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Retro-gaming and so on

冰剣の魔術師が世界を統べる

M太郎氏が今期の視聴アニメに付いて書いていた。
今期も被りはそんなに多いわけじゃない・・・っつーか、おそらく僕があまりガンダム系に興味がない、ってのが前提かもしれんが。
でも、総合的に言うと、蓋を開けてみたら今期のアニメは「当たり」が多いと思う。どうしようもないクソアニメが数本あるが(アイドリッシュセブンとか・怒)、それでも全体的には「豊作」って言って良いシーズンだと思う。

相変わらずキングレコード系はハズレがない。
やっぱ「出版社が自社出版物を売りたい」前提で作るアニメよか、「第三者的観点を持った製作者」が作るアニメの方がクオリティ的には上がるよな。アニメがヒットしようとしまいと「自社の本を売る」目的のCMアニメより本気度が違う、とはそりゃなるだろ。最初から「アニメそのもの」を売る前提だと気合の入り方が違って当然だよな。
でも今期は取り敢えず、講談社が頑張ってる、って印象(※1)。「
解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ」もそうだし、今回取り上げる「冰剣の魔術師が世界を統べる」もそうだと思う。
講談社が制作主導権を握ってた「転生したらスライムだった件」は原作のネームバリューや面白さはともかくとしてクソアニメと言って良い出来だったが(※2)、原作のネームバリューが「なろう」をよく読んでる層以外にとっては「殆どない」アニメの方が出来がいい、ってのがぶっちゃけ驚きだ(「転スラ」は費用対効果っつーか「回収率」は結果悪いんじゃねぇの?)。
良い意味で力が抜けてる。

さて、「冰剣の魔術師が世界を統べる」は例によって「なろう原作」のアニメだ。
原作は更新が滞ってて、Web版はそのうち「更新が停止」する可能性はある(※3)。
そしてこのアニメ、多分アニヲタ的には「作画レベルは高くない」作品に分類されるだろう。割と作画的には、「のっぺりとした」印象だ。





同アニメより入浴シーン及びヒロインの下着シーン。
全くと言って良い程「色気もヘッタクレもない」と思ってる。
このテのシーンに、スタッフの熱意が全く見られなく(笑)、どう見ても「こういうシーンが必要っぽいってんでやってみました」程度でしかない作画だ(笑)。

多分あんまコストがかかってないアニメなんだよな。当然作画に凝れば凝るほどコストが上がっていくだろうから、だ。
ただし、「作画に凝っている=面白い」と言う方程式はない。むしろこのアニメは「作画の出来と話の面白さは関係ない」と言う好例の一つだと思う。もちろんこの作品が「唯一」と言うわけじゃないが。

ストーリーとか説明するのは、この作品は結構ムズい(ある意味、単なる「ありきたり」の組み合わせだから、だ)。そして、「面白さ」の中核はホントに主人公が担っているし、そしてその主人公を「解説する」事がこの作品だとマジで難しいんだ。
端的に言うと、この主人公の面白さ、ってのは「慇懃無礼」って言うくらい「固い話し方をする」ってトコと、実は「筋肉フェチ」であり、そして女装もこなす、と言うワケの分からなさにある。


主人公の女装。

殆どギャグ漫画の主人公、って言って良いくらい「立っている」キャラで、そういうギャグキャラでシリアスなストーリー展開をやってる、ってのがこの作品の面白さだ。
そしてその「主人公のギャグ性」のお陰でヒロインさえも「ギャグに感化された行動を取りながら」ストーリー自体はマジメですよ、と言う絶妙なバランスになってる辺りがこの作品の見どころとなっている。
うん、だから説明がムズいんだっての(笑)。
見てみてくれ、としか言いようがないんで、この項は唐突に終わる事とする(笑)。

いや、講談社、今期は頑張ってるよ。

※1: 余談だけど、現在は資本提携は無いと思うが、元々キングレコードそのものが講談社の音楽部門だった、と言う設立経緯がある。

※2: 「転生したらスライムだった件」は色々マズいトコばっか、のアニメだったが、これが一番ヒドい、たぁ言わんが(他にもマズいトコがありすぎて、特にどれが一番ヒドい、たぁ言えない・苦笑)、主演声優の岡咲美保がヘタ・・・好きな人がいたらゴメン、だが、ってのも理由の一つとして挙げられるだろう。
どうも声が刺さるっつーか・・・。個人的な好みの問題なのかねぇ。男声が合わんっつーか、あるいは単に演技がヘタクソなのか・・・。
いや、「これから」は分からんよ?分からんけど、個人的な評価だと、まだ「主役張れる力量」ってねぇと思う。時期尚早だったな、ってのが個人的な結論だ。

※3: この辺、「書籍版の出版」で、版権を持ってる出版社の方針に左右されるだろう。
「ライトノベル」と言うのは定義が難しいが、事実上、「小説の一形態」を指すのではなく、小説出版社と「小説原作者」の契約の一形態を指す、って言った方が正鵠を射てる、と思っている。要はライトノベルは「小説のジャンル」と言う意味は無いんだ。
結局、「ライトノベル」と言う「契約形態」は「小説を書いた側に全権がある」って仕組みじゃない。「パッケージ商品として売る仕組み」であって、そうである以上、例えば挿絵を付けてアニメ化を視野に入れて商品化する、ってぇのは、「原作小説」でさえその「パッケージ商品」の一部分にしか過ぎない、と言った意味となる。
少なくとも「キャラデザインして」「挿絵を描く」人が介入し、しかもそれが「売上を左右する」ともなれば挿絵作家の方にも「タイトルに絡む権利」が大きく生じる。「パッケージ商品」と言う事は「挿絵」は小説のオマケ、じゃないんだ(だからA社が気に食わなくて「原稿を引き上げる」事が難しく、また出版社Aから出版社Bに「作品を移動させたい」って事が生じづらく、そう言うケースだと「出版社同士の話し合い」と言う大掛かりな事をしなければならなくなるわけだ)。
いずれにせよ、「パッケージ商品の企画者」としての出版社側の権利が既存の小説よか遥かに大きい仕組みになり、「小説原作者」がパーツの一部である以上、「原作者の権利」と言うのは「フツーの商業作家」の権利よか、契約上、小さくならざるを得ない。
言い換えると、「雑誌が作家を独占する」漫画家との契約の「やり方」を小説に持ち込んできた、ってのが「ライトノベル」の正体であって、繰り返すけど、「小説で身を立てて生活してる」人(小説書きのプロ)はこういう契約を出版社と結ぶわけがないんだ。
反面、本業が他にある(例えば一般会社員であるとか、エロゲのシナリオライターとか)人にとっては「良いバイト」ではあるんだな。だから「一発屋」でも構わないんだ。出版社側からしても「先生、次回作は?」とか言わんでいいし(笑)。そして本業ライターじゃない限り、「次回作がコケても」作者の生活には一切影響がない、と言うなかなか上手い仕組みになってはいる。
いずれにせよ、「出版社の方針」の方がどうしても強い仕組みなんで、出版社側が「なろうでの小説継続を止めてください」と言う契約を望めば、なろう作家側は「従わざるを得ない」ってのは当然だろう。
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