次の記事はJANJANに掲載紹介されている『Oh my News』日本語記事の中の一つ。
マスコミも政府も信頼度は50%ほどということなら、世の中の問題、あるいは政治的課題における基本的な考察、あるいはその材料の情報などは何に依拠しているのか、という素朴な疑問が生じる。「世の中そんなもの」という達観でいるのだろうか?
いずれにしろ、様々なテクノロジーが進化し、ブッシュ政権のような恣意的戦争ごっこで簡単に国というものが滅んだり、ジョージ・オーウェルの『1984』の世界も実現が可能のようなご時世にあって、車のハンドルをチンパンジーにでも任せているような非常に危険な状態であるとも思うのだけど。(各国政府や各国のマスコミが「チンパンジー」であるということではなく、信頼度が50%であるにもかかわらず、それらに運転を任せざるをえないという状況の不確定さ、博打性が「チンパンジーの運転」という意味)
もう少し、論じるべき、問題にして常に緊張感を維持すべきものであるという気がする。
日本を見ても、17日に衆院厚生労働委員会で与党により強行採決され、粛々と今国会で成立予定の「医療制度改革関連法案」は、混合診療の解禁すらをも含むものだったが、これがどこでもまるで議論されないし、ほとんどの市民はまだそれが自分らにとってどういう意味を持つものなのかも知らされてはいない。(参考:『合衆国が以前やって失敗したのと同じ”改革”』)
うすら寒い世の中という気がする。
ちなみに、次のものはまた別の意味での「信頼度」。こちらは、国権力側が信頼するマスコミで旧ソビエトの話だが、日本国内でも同等の状況であり、ということはその他の国々でも同じということだろう。
『Oh my News』というのは韓国のネットメディアで、日本の『JANJAN』のように市民記者を核にすえたインターネット新聞。次の記事にあるように、韓国の現政権の誕生にも大きな影響力を及ぼした。
これを見ると日本以上に既存の新聞メディアなどは批判に晒されている。世界で日本と韓国にだけあった悪しき制度の「記者クラブ」も韓国では実質的に廃止されている。
その後今度は長野県知事の田中康夫氏が”『脱・記者クラブ』宣言”をおこない、県では初めて記者クラブを廃止した。この時も大新聞・テレビは牙を剥き、それは今に至るまで尾を引いている。利権を脅かされるときの大新聞・テレビは、まさに豹変といった言葉が相応しく、道理も何も無い、ちょっと恐い感じだ。知られざる正体を現す瞬間ともいえるのかもしれない。
今日本で指摘されている「格差社会」問題も、韓国国内では以前から問題になっており韓国政府はその対策を前から国会で議論しているようだ。
『ニューズウィーク』2006/01/25号の「韓国下流社会の時限爆弾」という記事によると、韓国は1997年の金融危機以降、新自由主義の市場改革をおこなった。当時金融危機において支援をおこなったIMFは支援をする条件の一つとして、労働市場の流動化を韓国につきつけた。韓国政府はその政策に邁進したが、その結果、企業は臨時雇用労働者に依存するようになり、全労働者に非正社員が占める割合が2001年では27%だったのが3年後の04年には37%になっている。非正社員の平均所得は正社員の65%以下だった。
一方で日本では、森永卓郎氏によると4年間で非正社員が占める割合は28%から35%に拡大している(厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」2004年)。そして、非正社員の8割は、月給が20万円に達していなかった。(参考:『失策「グローバリゼーション」』 ビル・トッテン)
(『週刊東洋経済』2006/04/22号
”根拠薄弱な財政再建論議の前提
政府与党内の金利・成長率論争は不毛” 鈴木淑夫)より
韓国、インターネットへの信頼度が最高値 2006/05/09
インターネット媒体がもっとも信頼を受ける国は韓国であることが分かった。BBC、ロイター、メディアセンターが共同で世界10カ国の読者1万余名を対象に最近実施した調査によると、韓国人のインターネット媒体に対する信頼度は38%で、インドネシアの36%、米国の25%、ブラジルの20%を凌いで1位であった。
インターネット大国がインターネット媒体に対する信頼度も高いことが明らかになったのである。しかし、相変わらず世界的に伝統的な媒体である新聞(75%)と放送(82%)が、インターネット媒体(25%)に比べて圧倒的に高い信頼を得ているとの調査結果が出た。
また、韓国人はインターネット・ニュースに対する依存度も高いことも明らかになった。韓国人の約84%がインターネット・ニュースの価値を肯定的に評価しており、続いて米国が60%、英国が57%だった。
一方、今回の調査によると、韓国人のマスコミに対する信頼指数は45%で、政府に対する信頼度と同じ数値であった。これは米国(マスコミに対する信頼度59%、政府に対する信頼度67%)と英国(マスコミに対する信頼度47%、政府に対する信頼度51%)でそれぞれ、マスコミより政府をより信頼すると答えた人が多かったこととは、大きく異なる点である。
今回の調査によると、ナイジェリア、インドネシア、インド、ブラジルなど、開発途上国で、政府よりマスコミをより信頼する人が多いとわかる。これは、これらの国の国民が独裁体制から脱したばかりか、まだ権威主義的な政府の下で生活している理由のためであろうと解釈される。
今回の調査は、韓国を含む計10カ国の読者1万230名を対象に、今年3月から4月に実施された。
ミン・ギョンジン 5月5日
(OhmyNews)
マスコミも政府も信頼度は50%ほどということなら、世の中の問題、あるいは政治的課題における基本的な考察、あるいはその材料の情報などは何に依拠しているのか、という素朴な疑問が生じる。「世の中そんなもの」という達観でいるのだろうか?
いずれにしろ、様々なテクノロジーが進化し、ブッシュ政権のような恣意的戦争ごっこで簡単に国というものが滅んだり、ジョージ・オーウェルの『1984』の世界も実現が可能のようなご時世にあって、車のハンドルをチンパンジーにでも任せているような非常に危険な状態であるとも思うのだけど。(各国政府や各国のマスコミが「チンパンジー」であるということではなく、信頼度が50%であるにもかかわらず、それらに運転を任せざるをえないという状況の不確定さ、博打性が「チンパンジーの運転」という意味)
もう少し、論じるべき、問題にして常に緊張感を維持すべきものであるという気がする。
日本を見ても、17日に衆院厚生労働委員会で与党により強行採決され、粛々と今国会で成立予定の「医療制度改革関連法案」は、混合診療の解禁すらをも含むものだったが、これがどこでもまるで議論されないし、ほとんどの市民はまだそれが自分らにとってどういう意味を持つものなのかも知らされてはいない。(参考:『合衆国が以前やって失敗したのと同じ”改革”』)
うすら寒い世の中という気がする。
ちなみに、次のものはまた別の意味での「信頼度」。こちらは、国権力側が信頼するマスコミで旧ソビエトの話だが、日本国内でも同等の状況であり、ということはその他の国々でも同じということだろう。
ソビエト時代の共産党幹部にコヴァレンコという人がいて、この人は対日政策の元締めだった。亡くなるまでけんか友達でしたが、あるとき、「いろいろな国のメディアがモスクワにいますが、どこの国のメディアを信頼しますか」と聞くと、「それは日本だ」と答えた。日本のメディアは自分が言った通りに書いてくれる、いわゆる客観報道だ、と言う。他の国のメディアはチェックポイントをつくっていて「われわれが発表すると、ある人はウィーンに、ある人はロンドンに問い合わせ、それは事実かどうかの裏づけを取って記事を書いている」とね。日本のメディアは自分の判断力で分析したうえで書かずに「流れ」で書く。戦争に負ける前の日本のメディアも同じだった。
(『社会に浸透する言葉を持て』詩人・作家 辻井喬さん[憲法メディアフォーラム インタビュー]より)
『Oh my News』というのは韓国のネットメディアで、日本の『JANJAN』のように市民記者を核にすえたインターネット新聞。次の記事にあるように、韓国の現政権の誕生にも大きな影響力を及ぼした。
韓国に見る21世紀のネット・ジャーナリズム [歌田明弘] 週刊アスキー 2003/02/04 (クリックすると画像が大きくなります) |
これを見ると日本以上に既存の新聞メディアなどは批判に晒されている。世界で日本と韓国にだけあった悪しき制度の「記者クラブ」も韓国では実質的に廃止されている。
外国では日本のような記者クラブは韓国に存在し、日本の併合時代からの影響だと言われている。韓国でも記者クラブの弊害が指摘されているが、2001年6月11日には京畿道城南市庁に出入りする『京仁日報』『全国毎日』など11の地方新聞社の記者が自ら記者クラブを散し記者室から撤収するなど、マスメディアの自主的な改革や同年に仁川国際空港の記者会見から排除されたインターネット新聞「オーマイニュース」が排除差止めを求める訴訟を起こし認められたことも記者クラブ解体に拍車をかけることになった。 更に2003年には盧武鉉大統領の方針によって大統領府(青瓦台)の記者クラブを解体し新たにインターネットメディアや外国報道機関などにも門戸を開く会見室を設置した。これによって青瓦台に登録すれば会見に参加できるようになった。『Oh my News』の在り方に共感し、『JANJAN』を立ち上げた前鎌倉市市長の竹内謙氏は元朝日新聞社社員で、鎌倉市市長時代には自治体では初めて「記者クラブ」を廃止したが、大新聞・テレビの抵抗は凄まじかった。
(”記者クラブ” フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)より
その後今度は長野県知事の田中康夫氏が”『脱・記者クラブ』宣言”をおこない、県では初めて記者クラブを廃止した。この時も大新聞・テレビは牙を剥き、それは今に至るまで尾を引いている。利権を脅かされるときの大新聞・テレビは、まさに豹変といった言葉が相応しく、道理も何も無い、ちょっと恐い感じだ。知られざる正体を現す瞬間ともいえるのかもしれない。
今日本で指摘されている「格差社会」問題も、韓国国内では以前から問題になっており韓国政府はその対策を前から国会で議論しているようだ。
『ニューズウィーク』2006/01/25号の「韓国下流社会の時限爆弾」という記事によると、韓国は1997年の金融危機以降、新自由主義の市場改革をおこなった。当時金融危機において支援をおこなったIMFは支援をする条件の一つとして、労働市場の流動化を韓国につきつけた。韓国政府はその政策に邁進したが、その結果、企業は臨時雇用労働者に依存するようになり、全労働者に非正社員が占める割合が2001年では27%だったのが3年後の04年には37%になっている。非正社員の平均所得は正社員の65%以下だった。
一方で日本では、森永卓郎氏によると4年間で非正社員が占める割合は28%から35%に拡大している(厚生労働省「就業形態の多様化に関する総合実態調査」2004年)。そして、非正社員の8割は、月給が20万円に達していなかった。(参考:『失策「グローバリゼーション」』 ビル・トッテン)
(『週刊東洋経済』2006/04/22号
”根拠薄弱な財政再建論議の前提
政府与党内の金利・成長率論争は不毛” 鈴木淑夫)より