図鑑:花 鳥 風 月

田舎道歩いてるとなんかいいことあります

螻蛄

2005-09-27 | 


真っ青な

秋の空から

滝の水が落ちてきたよう





おおきな建物の犬走りを

ぐるりと水洗いし始めましたらば

下の芝生から ケラたち

出てくるわ 出てくるわ 出てくるわ

大急ぎでコンクリートをよじ登っては

壁にすがり付いて うるうる




というわけで

ケラレスキュー隊員約一名

逃げ惑う彼らをつぎつぎに拾っては

八つ当たりなんぞされながら

水の来ない植え込みの根元に

ほらほら と一時避難のご案内

悪いけど

ここで待っててけろ なっ




指にしがみつくケラの手

ああ いつ見ても可愛いねぇ







ケラ
Yahoo!きっず図鑑

月齢13.7

2005-09-17 | 





ゆっくりと



冷却された気体は

ガラスの底へと沈み

わずかな振動を経て

また上昇を開始する





ゆっくりと



螺旋は軸を定め

ゆるやかに内径に満ち

ついに外殻に触れては

全ての回転を失う





零下百七十度

透き通るガラスの頭蓋

内なる凋落を孕み

軌道をなぞる記憶は





ただ満ちゆくままに

光の粒子と波動を

精密に集束しては

刻々と地へ送り出す





そのあたたかな

透明な光よ







そんな月を  見た














with binoculars and Brian Eno / Another Day on Earth

愛蛇 (または かんべんしてくれ)

2005-09-12 | 





プラスチックの格子天井から

水色の爪が降りてきて

トゥルルッと床で音を立てると

もう抱きすくめられている




なまあたたかい手のひらと

きついエナメルの匂い

ああ どうにでもなれよ

脈打つ みぞおちは

ゆっくりとふくらんで

ぼくはまぶたを閉じてしまう




あいつだって どうせ

こんな窓辺で一晩

鱗をまとわせた手首を

ただ眺めてるんだ

いつかまどろむはずさ

そうしたら...


ぼくはちろりと舌を出して

冷たい砂利の匂いを思い出してみる





それなのに 気がつくと

ぼくはまたプラスチックの底にいて

緑の正方形を埋めつくす

無数のちいさな空の陰で 

朝の月をみているんだ







Homage to  ぷかり…ぷかり 【8月30日】
 


          
 【TB】  ぷかり…ぷかり (あとがき ではなく はじめに)

ニホンカナヘビ by Wikipedia

小鷺

2005-09-11 | 


焦点を定めた

黒い嘴

すらりとのびた

白いうなじ




黄色い稲穂は

そよと風に揺れて

よかったね コサギ

稲刈りが  始まるね