MAG2NEWS (by 『CHINA CASE』)
2024年8月16日
EV大国として真っ先に名の上がる中国。今年7月には乗用車新車販売におけるNEVの比率が51.1%に達し、隣国では自画自賛の声が上がっていると言います。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、中国の新車販売データを扱った記事を紹介。NEV比率50%超えは画期的であるとしながらも、その数字を喜んでばかりはいられない「中国自動車業界の問題点」を取り上げています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:新車販売のNEV比率50%越えに浮かれる中国、国内販売は超苦戦
新車販売のNEV比率50%越えに浮かれる中国、国内販売は超苦戦
乗用車市場情報聯席会(CPCA、乗聯会)が2024年8月8日に発表した、中国の2024年7月における乗用車新車販売で、新エネルギー車(NEV)が占める比率が初めて50%を超えたことで、中国では大きな話題になっている。
NEVがここまで浸透している中国はすごい、というのが基本的な論調。しかし、この2024年7月の中国新車販売データはそこが着眼点ではなく、もっと大きな問題をはらんでいる。
そこを冷静に指摘する中国現地メディアもあるが、乗聯会のみならず、中国自動車工業協会(中国自工会)のデータも含めて問題点を指摘する。
NEV比率50%とは
乗聯会のデータによれば2024年7月、中国の乗用車NEV新車販売(小売)は87.8万台となり、乗用車新車全体が172万台だったため、NEV比率が51.1%に達した。
この比率が50%を超えるのは中国でも初めてのことであり、その意味では画期。
ただし、このNEV比率が急速に高まってきた近年、それに比例するように中国自動車業界に問題が多くなってきているのも確かだ。
ダブルマイナス成長
乗聯会と違い、乗用車のみならず、商用車も含めた中国全体の自動車データを発表する中国自工会の2024年7月の新車生産・販売はそれぞれ229万台、226万台となった。
これは前月と比べると8.8%減、11.4%減であり、前年同月と比べると4.8%減、5.2%減と、大きく落ち込んでいる。
この傾向は乗聯会のデータにも表れているものであり、両者のデータの違いを示すものではない。
2024年1~7月の累計の生産・販売は前年同期比で引き続きプラス成長を確保しているが、そのプラス幅は当然狭まってきている。
深刻な中国国内販売
特に深刻なのは、中国国内販売だ。7月の中国国内販売は前月比13%減、前年同月比10%減。1~7月ではとうとうマイナス成長に突入した。
輸出は引き続き堅調だが、前月比では3%減少、前年同月比での成長率は20%を切った。春節などの季節的変動を抜かせば、この水準はここ数年来最も低い水準で、頼みの輸出も底が見え始めた。
中国の国内で自動車が売れなくなっているのは間違いない。そしてなんとかそれをけん引しているのがNEV販売、という構図が鮮明になった。
NEV販売も先行き不透明
しかしそれも先行き明るい、とは言えない。NEVの新車生産・販売は7月、それぞれ前年同月比22%増、27%増と堅調そうに見える。
しかし、中国NEVの代名詞ともされるBEVだけを見れば、販売は同3%増にとどまる。BEVの1~7月新車販売は前年同期比10%増まで低減している。
BEVは月ごとの販売ではそろそろマイナス成長になりそうだし、2024年通年でも大きな成長率は望めそうもないのが現状だ。
堅調なのはPHEVのみだが
BEVに比べ、PHEV(REEV)は堅調だ。7月の新車販売は前年同月比81%増を記録しており、1~7月でも85%の成長を維持している。
PHEVのBYD、REEVの理想(Lixiang)、ファーウェイ「鴻蒙智行(HIMA)」の躍進による。ただしこれでさえ、中国の国内販売自体が弱含んでいる以上、当然これが永続するわけもなく、2024年限定の現象になる可能性もある。
「巻き」と呼ばれる皆が死に急ぐように、値下げ含む悪性の競争が蔓延している中国の自動車業界は日系含む外資の苦境という形で今は顕在化しているが、それにとどまるものにはならないと見るべきだ。
出典: https://mp.weixin.qq.com/s/6zc2afFLdm3seIcc-biAiw
※CHINA CASEは株式会社NMSの商標です。
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