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かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

役者

2011年12月16日 | Angels' message
小学生相手のタバコの授業を見学した保健師さんに、「センセイは上手ですね!あそこまでなりきるのは、私なんかは照れが入ってしまって、なかなかできません」と感心されたことがある。


授業のなかで、色々なタバコ病を説明するのに、その病気になったときにはどんなふうになるか、患者を演じながら説明している。
それがうまいというのだ。


確かに、(子どもを相手にしているアタシは)我ながら役者だと思う。


肺がボロボロになって酸素吸入しながら苦しんでいる人や、足の指を腐らせてまでタバコを吸っている人が世の中にはたくさんいるということを、教室や体育館で子どもたちに伝えるには、リアルさが必要。

でも、そういう患者さんたちを学校に連れてくるわけにはいかない。


アメリカの医学部の講義で、専門の俳優が神経疾患の症状を学生たちに演じてみせているのを何かで見たことがある。

写真やことばだけの説明では伝わらないことも多いから、ワタシみずから役者となる。



喉頭がんの初期症状は「嗄声(させい)」だ。

授業で、喉頭がんの術後患者の写真を見せている。

喉に穴を開けられた人の写真がスクリーンにバーンと出ると、とたんに騒ぎだす子どもたち。


学校の先生ならきっとここで、「ほらほら、お喋りはやめて。静かにしなさーい!」と子どもたちを制するかもしれない。

でもそんなことはワタシはしない。

かすれ声でみんなに話しかける。


『みんなはさ…』

ザワザワザワザワ

『みんなはさ…』

ザワザワ

『みんなはさ…』

ざわ…?

どんなに元気なクラスでも、3回くらいやると、子どもたちから黙って、シーンとなる。

こんなふうにして、喉頭がんの説明を始める。


昨日授業をした子どもたちはなんとも可愛かった。

かすれ声で『みんなはさ、風邪をひいてもいないのに、こんな声になったことある?』というワタシの問いかけに、子どもたちは、「ない」と、皆かすれ声で答えてくれた(笑)


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