キリストのあかしびと 公教会の教父たち

公教会(カトリック教会)の諸聖人、教父、神父らの伝記を掲載していきたいと思います。彼らは、クリスチャンの模範です。

地獄に墜ちた者からの手紙 ◆11

2017-10-22 04:05:11 | 地獄体験談
ミカエル・モスカ神父訳『わたしは亡びた』、11

 わたしは、教会の青年会で遠足に行くことになっていた7月の日曜日、隣の課にいたマックスという青年から散歩に誘われたのです。いつも散歩のお相手だったかれの女友達が、病気で入院したからでした。かれは、わたしが以前から好意をもっていることを知っていたのです。かれには、どんな女性にも親切すぎるという噂がありました。マックスは散歩のあいだ礼儀正しく、本当に親切した。その散歩以来、かれは、わたしの心の祭壇に座を占めてしまったのです。

 翌日、わたしが出勤すると、すぐにあなたは、"どうして遠足に行かなかったの?ミサにはあずかったの?"と、わたしに問いつめました。わたしがマックスと親しくなってから青年会に顔を出したのは一度だけで、それもクリスマスでした。なんとなく祝い日の明るい賑わいに心がひかれたからでした。わたしの心は少しずっあなたたちから遠ざかってゆき、映画やダンス、ドライブに遊びまわるようになりました。そして、かれの女友達が退院してくると、わたしは、かの女を悪魔のように気嫌いしました。わたしには、かれがわたしのふるまいに心をひかれていたので、わたしを選ぶにちがいないという自信がありました。

 わたしはそれとなく嫌味を言いながら、かの女をかれから遠ざけていったのです。このような悪意のある行為は、地獄を準備しているようなものでした。悪魔的と言ってよいでしょう。わたしはマックスを得るためなら、どんなことでもしようと心に決めていたのです。ですから、何も欲しいとは思いませんでした。

 二人の間は親密になってゆきました。そして結婚をひかえた頃には、水をさす者もなくわたしたちの間は確かなものでした。でもわたしは、得たものによって、神から離れていったのです。わたしの神からの別離は、被造物をわたしの偶像に祭り上げることにあったのです。

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