写真は20年以上も前のものとなりました

つれづれなるまゝに日ぐらしPCに向かひて心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書きつづっていきます

科学新書 その2(の2)

2017年03月08日 | 随想

ブルーバックス3冊の紹介~その

 

一気に冊を紹介しようという無謀な試みをすぐに方針転換して、1冊ずつコメントしようということにした訳で、度目の今回は、「日本列島100万年史 大地に刻まれた壮大な物語


帯の部分を拡大してみると、

 

とりあえず、「ダントツに広い関東平野」という話題から。

 関東平野は、日本一広い平野です。その面積はおよそ1万7000平方キロメートルにもなります。日本の国上は約38万平方キロメートルですから、関東平野はその面積の5パーセント近くを占めます。平野部だけで見ると、日本の平野の面積は国上の約4分の1にあたる9万平方キロメートルなので、関東平野だけで日本の平野の18パ‐セントを占めていることになります。2番目の十勝平野は約8000平方キロメートル、3番日の石狩平野が6500平方キロメートルですから、関東平野は日本の平野の中でダントツに大きいのです。(因みに、4番目は越後平野の約2070k㎡、5番目は濃尾平野で1800k㎡、大阪平野 1600k㎡、と続く。関東平野は濃尾平野や大阪平野の10倍にもなる。)

一般的に人が多く住むのは平野部ですが、関東平野だけで日本の総人口の34パ‐セントにあたる4260万人が住んでいます。面積だけでなく人口も集中していることが分かります。

 

これだけで驚いていてはならない。

「縄文時代の前期約6000年前は、縄文海進で海面が今より場所によっては、数十mも高く、東京湾の海岸線が関東地方の中心部まで入り込んでいた。」ということが図示されている。

 

ただし、この図では利根川が銚子まで延びていることになっているが、関東農政局のサイトによれば、江戸時代より前は、利根川の河口は東京湾にあり、現在、利根川の支流となっている渡良瀬川や鬼怒川はもともとは独立した河川だった、ということが図で紹介されている。江戸幕府ってのは凄い土木工事をやり遂げていたことにつくづく驚かされる。

 

ところで、この本では関東平野が採り上げられていて、濃尾平野や大阪平野の記述がないのだが・・・・6000年前には大阪平野というものが無い・・・・。

 

6000年前の大阪の姿(クジラが悠々と泳いでいた、とか・・・)

 

大阪湾の歴史」というサイトに出ている図を見ていると、大阪平野ができる前の「河内湾」が舟運に活用されていたことが窺われ、仁徳天皇による「堀江の開削」で難波津(大阪)が国家的な港湾として外交や軍事、経済拠点としての水上交通のターミナルとして発展していく訳だが、「河内湾」の奥深くには大和朝廷が控えている。いわば、江戸城が東京湾の奥に位置していたのと同じ構造な訳である。

 

今でこそ、輸送手段と言えば、トラックや列車が中心であり、海外輸送は飛行機な訳だが、つい数十年前までは、輸送手段と言えば「船」「舟」が主流であった。(北前船が富山湾に入り、岩瀬の港からは井田川を遡って「八尾」まで米や反物を運び、八尾産の絹や和紙も井田川を通って運ばれた。八尾の城が山のふもとには今でも当時の「灯台」が残っている。安全な夜間運航の名残である。)

古い写真」のところで紹介していた我が家の前の道路も、今でこそ道幅が8m(それでも狭いくらい。しかも歩車道分離になっていない。)だが、60年前はたぶん大きめに見ても2m。荷車のすれ違いも、たぶんできない狭さだった。

大和朝廷から遣隋使を派遣という話も、「何故、奥まった奈良とかに朝廷があったのだろう?」と素朴な疑問を持っていたが、奥まっていることは防衛上の適地であり、近くの水運を使った物流の拠点でもあったことから、だからこそ、奈良の地が選ばれたのだろうと推測される。これは今の地形だけを見ていては決して理解できないことだった。

 

って、こういうことは、「日本列島100万年史」には載っていない。この本は、どちらかというと防災を念頭に置いた地形の成り立ちとか危険性に多くが割かれている。興味の方向性が違うのだから仕方ないが、この本の最後に採り上げられているのは「縄文文化の消失」である。

 

火砕流噴出と縄文文化の消失

鎌倉時代に書かれた「平家物語」の中に、平氏打倒を企てた「鹿ヶ谷の陰謀」が密告により露見してしまい、それに関わった僧の俊寛、藤原成経、平 康頼が「鬼界が島」へ流刑となるシーンがあります。この「鬼界が島」が薩摩半島の南約50kmにある薩摩硫黄島ではないかと考えられています。この島は深さ400mの海中にある巨大な「鬼界カルデラ」の一部で、縄文時代前半の7300年前に起きたカルデラ噴火で形成されました。鬼界カルデラ噴火での噴出物の量は150立方キロメートルで、超巨大噴火に相当します・・・・

 

 

鬼界カルデラ」については、このブログの「火山(2015年5月10日)のところでも採り上げているが、この恐怖は地震や津波の比ではない。そこんとこを強く指摘しておきたい。