経営システム雑考

企業に在籍する経営学博士の雑考

ガリレオ

2007-11-04 23:43:13 | 経営現象の解析
  頭脳明晰、スポーツ万能、すらりとした長身に抜群のファションセンスで非の打ち所なしかと思いきや、天才独自の思考回路でどうも人と噛み合わない。変人じみた天才物理学者で大学准教授の湯川学(福山雅治)、通称・ガリレオ。ある日、ガリレオの勤める帝都大学理工学部物理学科へ、貝塚北署の新人刑事・内海薫(柴咲コウ)がやってくる。薫は尊敬する先輩刑事・草薙俊平(北村一輝)のアドバイスで、管内で起きたある事件について捜査協力を求めるためにガリレオの元を訪れた。しかし、薫は論理より感情を優先する理系の苦手な熱血漢タイプ。事件の動機や犯人の心情には全く興味を示さず、事件のからくりを解明することだけに意欲を燃やすガリレオとは正反対だ。これから事件解決のために行動を共にすることになった2人だが、ガリレオの態度や勝手な行動に対して薫がキレて…。

  今回は、連続ドラマ「ガリレオ」を経営学的に読み解きたいと思う。ドラマは難事件を刑事と物理学者という一見すると全く交わりのない2人のプロフェッショナルが協力して解決していくストーリを軸としている。

  経営学の中には「プロ組織」という概念がある。「通常の組織」は目標を達成するために人物金を調達して計画を遂行するが、集められる人の能力よりもマネジメント力が重視される。したがって、階層化やルール化が必要となり中間管理職が増大する傾向となる。一方、「プロ組織」は、マネジメント力を下位の優先度とし、集められる人の能力を重視する。このスタイルは変化への対応力が強く求められる状況において有意性があり、たとえば、一定の期間に特別な任務を遂行するタスクフォースなどで有効となる。

  スピードや利益が強く求められる経営スタイルでは、「プロ組織」は魅力的であるが、これが成立する条件は、タスクフォースを連続的にスクラップ&ビルトし続けるシステムと、プロフェッショナルを維持するシステムが不可欠であり、必ずしも効率的とは言えないことがわかる。したがって、「プロ組織」は、各々のプロフェッショナルが通常は定型業務を行いながら、時として合流するバーチャル組織となる。

  ガリレオにとっても、研究や教育が日常の姿であり、捜査協力だけでは成果や報酬につながらない。薫にとっても大学を訪問することは非日常の業務である。しかし、逆説的ではあるが、流動し刻々と真実が推移していく状況では、このように非日常を結びつけるバーチャルなコラボレーションの方がより本質的なものと考えられる。また本ブログの基本スタンスである投資回収理論では、投資フェーズは収益に直結しないが、この時期にこそ付加価値が創造されると考えている。

  以上の議論より次の命題が導かれる。すなわち、いま解き明かしている難事件は、ガリレオにとって、将来の飛躍や自己実現に向けた「投資」なのである。

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1 コメント

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こんにちは (福山雅治だーいすき)
2007-11-05 00:07:26
福山さんかっこい~


私も福山さんの動画を集めてサイトを作ってしまいました


もしよろしければ遊びに来てみてくださいね
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