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経営システム雑考

企業に在籍する経営学博士の雑考

空飛ぶ広報室

2013-06-02 07:10:07 | 価値連鎖

突然の事故でパイロット罷免になった戦闘機パイロット空井大祐二等空尉は防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室に転勤したばかりの新人広報官。ミーハーで詐欺師並みの交渉術を持つ鷺坂(さぎさか)正司をはじめ、ガサツすぎて残念すぎる美人・柚木典子や、堅物の槙博己、マイペースな片山和宣、フォロー上手の指導担当・比嘉哲広など、個性の強い先輩たちに囲まれながら勤務をしている。

そんな中、鷺坂の命令で空井は帝都テレビのニュース番組「帝都イブニング」のディレクターで元報道記者だった稲葉リカのアテンド役に命じられる。稲葉は勝ち気で上昇志向が強く不本意な異動に不満を覚えているうえに、自衛隊にいい感情を持っておらず、アテンド役の空井に挑発的な言動をとり、それを見かねた空井はついに稲葉と衝突を起こしてしまう。

今回は「空飛ぶ広報室」を経営学的に読み解いてみよう。本ブログでは、「経営現象には投資回収という運動が内存される」という仮説に基づいて多様な現象を読み解いている。通常の経営現象では、努力は成果という形で報われる。すなわち、投資は回収できるのであるが、阻害要因によって投資と回収が予定どおり行かない場合がある。

このドラマでは、投資と回収がうまく行かない人物が何人も登場し、それぞれの苦境を乗り越えて行くところが興味深い。すなわち、空井は訓練を重ねたが被害事故からパイロットへの道を絶たれ、稲葉は報道記者からニュース番組へ異動となった。比嘉は有能であるが昇進ではなく広報エキスパートを選択し、柚木は防衛大卒で女性初の高射隊隊長であったが部下の反発からメンタル疾患となってしまった。

投資段階では、回収の成否の不確実性からリスクが存在する。同様に回収の段階でも、空井や稲葉の様に、違った領域での回収に変更になる不確実性がある。また、比嘉のように、高い回収から長い回収にプランを修正する場合もある。

一方、柚木はいまだ悩みの中にいる。投資はまだ続いているようである。回収が見通せない場合、投資を中断し転出してしまうケースがほとんどだが、回収が見通せないにもかかわらず投資を継続するには、顕在的な見返りを求めない「無償性」が不可欠である。すなわち、心理的あるいは潜在的な価値の補完によって投資回収が均衡される。

さて、様々な、そして、少し変形した投資回収サイクルが同時進行しているドラマであるが、「いま、ここ、ひたすら」に、サイクルの一断面を生きて欲しいと思う。


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