地域の未来・志援センターからのお知らせ

地域の未来・志援センターは愛知・岐阜・三重の環境に取り組む「志」を応援します。

7月5日(火)にポストシンポジウム・サロンを開催しました

2005-07-05 | サロン
6月25日(土)の日独ファンドレイジング・シンポジウムをうけて、7月5日(火)14時からギャラリー喫茶 thisisit (ディスイズイット) にてサロン(座談会)を開催しました。

日独ファンドレージング・シンポジウムのパネル討論「日本のNPOファンドレイジング:現状と課題、今後の展望」で抽出された課題を掘り下げ、課題解決にむけたチャレンジを横展開するためのサロン(座談会)ということで、三部構成(それぞれ2時間)で行われました。 


◆ 第1部「ファンドレイジングと地域デザイン」
  マスター:駒宮博男@NPO法人地球の未来


駒宮マスターから下記資料[NPOの資金調達概観図]により、現在、日本のNPOがどのような資金調達方法によりどういった事業を行っているかの相関関係が示され、現状の課題と思われる[議論のポイント]が提起されました。
ついで、マスターの要請により、参加者それぞれが、自分の現在のポジションと提起されたポイントの中で関心のあるテーマについて意見を述べ合いました。



特に、現在、NPOが行政との協働である委託事業や助成事業を実施する際に、その委託費や助成金に事業を実施する人件費が含まれないもしくは極めて不十分なため(やりたくてやっているから人件費はださなくていいという論理?)、どんなに事業をしても財政が苦しいという馬鹿げた状況にあることが指摘され、こういった状況を是正する提言をしていくと同時に、マーケティングを行ってしっかりした事業経営ができるようにしたり、資源調達の方法を広げていくことが重要であることで、参加者の意見が一致しました。


◆ 第2部「みどりの基金の募金の仕組みは、新しい市民社会を創れるか」
  マスター:秋山英敏@セブン-イレブンみどりの基金



秋山マスターからセブン-イレブンの「募金の仕組みと可能性」について、現在、全国1万あまりの店舗から年間約2億7千万円の募金があること、みどりの基金の助成金は、セブン-イレブン店頭に寄せられる市民(=お客さま)からの募金であるという説明がありました。また、環境市民団体の活動を活発化させ、市民主体による地域社会をつくる原動力になるような募金システムを地域につくるにはどうすれば良いかということで、次の3つのポイントが提示され、参加者による活発な意見交換が行われました。
 1、セブン-イレブン店頭募金箱の活用
 2、地域独自の募金システム
 3、企業の持つ遊休資産の活用

その他、現在、コンビニ業界では、大手14社でコンビニ部会というものをつくり、社会的責任として、コンビニはこれからどういった役割を担っていくべきかの検討と具体的な対応がなされているそうです。たとえば、地域の重要なインフラとしての役割(役所の窓口業務の代行など)や、地域のセーフティステーションとしての役割といったものです。このあたりは、コンビニと地域のさまざまなNPOとの協働の可能性がこれからどんどん広がっていきそうです。サロンの参加者からも、様々なアイデアがあがりました。


◆ 第3部「グリーンプロモーション『エコひいき』を語る」
  マスター:柴垣民雄@リコー中部株式会社


柴垣マスターからリコー中部が現在実施している助成プログラム「グリーンプロモーション『エコひいき』」について、詳細なしくみと、この助成はNPOを育てるためだけではなく、自分たち企業も強くなるWin-Winの関係を目指す(企業を変える)ものであるという説明がありました。
つまり、企業とNPOが、助成する側、される側というポジショニングではなく、双方ともに地域を支える重要な資源として、対等の関係でお互いに利益を得ることができる、そういったしくみを地域に構築していこうという提案です。

 企業の参加者から、企業はシビアなので、経済効果つまり売り上げが上がるという確たる証拠がないと構築は難しい-逆にいえば、売り上げが伸びることが実証されればあっというまに広がることになるわけだが、その場合、競合する相手にも広めて本当に良いのか?という突っ込んだ質問がありました。これに対し、柴垣マスターから、直接的な効果あるとはまだいえないが、間接的な効果、たとえば、地域の人との関係がよくなって営業がスムーズにいったり、現場の営業マンのほとんどが『やってよかった』という感想を持っていること、地域をや環境を意識したモデルが出来れば経営にもプラスになるし、モデルとして広がる(社会化できる)と思っているという説明がありました。また、NPOの人からも、このしくみは、今の企業がやっている、取って付けたようなCSRではなく、それをやって行くとCSRにつながるような、企業マインドを育てるものではないか? それは、自分の会社を愛し支える人材を育てることにもつながり、人が育たないという危機感を持っている企業で、人材を育てるのにも使えると思うという意見がありました。


14時から20時まで、延々6時間にわたり3部構成で行われた今回のサロンでは、三県(愛知・岐阜・三重)三セクター(NPO、企業・行政)の十数名の参加者が、三つの異なる視点から、日本のNPOにとって、地域の資源(金、人材、もの、情報)を開発あるいは有効利用する上で、今何が課題で、今後何をなすべきかについて活発な意見交換がありました。今回あがった意見やアイデアを足がかりに、地域の未来・志援センターでは、新しい地域資源の開発・循環システムを検討・構築していければと思っています。