民間療法といってもその殆どは健康食品系統です。私の関わった患者さんだけでも、
ゲルマニウム、プロポリス、サルノコシカケ、天仙液、ビタミンC、ハーブ茶から
今流行の核酸、キチンキトサン、アガリクスにメシマコブ、その他得体の知れない
ものまで実に多種多様のものに手を出しておられました。私は代替医療の道を選んだ
ほどなので、こうした健康食品に対し好意的で、積極的に勧めることはしないが「やめなさ
い」とか「効かない」とか、あからさまに否定することもありませんでした。
そして一部のものについては「もしかして効くんじゃないか」と淡い期待も寄せていたの
です。しかし、体調がしばらくもち直したり、ガンの進行が一時的に緩やかになった例が
多少あったくらいで、末期ガンの方々は全て亡くなられました。
健康食品を勧めなかったのはお金がかかるからで、コストと副作用が少なく、ある程度の
裏付けがあるという条件にあてはまれば古今東西を問わずにさまざまな治療法を採り入れて
きました。白隠の丹田呼吸法。笑えば免疫力が上がるという「笑い療法」。自分のリンパ球が
ガン細胞を攻撃しているというイメージを描く「サイモントン療法」。尿療法。
各種の気功法。温灸法・・・。
しかし力量不足もあって末期ガンに対する挑戦はことごとく退けられました。最近は末期
ガンは何をやっても駄目じゃないかと諦めかけておりましたが、つい先日ある本に出会い
再び希望の火が灯りました。あるジャーナリストが末期ガンや進行ガンで長期生存したり
治癒(!?)したと思われる人を丹念に取材したもので、新聞雑誌の広告によくある「この薬で
100%ガンが治る」とか「私はこれでガンを克服した」といったいい加減なものでは
なく、今まで私が読んだガン関連本のなかで最も感銘を受けました。余命三ヶ月の前立腺ガンが
完治した人。大腸ガンの肝臓転移(6センチ大)が消失した人。悪性リンパ腫をイメー
ジの力で治した医師。末期の子宮ガンから回復し、ガンになる前よりはるかに健康になった
人・・・。
これらの人々は何らかの民間療法を行ってはいたものの、ガン克服の原動力となったのは
民間療法ではなく気持ちの持ちよう、人生観の転回、誤ったライフスタイルの是正、食事の
改善などであり何ら特別のものではないという事実に目から鱗(うろこ)が落ちた心地がしました。
「ガンていう病気は、・・・ライフスタイルとか食事とか心の持ち方ですね、それが原因
でできた病気です。そういった誤った生活習慣をもち続けてきたのは、他ならぬ患者さん
本人ですから、本人がガンを作ったといって間違いはない。じゃ、自分で作ったものなら
自分が始末しましょうと、自分で責任取りましょうということになるわけです。
責任取るといっても、お医者さんの世話になるなとか、医療を受けてはいけませんという
ことじゃない。病院に行くべきは行くし、必要な治療は受けなければならない。だけど一方
で、そうしながらも最終的に治すのは自分だと。生活習慣を変えてゆくことによって、根本
的に改めてゆくことによってなおすんだと、決め手は自分だということですね。・・・責任
を取るということは、ガンという病を自らの手に引き受け、治していこうとする心構えを固
めることで、ライフスタイルの乱れ・食事の誤り・心の歪みを改めた生き方暮らし方をする
云々・・・」
結局、私のやってきた代替医療は肝心の土台を欠いた、効くはずのないものだったのかと
暗澹たる思いがしましたが、この本で学んだことを基に再出発を模索しているところです。
本の題名は、「希望のがん治療」。著者は斉藤道雄。集英社新書
0261 (つづく)
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