『天女の涙』 ~倭国の命運や如何に~

今から1700年も昔の日本に栄えた古代都市、明日香京。謎に包まれた弥生時代をダイナミックに描く。

第 12 節 銅講

2016-04-23 10:23:56 | 長編小説
ここで後述となるが、由の命に別状はなかった。天女になれば、不老不死の天の羽衣を持っている。それは、天男も同じである。簡単に言うと登龍門を抜けて「 天の羽衣 」儀式を済ませていれば良いのである。

しかし、それでも由は、危うい所を助かったと言って良いだろう。由は、生まれつきの強運の持ち主であった。

それはともかく、由と京は、めでたく銅講へ入門することになった。これは、天の子と言えど狭き門である。由も京も胸を張って銅講の門を潜れる。銅講生と言えば、秀才の徒であった。

季節は、冬を越しようやく春を迎えようとしていた。天界にも下界と同じく生命の息吹が、あちこちに感じられて、自然と浮き立つ景色になりつつあった。

そして、春爛漫の桜が咲き乱れるなか、二人は、銅講へ入門した。それからも二人の友情は、変わらぬ清さがあった。加えて美貌も飛び抜けている。二人は、どこに行っても人気者であった。京は勿論のこと、由も天男の憧れの的であった。


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