雑木帖

 ─ メディアウオッチ他 ─

取材源の秘匿という決りごとの瓦解

2006-04-01 00:19:29 | 政治/社会
 民主党代表になったとき、自民党に対し、主要な政策課題については対案を示しつつ、真の改革を競うと言った前原誠司氏が「永田議員贋メール問題」でやっと代表を辞任した。永田寿康氏は議員辞職。しかし、永田氏のほうは、最初永田氏本人が議員を辞職すると言い会見の席まで準備していたのを、前原民主党執行部が鳩山由紀夫氏に永田氏の出処進退の件を一任すると称して、止めに入ったので永田氏は辞めなかったのではなかったか。いつから、永田氏が催促しても議員辞職しないということが、前原代表の今回の辞任理由の一つにまでなるという「話」になったのだろうか。実に不可解である。
 ともあれ、まるで住所は既に「憲法改正をにらんだ政界大再編成における”タカ派自民・民主混成”党」であるかのようなことをした前原代表だったが、バックにいる財界の意向であったのかどうかは知らないが、日本の「改革」という名の市場原理主義、アメリカ型の「新自由主義」路線はこの騒動によってこれからもまた支障なく続くことになった。

 懲罰委員会にかけられた永田氏が議員を辞めることになって、西澤孝氏の証人喚問も立ち消えとなった。しかし、この西澤孝氏の名前が公然と明かされたことは、取材源の秘匿という大事な決りごとを国会という一国の最高議会で引っくり返すという一大事だったようだ。なぜ多くのメディアはこのことを問題にしないのだろうか。

 ”ホリエモン・メイルの情報源を公表” (浅井久仁臣 グラフィティ)

 それに、あまりマスコミが問題にしていないが、ジャーナリストである私には、「情報源」を白日の下に自らの手でさらしてしまう永田議員や民主党のやり方が理解できないし、危惧を抱く。こんな姿勢では今後、「まっとうな情報提供者」は民主党に情報を持ち込まないだろう。
 最近また一昨年のNHKの長井暁CPが提起した、政治家の番組に対する関与という問題が話題にのぼっているが、こちらは結局朝日新聞が録音テープを朝日のこれからの取材活動のタテマエを単に守るためという理由で(としか僕には思えない)公開しなかったことで、長井CPのハシゴを外した格好となって、今後朝日を信じて大事な問題を公にしようという者はいなくなったというものだと思われる。それにしても、その朝日新聞が未だにこの問題でとやかく言っているというのも、おかしな話のように思える…。

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