中之条・岩本不動滝(いわもとふどうたき) 奪衣婆(だつえば)
【データ】岩本不動滝 670メートル▼最寄駅 JR吾妻線・中之条駅▼登山口 群馬県中之条町岩本の原集落▼石仏 岩本不動のお堂裏。地図の赤丸印▼地図は国土地理院のホームページより
【独り言】岩本地区の奥、蟻川川の源流にかかる滝近くに御堂が建っているというので訪ねてみました。入口の鳥居には「無礙窟」の扁額。無礙(むげ)? 支障がない窟……という意味か。
沢沿い進むとおこもり堂。軒下に昭和61年修理の芳名者板が打ち付けてありました。その上には字が読めない芳名者板があるので、それなりの古いおこもり堂のようです。鉄の橋で対岸に渡るとお堂。入口には鳥居があったが建物は寺院のようです。
お堂裏には豪快な滝がかかっています。滝へ向かうとすぐ奪衣婆が、まるで滝の番人のような位置に座しています。これまで北関東から東北南部の山で多くの姥神を見てきましたが、ここは群馬の山で姥神の造立地帯ではないので奪衣婆としておきます。近くに顔のない智拳印の大日如来も座しています。
滝に向かう道ではヤマビルが動き出して飛びついてきます。滝近くの岩屋をのぞくとコウモリが飛んできました。こうなると心穏やかでなく、岩屋の底に二基の石仏が立っていましたが、そこまで降りる気持ちは失せてしまいました。
このような場所に踏み込む場合は長靴、またはスパッツを付けるのですが、このときに限り運動靴だったのが失敗でした。ほうほうの体で引き返し、靴をぬいでヤマビル退治となりました。ちぎっては殺し、引っ張りだしては地面にたたきつけました。しかしヤマビルのしつこさは想像以上で、運動靴に入り込んだヤマビルは宿の部屋までついてきました。温泉につかったら噛まれたところから血がしみ出した。とんでもない無礙(むげ)窟になってしまいました。