真夜中の2分前

時事評論ブログ
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北朝鮮砲撃事件 やはり“抑止力”は幻想にすぎない

2015-08-21 14:48:26 | 政治・経済
 北朝鮮が韓国に砲弾を発射したという。
 この件をもって、「ほらみろ、だから安保法制が必要なんだ」という意見がネット上にはちらほら見られるようだが、これはとんでもない話である。この“事件”は、集団的自衛権の行使を容認すべきという根拠ではありえない。むしろ逆といっていい。
 そもそも、韓国には相当な数の米軍が駐留している。朝鮮半島有事を想定して、はっきりと北朝鮮を敵として想定し、日ごろから合同演習を繰り返し、これ以上ないぐらいに軍事的なけん制をくわえている。そこへ、北朝鮮は砲弾を発射してきたのである。その背景を考えるなら、この砲撃事件は、米軍の“抑止力”によって北朝鮮の行動が抑止されなかったということを示している。
 北朝鮮のような国家が本当に攻撃しようと思ったら、相手がどんな体勢をとっていようが攻撃する。事実、米軍がにらみをきかせているにもかかわらず、北朝鮮は砲撃してきた。この事件は、むしろ、集団的自衛権が抑止力になどならないことの証明なのだ。

安倍政権のカネに汚い体質

2015-08-20 22:03:06 | 政治・経済
 安倍政権のこれまでについて振り返ろうということで、前回は経済政策について書いた。今回は、安倍政権の金銭スキャンダルについてまとめ、彼らがいかにカネに汚いかということを書く。

 まず去年の秋に、小渕優子元経産相と松島みどり元法相のダブル辞任があった。うちわ問題については金銭スキャンダルとはいえないかもしれないが、小渕氏の虚偽記載問題は、まだ終っていない。ドリルでPCのハードディスクを破壊するという証拠隠滅工作の甲斐あってか検察は起訴を見送ったが、検察審査会の審査にかけられており、今後強制起訴となる可能性もある。

 そして今年に入ってからは、西川公也氏の献金問題もあった。
 このブログでは何度かとりあげたが、このとき疑惑を追及する民主党議員に対して安倍総理がヤジを飛ばして問題視された。総理席からヤジを飛ばすというだけでも資質を問われる問題だが、しかもその内容が誤っていたとして後に訂正・謝罪する羽目になっているのだから、失笑するよりほかはない。

 また、それとほぼ同じ時期に、下村文科大臣が暴力団と関係のある人物から献金を受けていたという問題もあった。最近は新国立競技場問題などで批判を浴びる下村氏だが、半年ほど前にはそういう問題もあったということを思い起こしておこう。この件も当ブログで一度とりあげたが(「道徳を語るなら」参照)、国会で追及を受けた下村大臣は、一度はっきりと否定しておきながら後に一転して献金を受けたことを認めている。道徳教育を推進するなどといいながら、自分は国会でぬけぬけと嘘をつく――暴力団関係者からの献金というだけでもレッドカードで一発退場モノだが、このうえさらに五輪問題でもう一枚カードを出されてもなお大臣のイスにしがみつく厚顔無恥は、“道徳”と対極にある姿勢といえるだろう。

 そして、ここにきての、武藤議員のスキャンダル、離党なのである。
 『週刊文春』の報道が事実なら、これは政治資金規正法違反などではなく、立派な詐欺行為だ。自民党に、しかも、「総理に近い議員」としてあの文化芸術懇に参加していた議員のなかに、詐欺師がいたということになる。武藤氏はSEALDsを批判するツイッターで一躍有名となったわけだが、彼の言動を見ていると、安保法案もまた、根拠のない脅威を煽るだけ煽って国民をだまして戦争法案を通そうとする政権ぐるみの詐欺行為だということがよくわかる。武藤氏は安保法案反対派の主張に若者達が「だまされている」などといっているわけだが、国民をだまそうとしているのはどう見ても詐欺師・武藤の側なのである。

 第1次安倍内閣でも、カネにまつわる問題で次々と閣僚が辞任するということがあったが、こうしてこの一年ほどの間に起きたスキャンダルを見ていると、まるでデジャヴのようである。安倍総理に近い自民党議員たちがカネに汚いという体質は第1次内閣のときとなんら変わっていないのだ。他人に偉そうに道徳や愛国心を説き「若者達は利己的だ」などと批判しながら、自分たちはカネに汚い戦争屋――こんな詐欺師集団が政権を握っているということがおそろしい。

安倍政権は経済運営も破綻している

2015-08-18 22:37:01 | 政治・経済
 いくつかの世論調査で、安倍政権の支持率が回復傾向をみせているという。あの安倍談話が意外に評価されているらしい。
 安倍談話を評価するという意見については、ものの見方は人それぞれだし、そういうものかとしかいいようがないが、しかしそれを安倍政権そのものへの評価につなげるというのはどうだろうか。
 政権への評価は、総合的にくだされなければならない。多少のプラスになるようなことがあったとしても、これまでの安倍政権全体を見ればマイナスのほうがはるかに大きいと私は思う。
 このブログのコンセプトは、政治家が過去に働いた悪政を風化させないようにしようということだった。その原点に立ち返って、安倍政権のこれまでをもう一度振り返っていきたい。

 まずは、経済についてである。
 今年4-6月期のGDPは、年率換算でマイナス1.6%という数字を出した。
 もちろん一四半期での数字をことさらにとりあげてもさほど意味はないだろうが、しかしそれ以外の数字をみても、日本の経済事情はあまりよくない。安保法制の陰に隠れて見えづらくなっているが、いわゆる“アベノミクス”はもうボロボロである。

 安倍政権のこの二年あまりでの経済運営は、完全な失敗に終っているといっていいだろう。
 物価上昇2年で2%という目標はあえなく失敗し(これはすでに確定した事実)、今後も到底達成できそうにない。また、消費増税による景気の冷え込みも深刻な状態が続き、実質賃金の下落が続いた。5月にはようやく25ヶ月ぶり(!)にマイナスを脱しこそしたというが、それでも「横ばい」である。しかも、これはあくまでも「前年比」であるということにも留意しなければならない。GDPでもそうだが、数字が低いところと比較すれば、相対的に高い数字がでやすくなる。実質賃金についていうと、二年以上にわたって下落が続いてきたために、そもそも比較対象となる「前年同月」の数字が低くなっている。おそろしく落ち込んだところが比較対象になっているから見かけ上マイナスが減ったにすぎないのだ。そして、同様に落ち込んだところを比較対象にしていながら、6月はマイナス2.9%というこの二年間でも最大の下げ幅となった。世論調査で6割以上の人が「生活が苦しい」と感じているのが現状なのである。
 頼みの株価も、ここにきて中国やギリシャの不安定な情勢で乱高下を繰り返している。所詮は人為的に作られた相場にすぎず、いつ大暴落してもおかしくない砂上の楼閣の脆弱さを露呈したかたちだ。
 安保法制や原発再稼働という大問題の陰で、アベノミクス崩壊は着実に進行しているのである。安倍政権の経済政策を支持していたという人たちも、膨大なカネをバラまくだけバラまいてなんの成果もあげていないアベノミクスを支持する理由などどこにもないということに気づくべきときだろう。

これが70年目の終戦記念日か……

2015-08-15 18:08:55 | 政治・経済
 今日は、70年目の終戦記念日である。
 今年もまた、安倍総理は式辞で“加害責任”に言及せず、またあらためて、総理のスタンスが明らかにされることとなった。この人は、やはりどうしても自分を「加害者」という立場におきたくないのである。被害者ヅラをしていたいのである。
 そのことは、昨日の「安倍談話」にもはっきりとあらわれていた。
 注目されていた4つのキーワードも、一応入ってはいるものの、どこか他人事のような当事者意識の希薄な言い方に終始するか、あるいは、一般論のような言い回しに逃げている。これでは、各方面から批判を浴びるのも当然といえよう。安倍総理自身が“当事者”でないのは当たり前だが、日本という国のトップとして閣議決定もした談話を発表する以上、「自分は当事者ではない」という言い分は通用しない。そこを考えずに談話など出すから、中韓ばかりでなく欧米のメディアからも批判されるはめになったのである。
 朝日新聞電子版が報じるところによれば、「おわび」の文言はぎりぎりまで調整が続いており、一週間ほど前の原案の段階ではこの言葉は入っていなかったという。それが、公明党側との最終的な調整で結局「おわび」の文言を入れることに落ち着いた。
 しかしそれも、「過去の政権がそうしてきた」という過去の話と「今後もそうする」という未来の話になっていて、肝心の「いまの自分」はどうなのかということはぼかされている。意図的にぼかしたことはあきらかだろう。各方面への“配慮”で「おわび」という言葉を入れざるをえないところに追い込まれたものの、その主語を自分にはしたくない。それで、曖昧模糊、意味不明な談話になってしまったわけである。かくして大多数の国民は、戦後70年という節目の年に、自分のくだらない被害妄想と意地と妥協の産物を発表した総理の愚かさと、このような恥ずかしい総理を戴くことになってしまった有権者である自分たちの情けなさとを思い知らされることになった。
 安倍総理は先日地元入りした際に「2018年まで続けたい」といったそうだが、冗談もほどほどにしておいてもらいたいものである。明治維新から50年のときの総理(寺内正毅)と100年の総理(佐藤栄作)がいずれも山口出身だったために、明治維新から150年にあたる2018年も山口出身である自分が総理でいたいということだそうだが、ほかの都道府県民にとってはどうでもいいそんな事情で安倍政権があと3年も続いたのでは、日本がボロボロになってしまう。というか、明治維新から150年云々というのはたぶんほとんどの山口県民にとってもどうでもいいことだと思うのだが、どうしても2018年の総理が山口県出身であってほしいのなら、誰かほかをあたってください。あなたはもう結構です――というのが、多くの国民の声ではあるまいか。

反安倍・反戦争法案の声をより強力に!

2015-08-15 16:07:26 | 政治・経済
※8月14日に投稿した記事ですが、掲載した画像の位置がずれていたため、修正のうえ再投稿します。

 以前このブログで、あまりメディアで報じられない抗議行動の様子を個人で発していこう、と書いた。
 そんなことをいっておきながら私自身はしばらく抗議行動などに参加できずにいたのだが、13日に福岡市の中心部におもむいた際、いくつかの抗議行動を見て回ることができた。ここで、それらを紹介しよう。
 まずは、毎週木曜日に行われているという「戦争法をつくらせない会」による街頭アピール。



 猛暑が続くなか、毎週街頭に立ち続けている努力に頭が下がる。

 そして、別の場所で行われていた「戦争への道を許さない福岡県フォーラム/原水禁福岡地区実行委員会」の署名活動。



 位置関係から画像は一部しか写せていないが、画面の左側にはずっと人の列が続いている。
 また別の場所では、「九条の会福岡県連絡会」もアピールを行い、安保関連法案をわかりやすく説明するQ&A方式のパンフレットを配布していた。



 この資料によれば、大江健三郎氏らによって立ち上げられたこの会は、全国で7000、福岡県内に200の会があるという。

 これらの地道な活動が、戦争法案反対の大きなうねりとなって安倍政権を脅かしている。
 今日、「安倍談話」が発表されたが、この談話のなかには「おわび」が含まれていた。稲田朋美氏が「おわび」に否定的な発言をするなど自民党内に根強い反対があるにもかかわらずこの文言が入ったのも、歴史修正主義との批判をおそれたためだろう。談話自体にはいろいろと議論もあろうが、「おわび」を入れざるをえない状態に追い込んだということが重要だ。反安倍の世論の高まりに、安倍政権はこのところ譲歩を繰り返している。暴走を完全にストップさせるために、今後も引き続き粘り強い草の根の運動を続けていこう。

《追記》今回見たところではあまり若者の姿がなかったようだが、23日の一斉アクションでは、学生らの団体であるFYMも行動を予定しているようだ。幅広い世代の力を結集させて、福岡でも安保法案反対の声を盛り上げていきたい。