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熟年オジサンの映画・観劇・読書の感想です。タイトルは『イヴの総て』のミュージカル化『アプローズ』の中の挿入歌です。

ジャックとその主人

2008-03-02 | 演劇
串田和美+白井晃プロジェクトと聞いただけで、面白くないはずがない。選ばれた作品がミラン・クンデラ唯一の戯曲とくれば、興味はさらに膨らむ。
同プロジェクト第1弾の『ヒステリア』は見逃したが、劇場が去年初めて行って気に入った吉祥寺シアター。喜び勇んで出かけた。

なんて面白いんだろう!
何も無い剥きだしの舞台空間に、照明器具やコードが無造作に転がっている。階段状客席最前列とは同一平面上の舞台奥には、幕で閉じられた間口5mほどの可動舞台があって、前面へ押し出され来る。

ストーリーは、ドン・キホーテとサンチョ・パンサをモデルにしたような「ご主人さま」(白井)と、その従僕のジャック(串田)が旅をしながら、お互いの女性遍歴を語り合い、その話が小さな舞台上で演じらる。
そ展開の面白いこと!優れた俳優であると同時に、優れた演出家でもある2人の語り口は自由自在で、過去と現在を軽やかに往復する。
運命論あり、演劇論あり、女性論あり、宗教論ありの、なんでもありですが、小難しさは微塵もない。これは、2人の演技と串田の演出に負うところが大きい。

ご主人の恋の相手も、ジャックの初体験も、同じ女優(内田有紀)によって戯画的に演じられ、ともに似たような強かな女性であり、『輪舞』のような、ちょっとした仕掛けがある。
『ラ・マンチャの男』の宿屋の主人が女将になり、2人に語る公爵夫人の復讐譚が面白い。演じるは燐光群の宮島千栄だが、今までの硬質な演技と打って変わって色っぽく、そして貫禄がある。
「旦那さん、わたしたちの人生は 空の上のあのお方によって 既に書かれているんです」と言うジャックの運命論的なセリフは、額面通りには受け取れないが、書き換え可能を示唆しているのがクンデラらしいところだ。
(2008-2-28、吉祥寺シアターにて、butler)


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2 コメント

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Unknown (クワスト)
2008-03-03 23:47:27
あ~うらやましいです!
美術も串田さんだったのでしょうか?あの人の舞台美術は本当に美しいし、楽しいですよね。

そうそう上海バンスキングがBS2で7日の(正確には8日)深夜に放映されるそうです。82年の博品館バージョンだそうで、多分みたような気がするけど定かではありません。BS2が見れるのでしたらお忘れなく!
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録画 (butler)
2008-03-09 20:53:40
>クワストさん、

BS2から録画しましたので、今度の休みの日にゆっくり観たいと思います。
情報どうもありがとうございます!
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