考えるシミ

こたつの上の宿題
破れた襖
すっぽ抜けたままのテレビのチャンネル

大きな声が聞こえる
あれは　わたしより少し早く生まれた同胞たち
わたしは絶対にあんなふうにはならない
誰の手も煩わせない

もういいの　なにも感じないの
もういいの　いない子になるの


けれど　あなたはわたしの手をとって
壁から引っ張り出してくれた

やっと
見つけてもらえた

そう思ったのに
なのに

あなたはわたしを押し戻そうとする
外の世界へ連れ出してくれた
そのあなたが

また　あの壁の内側にへばりついて
声にならない叫びを繰り返さなくてはならないの？
この叫びは　あの時聞こえてきた大きな声と同じ

もう　戻りたくないのに

わたしは内側の人
あなたの世界の外側の人
あなたの目には
ヒトガタに見えるシミ