。別にどんな人であれ、などとは思わない。わからないから知りたい。それだけだ。
でもそんな事は考える事自体が馬鹿げていて、私は普通に生活して、コンサートや舞台を見て、アイドルの貴方に会えて良かったって、言わなきゃならない。
大体にして、私は男性から好かれた事がなかった。普通に話す事も早々なく、共学なのに私の周りだけ女子校が形成されたかのごとく女しかいなかった。
それでも周りの人は年頃になれば大人が言うように自然と男性と関わり、ある人は男性と付き合い、ある人は結婚し、ある人は子供まで授かり、女である事を普通に享受して男性と寄り添っていた。
かたや私は、全くそんな気配が無かった。高校の頃は一緒いる事自体が不幸のように扱われた事もあるし、大学じゃ女の友人すらできなかった。それでもそれ以前の生活で出来た友人と話すのが唯一救いだった私には、男友達はもちろんいなかった。

新しく頼んだドリンクを片手に、私とその人は途切れる事なく会話を続けていた。敬語はやめられなかったが、緊張は大分和らいでいた。

「へぇー、アイドルが好きなの?」
「はい」
「イケメンが良いんだ」
「…そう…いや、話しやすい方とかも好きですよ」
「ふーん。」
「アイドルとか興味無いですよね」
「まぁねー、もう、若いもん。すごい、こんな若い子好きになっちゃ駄目じゃない?って思っちゃうレベルで若いから熱中する対象としてそもそも見れないなぁ」
「あぁ、まぁ、若いですね」
ごめんね、若くなくて話しかけやすかったね、と心の中で悪態を吐く。
「でも好きなら良いんじゃない?」
「そうですか?」
「だって、やめなさいって言われてやめるような事でも無いし」
「…そうですか?」
「嬉しそうだね(笑)」
「はい」
「そんなに好き?」
「好きです」
「ははは(笑)」
「あ、つまんないですよね、すいません。」
「名前、なんて言うの」
「あ、そのグループは…」
「違うよ、自分の名前」
「言わないと駄目ですか」
「そうだね、名前呼びたいから俺としては駄目かな」
「…」
「言えない?」
「いや…」
「じゃあ、周りに聞こえないように俺だけに聞こえる位で良いよ。ほら、近づいて」
「近づくだけじゃないですか(笑)」
「あ、笑った。」
「(笑)」
「名前教えてよ」
そう促され、思わず耳打ちする。
「へぇー、あ、俺の名前はね…」
そう言ってその人も私の耳元へと近づいて、名前を教えてくれた。
男の人から耳打ちだなんて初めてで、耳が恥ずかしさで赤くなっていくのが自分でわかった。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





いつも拘っていたのは自分だった。
いつからかアイドルが好きで、恋に恋しているに過ぎないと言い聞かせ、熱愛報道がくる日を覚悟するようになった。
握手会に参加した日は、とてつもなく冷静な気持ちと大好きな気持ちと苦しい気持ちがない交ぜになった。
ファンはファンでしかない。ファンになる事で存在を知り、結果ファンでしかいられない。私にはファンの立場で相手を知るチャンスしかなかったのだから。
アイドルを好きな自分はファンでしかなく、その時私は私からファンになる。ファンに個人名は必要無く、心から応援する気持ちは本当で、その気持ちだけをフィーチャーして会いに行く。でも、一番は好きだからなんだ。応援したいんじゃない。好きだから、見ていたいから見に行く。
そんな気持ちは心の片隅に置いておき、ファンになって良かったな、という気持ちだけ認識するようにする。他の気持ちは、わかると苦しい。

バーで、その人との会話は続いた。自分は大して楽しい返答もできていないとわかってはいたが、相手からの軽い返答が頭を使う必要性を無くさせる。相手はどうせ自分に何も求めていない。女だってわかる相手であれば良い。あまりの気楽さに楽しくなった。
「彼氏いるの?」
その人があまりにも軽く聞くので、
「いないですよー」
極力、そうテンションを変えずに話した。
「いないんだ」
「いるように見えないでしょ。」
卑屈だし返答に困る受け答えをついしてしまう。
「わからないなぁ、おじさんには。」
「あ、そこで『おじさん』使うんですか」
「おじさん使うって何だよ(笑)」
「いや、『おじさん』だって彼氏いそうな雰囲気はわかるでしょ」
「だって可愛いからね。」
「あー…ハイハイ」
お世辞とわかりきっていても、褒められると嬉しい。馬鹿だな…
「基本的に恋人がいるかいないかは運でしょ、だから聞かなきゃわからないよ」
そう言って、その人はこちらを見て話した。
「そういうもんですか」
「そうだよ」
「ふぅん」
すべては運なのかな…
「だから、俺ともっと話そうよ」
「え、話が繋がってないです」
「じゃあ改めて言うね。店変えない?」
「…」
「もっと言うと、もう少し一緒にいたいな」
そう言って、手を触られる。
「嫌?」
「嫌では…ないです」
「じゃ、店変えよっか。」

そう促されて、店を出た。
こんな時間帯に行く先を想像して、覚悟を決めた。




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





時々、考え過ぎるクセがある。
がんじがらめに頭で考えて、これはダメだと我にかえる。
その後で、フッと何も考えずにただただ眠りたい衝動に襲われて、色々なものをぶっ壊す想像に耽りながら夢の中に入る。
夢も現実もすべては終わりがくるなら、後悔のないように生きたいのに、何をすれば後悔するかもわからなくて、ただ生きている。
本当は、ある日ふと変わるものなのかもしれないし、意を決してしてしまった後に取り返しのつかない事をしたと、後悔するのかもしれない。

辿り着いた先はやはりビジネスホテルではないホテルだった。
いや、わかりきっていたし、それをどこか期待している私もいたのだと思う。もう私にこんな日が来るかわからない。
よく漫画で読んだ、「好きな人とすれば良かったな」って後悔する人に私もなるのかもしれない。
ただ、今日の日を後悔するような、好きな人とする日ってくるのかな、そもそも好きな人って何だよ。とも思う。どんなに自分が好きだろうが相手がイエスと言わなければ単なる一人相撲が永遠と続き、私が好きな人とする時は永遠に来ない。
それも嫌だった。ひどく馬鹿で幼いかもしれないけど、私はどうしても誰とも関係を持たずに死ぬのが嫌だった。
全部一回で良いんだ。思い出を拠り所に生きていければ、その先些細な事は乗り越えられる。


部屋に入ると、中は見慣れたビジネスホテルとは少し違っていた。

2人で寝ても完全に余裕のある大きさのベット。
少しだけメルヘンちっくな色使いのシーツ。
どこか不思議なデザインの絵画。
窮屈なビジネスホテルの洗面所兼浴槽とは違い、広く余裕のあるお風呂場があって、それが今の私には生々しく感じられた。
照明の明るさだけが想像よりも普通の部屋のそれに近く、緊張が和らぐ。

これからするんだ…


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


改めて自分の決めた事に驚きながら、
どこか「感傷に浸る自分」に嫌気がさした。
こんな事にこだわるから、苦しい。
私を苦しめているのは私自身で、他の誰でもない。
私に経験がない事なんて誰も知らないし、興味がない。
まさか初対面の人に「私経験無いんです」なんて言うわけがない。
なのに、私はいつもどこか息苦しかった。
私は、私は、私は。
「私は」ばかりだからなのかもしれない。
でも、だ。まわりの人が好かれるのを見て、私に足りないものってなんだろう?って思ってたのも本当。
見た目、可愛気、素直さ、すべて…私にはなくて他の人にはあったんだ。
努力が足りない。出会いがない。
でも、友達がいなくても恋人はいる人がいて、
どんな人でも恋人がいる人はいて、いない人はいない。
恋人がいない理由づけをした瞬間に、言い訳する自分が生まれるだけだった。
「自然と出会うものだよ」
この言葉は自分が死ぬまで自分にとっては嘘だって立証出来ない言葉だって最近理解した。
この歳までデートすらした事がない自分が、
結婚したいほど相手に好かれる未来が想像出来ない。
ゼロから何かを想像するのは難しい。
本当に結婚したかったら、多分出来ると思う。
それは本当に紙切れの契約だから、
まわりの人に頭下げて願い倒して探し出すとか、
私の年齢でも若いと思ってくれる人を探し出すとか。
結婚さえ出来れば良い人を探し出すとか。
そうしたら、結婚は出来るかもしれない。
そもそも出会い方なんて気にせず、好きな相手と出会えば良いだけ。
出会い方なんて何も関係ない。
お見合いで出会って数ヶ月で結婚して、今も仲の良い夫婦を知っている。
それを考えたら、婚活って良い事だ。
ただ、まわりのサンプルで分かっている事は、
お見合い以前にお付き合いしていた人がいた後での結婚という事だ。
夢見る夢子には無理だった。
そして、そんな自分に対して諦めがつけられなかった。
私は男の人に恋して、デートして、「好きです」って言いたい。
たった一回で良い。お付き合いがしたい。
でも現実は、アイドルが好きなキモオタしか、そこにいない。
馬鹿馬鹿しい話だ。なんて馬鹿なんだろう。
そんな悲観的になる必要なんて何一つなくて、
悲劇のヒロインぶるのはやめて、
綺麗サッパリと婚活して、ゆっくり恋愛すれば良いだけ。
でもでもだって…何でそんな言葉しか出てこないんだろう。
だから私は結婚できない、恋愛できない女なんだ。
それでも私、自分の低過ぎる女としての価値を認められない。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




部屋に入った瞬間に、その人は距離を縮めた。
背後にいたその人との距離が限りなく近づいてきた時、少し身構える私がいた。
「緊張してる(笑)?」
「…は…」
もはや、まともな返事も出来ない。
「じゃ、座ろっか。」
そう促されて落ち着いたピンク色のソファに2人で座った。
その時、その人が私を抱きしめてきた。
背中までしっかりと腕が回される。
自分が経験した事のない力が背中に加わる。
「…なんで緊張してるの?」
耳元で声がする。
「…わかんない」
「じゃ、俺にドキドキしてるって事で良い?」
コクリと頷くと顎が肩に当たってしまいそうだ。
自分より広い肩幅と背中に、力に、初めて自分が女だって理解する。
「可愛い。すごい可愛い。」
その人はそう言うと抱き締めた腕を緩め、顔を見合わせる形になった。
見つめ合ったのは数秒だったのかもしれない。
気付くと唇が触れていた。
そう気付くのが先か、その人の舌先が口に入ってきた。
頭の中でボンヤリとこれが初めてのキスだと思った。
気持ち良いのか、わからない。
あんなに創作で見ていたのに、すべて嘘だったみたいだ。
その人の息が顔にかかる。
不思議と嫌悪感は無かった。

「シャワー浴びてくるね」

そうその人は、言った気がする。
カチャカチャ、そう無機質な金属音が浴室から聞こえた。
そのあと布が擦れる音がして、ズボンでも脱いでいるのかな…と想像する。
私の鼓動と反比例するかのように、その音に感情は無かった。

あの人がシャワーを浴び終わったら、
私、どうすれば良いんだろう…
シャワーの音が終わるまでには、決めなくちゃいけない。
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