**馬耳東風**

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中国のメディア作戦、(アフリカ侵略)

2015-12-11 | 世事諸々
(CNN報道の抜粋)

「世界各地に支局を展開している中国中央電視台(CCTV)は、2012年1月、国外では初めてとなる放送センター・ハブをケニアのナイロビに開設した。これにより、アフリカ全土に向けて”偏りのないニュース”を自主的に発信することが可能となり、現地の人民に役立つ情報や娯楽番組を現地制作で放送予定。 そのため、新規にアフリカ人スタッフと放送要員、アフリカ各地から現地の有名ジャーナリストやニュース・キャスターをスカウトして番組制作に臨んでいる。 アフリカにおけるメディア戦略の第一歩は、これまでの中国の活動を”大きく誤解した報道”(悪評)を修正するということも含め、内外のニュースを幅広く公正に報道することにある」

3年後の現在、アフリカとその周辺国に対するCCTVの影響力は既に確立されていて、好評でもあり、CNN、アルジャジーラに並ぶ有力メディアに成長しているとのことで、成功を収めているようです。

日本は、これまでのところ国内報道の一部や”のど自慢”などを在外日本人向けに日本語放送をしているだけで、パブリシティ目的の放送は皆無に等しいようです。また国内向けの放送も偏りが見受けられます。日本が経済大国で、技術大国で、世界に向けた経済支援、人道支援などで有数の大国であるかに思わせる報道が多いようです。しかし、世界がみる日本の本当の姿はそうではなさそうで、日本を世界の大国と思っているものは多くはないのです。知名度も存在感も、近隣国を除けば決して大きいものではなく、世界百数十カ国で日本の首相の名前を知っている人々は極めて少ないのです。 (殆どいません)

今後、日本でも世界に向けたパブリシティの重要性は認識されなければならないでしょう。その役割は益々大きくなるからです、地球上での争いの多くはメディアの力、広報の力で争われるケースが今でも多く、更に増えてくると予想出来るからです。尖閣列島問題などもいつの日か国際世論によって決着がつけられる可能性があります。中国のパブリシティーが日本より優れて、世界に正当性を訴える力があれば、日本の不当占拠という結論になることもあり得るのです。
  
現在、日本のメディア(特にTV)は世界に向けたパブリシティに不慣れで弱く、ネットワークも卑小で、世界からのニュースの伝達も質量共に満足の行くものではないようです。特にアフリカ・中南米情勢に関するものは少なく、日本のメディアには自前でニュースを収集する準備がないということでしょう。国内中心の軸足を少し広げて、グローバルな視野で、もっと多角的な情報収集が必要になりそうです。世界に向けた日本からのメッセージ力の強化は当然で、そのためには海外に向けたオープンで風通しのよい情報環境も望まれるところです。パブリシティでも一日の長があった(はずの)日本が、後続の中国に遅れを取っているのは憂慮されることです。 もっとも、メッセージ力の有用性を生れもって知っているのは中国人かも知れません。

中国人は自己主張の強い民族で(一般人でも)よく喧嘩をします。口論が殆どで手を上げる喧嘩はめったにしません。その分、大声で罵り合いになります。それも喧嘩相手に向かって言うのではなく、周囲に集まった野次馬に向かって喧嘩相手の非を訴えるのです。自分は常に親切で暖かい心でいるのに、相手は冷酷非道・・・等々、唾を飛ばして誇大に非難します。聴衆は自分に無縁の喧嘩でも熱心に聴いて、いずれかの判断をくだすのです。中国人は、広報合戦が人に及ぼす影響をよく知っているのです。子供の頃から喧嘩は相手を誹謗することと心得ていて、謙譲の美徳も奥ゆかしさもありません、そんなものは百害あって一利なしと学んでいるのです。

古代中国の兵法に、敵を知り己を知るは百戦危うからず、とありますが、、戦火を交えず、戦わずして勝つ、というのも三国志時代の軍師・諸葛孔明の目指した最善の策だったといいます。日本人は中国が尖閣問題で戦火を開くこともあり得る、と考えそうですが、中国人は過去も現在も体質的に中華民族で、その気質に変化はなさそうです。明らかな勝ち目がなければ、(日本が沖縄基地問題などで、思わぬ隙を作らない限り)自ら戦火を開くことはしないと思われます。それより、十中八九メディア合戦での(誹謗中傷攻め)を良策として仕掛けて来そうです。

日本の過去の歴史問題(南京虐殺など)を執拗に攻め立てるのがその一環かと思われます、安倍総理の靖国参拝は口実にすぎないようです。それで実際に傷つく中国人などいるはずはないので、日本誹謗の中心に据えるのは外交戦略と考えると平仄(ひょうそく)にあうのです。中国は目下世界中で(侵略)まがいの経済進出を実行中ですが、日米の注目をそらしたいものも多々あり、それには日本の過去の歴史を一途に攻め立てるのが妙手と考えているようです。手の内を読み解くことが難しい外交上手な相手なのです。


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