「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.638 ★ 中国EC「Temu」親会社、不可解な見通しが落とす影 株価3割急落したPDD、創業者は一時「中国一の富豪」だった

2024年09月10日 | 日記

DIAMOND online (The Wall Street Journal)

2024年9月9日

Photo:Bloomberg/gettyimages

 中国のハイテク株はここ数年の間に宝の山から金食い虫に転落した。景気減速や競争激化、当局の締めつけ強化などが圧迫要因となっている。そこから抜け出した注目すべき「例外」も再び地に落ちた。

 かつて、中国Eコマース(電子商取引)のサクセスストーリーの象徴から一転して罪をなすりつけられる存在になったのは、市場リーダーのアリババグループだった。同社の株価は2020年にピークをつけた後、4分の3近く下落している。同年に規制当局はアリババの金融関連会社アント・グループの340億ドル(現在の為替レートで約4兆9000億円)規模の新規株式公開(IPO)を土壇場で阻止した。それ以降、アリババが科された罰金は28億ドルと過去最高額に上る。

 アリババは現在、正式に罰金対象から外れている。中国規制当局は先月30日、3年間の「是正期間」が終了し、アリババは「良い結果」を収めたと述べた。残念ながらちょうどそれは、経済の低迷とし烈な競争が同社の足を引っ張るタイミングで起きた。アリババの4-6月期決算は売上高が前年同期比4%増にとどまり、主力の国内Eコマース事業は実際に減収となった。



 アリババは再び政府の厚遇を受けるようになったものの、中国版アマゾン・ドット・コムを探していた投資家は、またもや不意打ちを食らった。米国市場で絶好調だった、格安通販サイト「Temu(テム)」を傘下に持つPDDホールディングスの株価は、先週の4-6月期決算発表後に31%下落した。決算の数字そのものが市場を驚かせたわけではない。実際そこそこ良かった。営業利益は前年同期比2倍余りとなった。

 だが同社は今後について慎重な見通しを示した。競争や対外的な課題のために、売上高の伸びが「圧力を受けるのは避けがたい」とし、プラットフォーム改善に向けた投資という「短期的な犠牲を受け入れる」必要があるため、収益性は低下すると予想した。

 ここ数年間、多くの外国人投資家は中国株を避けていたが、PDDは例外だった。PDD株は先週急落するまでの2年間に3倍に値上がりしていた。同社は低価格戦略でアリババの市場シェアを奪い、米国でも米プロフットボールNFLの王者決定戦「スーパーボウル」に多額の広告費を投じるなど積極的に攻勢をかけてきた。

 不可解なほど暗い見通しは、競争が激化したせいかもしれないが、防御を固めている可能性もある。2021年に退社した創業者の黄崢(コリン・ファン)氏は、8月に一時、中国で最も裕福な人物となっていた。アリババの創業者、馬雲(ジャック・マー)氏が受けた苦難を考えると、PDDが浴びている脚光は居心地の悪いものだ。ここ数年の規制当局による取り締まりを考慮し、恐らくPDDは成功に伴う潜在的な問題に適応しているのかもしれない。

 どのように説明するにせよ、PDDが投下した爆弾は、回復に時間を要するだろう。アリババなど他の多くの中国ハイテク企業とは異なり、同社は配当や自社株買いによる株主への利益還元を行っていないため、なおさらそう言える。中国経済が嘆かわしいほどの低成長期に入ったのと同時につまずいたことは、株価の回復をさらに長引かせる可能性がある。

(The Wall Street Journal/Jacky Wong)

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