【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

未知なる深海へ 高井 研 =129=

2018-12-01 06:10:15 | 浪漫紀行・漫遊之譜

〇◎ 私が知りたいのは、地球の生命の限界です” ◎〇

= 海洋研究開発機構(JAMSTEC)及びナショナルジオグラフィック記載文より転載・補講 =

 青春を深海に掛けて=高井研=  

 エピローグ;深海から宇宙へ / “生命の起源”を探る冒険 

◇◆ 深海熱水微生物の研究家・高井研が挑む人類史上永遠の謎   ◆◇

JAMSTEC が誇る“しんかい6500”“ちきゅう”など世界有数の装備を駆使して、深海熱水に“生命の起源”解明のキーを求めてきた高井研さん。新たに宇宙での生命探索として人類科学史永遠の謎に真正面から向き合っている。

深海熱水に棲む 最古の生態系を発見

 「冒険的に未知の場所に行くのが楽し いんですね。必ず新発見というものが あって、それが面白くてやっています」 と話すのは、JAMSTEC (海洋研究 開発機構) で、深海・地殻内生物圏研 究を担う高井研氏。日本が世界をリー ドしてきた深海熱水における微生物 研究の第一人者だ。 深海には300度を超える熱水が湧 く熱水噴出孔がある。深海熱水微生 物とは、太陽光の届かない極限環境で も、その熱水に含まれる硫化水素やメ タンなどをエネルギー源として有機物 を作り出す生物だ。深海に 50 回以上 もの潜航経験を持つ高井氏とそのチー ムは、有人潜水調査船や無人探査機を駆 使し、水深500〜5000mにある深 海熱水噴出孔 50 箇所以上を直接調査。

 その中でインド洋海嶺の深海熱水に 棲む、超好熱菌に注目。2002年の調査で、深海熱水環境に地球太古の生態系(ハイパースライム)が現存するこ とを突き止めた。  「インド洋・かいれいフィールドの深海 熱水は、日本近海のそれとは棲んでいる 微生物がまったく違いました。原因を突 き詰めると、インド洋の深海熱水は高濃 度の水素を含んでいることが判明しま した。水素を食べてメタンを作り出す 菌がいて、別種の微生物がメタンを利用 して…と、太陽に依存しない、地球内部 から出てくる物質だけに支えられ独立した生態系がハイパースライムなのです。

 また、この深海熱水の高濃度水素は、 周 囲にある超マフィック岩という種類の地 層が作用していることもわかりました。 この発見が大きな転機になりました」  1977年に深海熱水噴出孔が発見 されて以来、これこそ〝生命の起源〞の 故郷という仮説が生まれたが、高井氏 らの発見はそれを強力に推し進めるも のであった。メタン菌などの超好熱菌は、 人間にまでつながる系統樹の共通祖先 に近い存在だった。さらに 40 億年前の太 古の地球には、コアチマイトと呼ばれ る超マフィック岩がふんだんにあったこ となどをチームに参加した地質学者 らが補完。〝ウルトラ H3 (エイチキューブ) リンケージ〞仮説と名付け、理論展開し た。

 さらには積み重ねたデータやサ ンプルの分析、 最大600気圧をかけら れる独自装置で太古の地球環境を再 現するなど、 理論・調査・実験を何度 も何度も積み重ねた結果、2014年 には〝ウルトラ H3 リンケージ〞仮説が地 球最古の生態系であることを証明した。 最終的に〝JAMSTECモデル〞と名 付け、アリストテレス以来、科学の大き な命題である〝生命の起源〞の解明につ ながることを世に示したのだ。

〝生命の起源〞 解明の壮大な夢

 「この研究が生命の起源を解き明かす ことになるかもしれない」  大学で出会った、熱水に棲む超好熱菌に可能性を強く感じた高井青年は、 超好熱菌の研究にのめり込んでいった。  当時はPCR法(※2)の実用化など、 分子生物学の大きな転機を迎えてお り、高井氏は浅海域の熱水や温泉での 超好熱菌研究で結果を残していった。

 そして、留学先のアメリカで、世界で 一番深いマリアナ海溝の底に潜るこ とができる無人探査機「かいこう」 のほ か、有人潜水調査船「しんかい6500」 や海洋調査船をそろえ、世界的な海洋 研究 機 関として 注目されていた JAMSTECの話を耳にする。  「自分の研究手法で深海熱水を調 査したら、きっと面白い結果が出せる」  そう強く意識した高井青年は、紆 余曲折を経ながらもJAMSTEC に特別研究員として参加。半年後には 「しんかい2000」で深海熱水調査を 実現するなど、熱意と実績でやがて深 海・地殻内生物圏研究分野を任され るまでになり〝生命の起源〞解明に真 正面から取り組むことになった。

宇宙に広がる 〝生命の起源〞探索

 深海熱水における〝ウルトラ H3 リン ケージ〞研究に目途が立ちつつあった 2011年。高井氏は新たな世界と 出会うことになる。土星探査機カッ シーニが、土星の衛星エンケラドスで、 地下海と水の噴出現象を発見。にわ かに生命の存在の期待が高まったの だ。そこで、深海熱水の生物研究で知られる高井氏に、宇宙航空研究開発機構 (JAXA)から、エンケラドス生命探 査計画への参加が打診されたのだ。「エンケラドスには深海熱水があるら しい。宇宙に海があって熱水があるなら、 深海熱水の王者を自負する我々として は参加しなけりゃダメだろうと」  エンケラドスで地球外生命を見つけ ることにはさまざまな意義があるが、 特に地球の 〝生命の起源〞探索に大き な意義を持つ、と高井氏は力説する。  「〝生命の起源〞がなぜ解けないのか。

 それは、これまでは検証が不可能だっ たから。地球上での 〝生命の起源〞 は、 1回起きて今も続いているだけなので、 必然なのか偶然なのかもわからない。 ところが、もしエンケラドスで生命が見 つかり、それが地球と同じシステムだっ たとしたら生命の誕生は必然という ことになります。初めて 〝生命の起源〞 を検証し、解き明かすことができるか もしれないんです」  〝生命の起源〞を巡る研究が宇宙に 広がる一方で、深海への挑戦も新たな ステージに入っている。海溝や中央海嶺 にあるトランスフォーム断層(※3)など、 超深海生命圏の解明だ。特にトランス フォーム断層は、マントル層の近くま で達しており、マントルによる未知の 深海熱水の存在が期待されている。

 「宇宙の結果を待つ間に、まだまだ 地球でやらなきゃならないことがいっ ぱいあります」 高井氏はこれから続く冒険に未来を見据えた。

◇◆ 独白 : あきらめたら そこで試合終了ですよ・・・・・・? ◆◇

 私はこれまで自身のネットワーク(家族・親族・友人・知り合い・知り合いの知り合い・知り合いの知り合いの知り合い等454人ぐらい)を通じて1億2800万人の日本国民、いや世界72億人、の人々がJAMSTECに何を期待しているのかについて、密かにマーケットリサーチを重ねてきました。その結果、実はこれまであまり公にされてこなかった真実が見えてきたのです。

 それは、世界72億人のおよそ80%(にえいやと拡大解釈できる割合の人々)が、「世界広しといえどもJAMSTECでしかできないような、有人探査・遠隔探査・その場計測-観察技術・サンプルリターンを最大限生かした“未到極限環境生命圏”への探査に挑み続けてほしい。そしてその成り立ちや働きを解明することで、国民や世界人類の夢とロマンと好奇心と欲望を満たして欲しい」と思っているという真実だったのです。

 たしかに漠然と一般論として問われた場合、国民や世界人類は「科学技術は現在や未来の生活や安全、健康、環境に役に立つことに傾注せよ!」と言うかもしれません。

 しかし、JAMSTECが何たるかを少しでも知った理解者は、まるで春の野山に花が咲き誇るように暗黒の宇宙で生命が咲き誇る「海洋と生命多様性の惑星=地球」における未だ知られざる生命の多様性の探求や極限的な環境における生命や生命圏の限界やその成り立ちの解明を、さらには「海洋と生命多様性の惑星=地球」を築き上げてきた原動力たる地球と生命の40億年以上にわたる密接な関わりの本質の解明を、自らの知的好奇心の渇望に成り代わって追求して欲しいと思っていることをあらためて感じました。

 その思いはJAMSTECの憲法とも言える長期ビジョンに謳われている「生命の進化と海洋地球生命史の探求」が照らし出す未来への道筋と重なっています。我々は来る5年に、「ちきゅう」や「フルデプスROV」、あるいはJAMSTECの有するあらゆるマルチ海洋探査プラットフォームを駆使した遠隔探査・その場計測-観察・サンプルリターンによる未到極限環境生命圏の探査を行い、その場での生態系機能の解明に挑みます。

 今できる最高の探査と同時に、さらに次の5年を見据えたその場計測—観察・サンプルリターン・モニタリングプラットフォームの革新技術の開発も並行して行っていきます。そして、我々の研究のもう一つの武器は、実験室内に極限環境の条件を再現し、その条件下で未知微生物や化学合成生物を長期飼育・培養することによって、極限環境条件下での生物機能や相互作用を実際に検証することができることです。

 これらの研究の先には、新しい技術革新によるより高次かつ広範囲、高精度な探査と再現実験による実証が可能になるでしょう。そして近い将来、フルデプス有人潜水船を含めた「有人探査・遠隔探査・その場計測—観察・サンプルリターン」を統合した探査により、地球の生命限界や存在条件への直接証明が可能になるとともに、「JAMSTECの研究により地球にフロンティアはなくなった」と結論づけられるような究極的な地球生命観の創造を目指したいと思っています。

深海・地殻内生物圏研究分野  分野長 高井 研

「生命の起源最大の謎」を解く勇者!」

・・・・・・・・完・・・・・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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