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三式指揮連絡機(キ-76)


 2016年5月にアップした記事『日本航空機工業松戸製作所と母』の中で、製作所で組み立てられていた軍用機について紹介しましたが、写真やイラストを示すことができませんでした。今回、模型(下記の『大百科』の付録)を購入しましたので、ようやくその姿を把握することができるようになりました。



 この模型(1/100)については細部に不満もありますが、完成品としては恐らくこれが唯一のもので、その意味では貴重です。実物はすでに存在していませんから、平面でしかその姿を知る術がありませんでした。小さな模型であっても、立体でその姿を偲ぶことができるのは幸いです。

 三式指揮連絡機の詳細は上掲の記事どおりで、イメージとしては、軍隊用軽飛行機というところでしょうか。見晴らしのよい風防、頑丈そうな降着装置、高揚力を得るための工夫など、参考にしたドイツのフィーゼラーFi156と瓜二つですが、エンジンが星型エンジンに変更され頭でっかちになっているのが大きな相違です。

 工場で働いていた母は、この連絡機の呼称、キ-76を覚えていましたが、事務畑だったため実際の機体を見たことはなかったようです。戦時中のことですから当然かも知れません。聞き取り時に写真やイラストを見てもらいましたが分からないということでした。ただし、材料がベニヤ板と羽布張りという記憶は正確でした。

 伝書バトのように部隊間を連絡する役目の飛行機は軽量化のためにそのような構造だったのでしょう。日本航空機工業は本格的な軍用機を生産する能力も設備もなくこのような軽便な飛行機がせいぜいだったと思われます。

 ともあれ、このような飛行機が松戸市内で生産され、隣の松戸飛行場から飛んで行ったのです。現在の市内の様子からは想像もできません。


 『日本航空機工業松戸製作所と母』については、修正を行い、内容を改めて発表する予定で準備しております。『女子挺身隊聞き書き 日本航空機工業の母 1~4』として、改訂版を公開しました。(2022/8/15)

Nikon D500/AF-S DX Micro NIKKOR 40mm f/2.8G

 日本陸海軍機大百科、第87号、三式指揮連絡機.アシェット・コレクションズ・ジャパン、2013年1月刊.
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