東洋経済オンライン (財新 Biz&Tech)
2024年5月31日
中国の住宅市場は先の見通しが立たない底無し沼の様相を呈している。写真は経営危機に陥っている不動産大手、恒大集団の開発物件(同社ウェブサイトより)
中国の不動産市場では、住宅販売の件数減少と価格下落に歯止めがかからない状況が続いている。
国家統計局は5月17日、中国の主要70都市の不動産取引に関する2024年4月の統計データを公表。それによれば、都市の規模や新築・中古の違いを問わず、住宅価格の前月比の下げ幅が3月より拡大した。
具体的には、主要70都市の4月の住宅価格は新築物件が前月比0.6%、中古物件が同0.9%のマイナスを記録。3月との比較では、新築物件の下げ幅が0.3ポイント、中古物件が同0.4ポイントそれぞれ拡大した。
「一級都市」でも下げ幅拡大
都市の規模別に見ると、「一級都市」の4月の新築住宅価格が前月比0.6%下落し、下げ幅が3月より0.5ポイント拡大したのが目につく。「二級都市」の新築住宅価格は同0.5%、「三級都市」は同0.6%下落し、3月との比較では下げ幅がどちらも0.2ポイント拡大した。
(訳注:中国の不動産統計では、一般的には北京、上海、広州、深圳の4大都市を「一級都市」、省都クラスの大都市を「二級都市」、比較的発展した地方都市を「三級都市」と分類している)
中古物件の値下がりはさらに大きい。一級都市の4月の中古住宅価格は前月比で1.1%下落し、下げ幅が3月より0.4ポイント拡大した。二級都市と三級都市の中古住宅価格はどちらも前月比0.9%値下がりし、下げ幅が同0.4ポイント拡大した。
主要70都市の個別の動きに目を移すと、住宅価格の下落が続く都市が圧倒的多数を占めている。4月の新築住宅価格が3月より上昇した都市はわずか6つにとどまり、全体の9割超の64都市が値下がりを記録した。
中古住宅に至っては、4月の販売価格は主要70都市のうち69都市で下落。前月比で値上がりしたのは雲南省の省都の昆明だけだった。
中国の新築住宅価格は2023年の後半以降、前月比マイナスを記録し続けている(グラフ:国家統計局のデータを基に財新が作成)
住宅市場全体を俯瞰すると、分譲住宅に関しては需要サイドと供給サイドの双方が縮小し続けている。国家統計局のデータによれば、2024年1月から4月までの新築物件の累計販売面積は前年同期比23.8%減少。新築物件の契約総額は同31.1%も落ち込み、需要の弱さが鮮明になった。
政府のテコ入れ頼みの様相
供給サイドでも、新たな不動産開発プロジェクトへの投資減少が止まらない。国家統計局のデータによれば、1月から4月までの中国全土の住宅開発投資額は前年同期比10.5%減少した。
不動産市況の底入れの見通しが立たない中、市場では中国政府のさらなるテコ入れ策に期待する声が高まっている。国家統計局の報道官を務める劉愛華氏は、5月17日の記者会見の席で次のように述べた。
「中国の不動産市場は依然として調整局面にある。住宅在庫の消化促進や新築住宅の供給量の最適化などを図る政策措置の検討を急ぎ、不動産業界の新たな成長モデルの構築と高い質を伴う発展を後押ししなければならない」
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は5月17日
*左横の「ブックマーク」から他のブログへ移動
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます