○◎ Great and Grand Japanese_Explorer ◎○
新たなピラミッド像を追って、エジプト考古学の魅惑の世界=河江肖剰=
= Webナショジオ_“河江肖剰-新たなピラミッド像を追って”より転載・補講 =
☠ 発掘調査と先端技術によって、古代のピラミットの実像に迫る ☠
◇◆ 第五回 3Dモデル生成、舞台裏の奮闘 = 2/3= ◇◆
3Dチームの闘い
日本に戻ると、3Dチーム・メンバーである関西大学の安室喜弘先生と、大阪大学の金谷一朗先生に相談をしてみることにした。彼らは考古学者ではなく、コンピューター・サイエンティストである。当時、安室先生と金谷先生とは、ギザの第4のピラミッドと言われていたケントカウエス女王墓の3Dデータを用いた共同研究を行っていた。 事情を話すと、Structure From Motion(以下SFM)という技術を使えば、撮影した映像から3Dデータを生成することは可能かもしれないという。 もしそれができれば、今度はそこから立面図や平面図をおこすことができる。
そこでまず、今回得た貴重な映像を使わせてもらえるかどうかを、番組のディレクターの岩垣保氏に尋ねてみた。すると二つ返事で承諾していただいただけでなく、オリジナルのデータが必要なのか、それとも別の映像フォーマットが必要なのか、こちらのリクエストに合わせて、どのような形でも対応しますという有り難い言葉までいただいた。 オリジナルデータをハードディスクに入れて送ってもらい、3Dモデルの生成を試みたが、これが一筋縄ではいかなかった。
当時、SFMは、コンピューター・サイエンスの分野としても一種のブームになっており、様々なソフトがでていた。 安室先生はPhotoModeler Scannerというソフトを用い、映像をそのまま3Dモデルにすることを試みたが、しかし、すぐにこれがほぼ不可能であることが分かった。
送られてきた映像は、カメラの設置場所を固定して上下左右にカメラを振ったり、ズームしたりして撮影されていた。 SFMに適している映像素材は、カメラの設置場所を変えながら、様々な角度でオブジェクトを撮影する方法であるため、こういった通常のテレビ番組向けのカメラワークで撮影された映像はSFMに適していなかったのである。
さらに、問題になったのは、ほとんどの映像に、私が映り込んでいることだった。 3Dモデルを生成する対象は、洞穴であって、私ではない。そのため、私の姿ははっきり言って邪魔だったのである。
紆余曲折を経て、映像そのものを用いるのではなく、20分ほどの元の映像から、7分弱の使えそうな映像を選出し、QuickTimeというソフトを用いて、約3万枚の画像としてエクスポートし、今度そこから、使えそうな画像をPhotoModelerでマッチングさせてみた。 それでも画像はうまく重ならなかったが、最終的に、Photosynthという無償のソフトを試したところ、3Dモデルを生成できたのである。
=資料・文献=
エジプト・ピラミッド学(2)
古代エジプトにおけるピラミッドは、巨石を四角錘状に積み上げ、中に通路や部屋を配置した建造物である。 王が天に昇る階段としての役割や、その斜めの外形が太陽光を模したものであるとも考えられている。
ピラミッドは単体で完成したものではなく、付随する葬祭殿等との複合体として考えるべき特徴を持つ。 (大ピラミッドなどの代表的な例では)ピラミッド本体には基本的に北面に入り口があり、玄室(と思われる部屋)に至る道や「重力分散の間」と呼ばれる謎の機構など、未解明の仕掛けがある。
ヘロドトスの『歴史』に記述されて以来、一般的には奴隷の強制労働で築いた王墓とされてきたが、1990年代に入ってからギザの大ピラミッド付近でピラミッド建造に関わったとされる人々の住居跡や墓が見つかり、ピラミッド建設に関わった道具や手術跡など高度な外科治療が施された人骨が発見された。更には、女性や子供達の骨も数多く発見され、家族で暮らしていたことが推測された。
このような事実から、定住しピラミッド建設に携わっていたのは虐げられていた奴隷ではなく、専属の労働者がいたことが明らかになった。 また、ピラミッド建設に必要な高い建築技術は専門の技術者でなければ持っていないこと、建設に関する労働者のチーム編成や作業記録が文字で残っていることから、専門的な知識を持った技術者がいたことも推測される。
また、住居跡があることから技術者は年間を通してピラミッド建設現場に居住していたことが分かっている。 ナイル川が上流のサバナ気候の影響で氾濫し、農業ができない間農民が労働力として使われていた救済土木事業説もあるが、それに関する論文などは存在しない。
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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽 憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・
森のなかえ
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