ケアトリハ

介護とリハビリの仕事をしている方、目指している方、介護やリハビリってどんな世界なの、という方に読んでいただきたいです。

バランスについて②

2020年03月07日 | リハビリ・医療
前回に続いてバランスのお話です。

「支持基底面」のエリアの中に「重心(線)」を維持している間、物体は立位の状態を保っていられる、というお話でした。
人の場合、「骨盤の中あたり」に重心がありますので、身長が高い人ほど重心の位置も高くなる、ということになりますね。 柔道など、相手を倒す競技に関して、背の低い日本人が海外の選手よりも強いというのは、それだけの理由ではありませんが、納得できる気がします。

物体が安定して立位の状態を保つためには、広い支持基底面と低い位置の重心、という条件があればよい訳です。 したがって、サランラップの芯とトイレットペーパーの芯を立ててみると、支持基底面はほぼ同じくらいですが重心の位置はサランラップの方が高いので、ちょっとした外力が加わるだけで、サランラップの芯が転倒してしまう、という訳です。



バランス能力が低下しやすい病気に、脊髄小脳変性症というものがあります。 脊髄や小脳には、バランス感覚を脳に伝える神経が集まっていますので、それらのどこかが障害されることで体の微妙なバランス変化が分からなくなります。
バランス感覚が分からなくなると、人は本能的に転倒を防ごうとして、支持基底面を広げます。 つまり、脊髄小脳変性症の方は、両足の位置を広げて立つ、歩く、という動作になります。 
両足を開いて立つことを、私達リハビリの分野では、「ワイドベース」と表現します。

立ったり歩いたりしている患者さん・利用者さんの動作の様子を観察させていただく時、ワイドベースの状態を確認すると、「バランスに問題があってワイドベースになってるんだなぁ…」と考えます。

支持基底面と重心(線)についてのお話は、もう少し続けていきます。 今回は、この辺で失礼します^-


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