エミ(深津絵里)は失敗続きで後がない三流弁護士。彼女が新しく担当になったのは、とある殺人事件。被告人は無実を主張。完璧なアリバイがあるという。なんと事件当夜、旅館の一室で金縛りにあっていたというのだ。無実を証明できるのは一晩中彼の上にのしかかっていた落ち武者の幽霊だけ。エミはその幽霊、六兵衛(西田敏行)に会い、彼を証人として法廷に召喚する。しかしこの六兵衛の姿は、すべての人に見えるわけではなかった。しかもエミの前には、一切の超常現象を信じない敏腕カタブツ検事、小佐野(中井貴一)が立ちはだかり……。人生のどん詰まりに立たされたダメダメ弁護士と、421年前に無念の死を遂げた落ち武者の間に生まれた奇妙な友情。果たして彼らは、真実を導き出す事ができるのか……?
今回は「ステキな金縛り」を経営学的に読み解いてみよう。 このストーリでは、幽霊(死者)を法廷に召喚するという普通では不可能なことに果敢にチャレンジするエミが主人公である。言い換えるならば、非常に難度の高いイノベーションに取り組むストーリでもある。エミの“困難に立ち向かわざるを得ない切迫性”や“幽霊の法廷証言を成立させる為の数々のアイデア”により、先例の無い幽霊の証言が採択され裁判に勝つことになる。エミは大きなイノベーションを獲得するのである。
ドラマの中で、幽霊との会話能力がある人たちの共通点が導かれている。すなわち、他人の死が身近であることや、現状に満足でないことである。裁判後、エミは自身の決定的に重要であった幽霊との会話能力を喪失してしまう。このことは、イノベーションを創り出す人々の特性をうまく表しており興味深い。すなわち、イノベーションを創り出すには現状に対する深い絶望が必要なのである。
その後、エミは幸せな結婚生活を手に入れたようである。イノベーションを享受する側もなかなか良いものである。
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