今回は現代小説のご案内です。
じゃじゃーん!遂にレビューに登場!その名も
「姑獲鳥の夏」 京極夏彦
もう久々に、あまりの面白さに徹夜までして読んだ一冊です。
知っておられる方も多いと思いますが、あらすじをご紹介。
二十ヶ月もの間子供を身篭っている女性がいる__。
巷に広がり始めた不可解な噂。
好奇心を持った小説家・関口巽は友人である通称;京極堂へ噂話を持ち出す。まさかそれが関口が事件に巻き込まれるきっかけになるとは知らずに__。
密室から煙のように消えた亭主。
赤子の失踪事件。
次から次に現れる謎は只の醜聞なのか、それとも__。
この本はシリーズ化されていますが、全編「妖怪」をベースに展開していきます。妖怪や憑き物がキーワードとなる事件の数々を、陰明師である京極堂が解明していくのです。
と聞いて。
どういった作品を想像されましたか?陰明師が術を駆使し化け物共と闘う空想小説を想像されたのではないでしょうか。
しかし、この作品は良い意味でそんな期待を裏切ってくれます。
前述のような作品も勿論面白いでしょう。でもこの作品の面白さは、ものすごく有り得ない事が起こるけれども、「現実にこんな事もあるかもしれない」と読者を納得させてしまう所なのです。
読み進めるほどに湧き出てくる怪事件や謎の数々。妖怪や憑き物等の話もわんさか出てきて、「どうするの、最後は全部化け物のせいでしたーで逃げちゃうの!?」とハラハラさせておいて、最後に京極堂がすっきり解決。
膨大な知識量と説得力ある京極堂の理論は、関口でなくとも思わず納得させられてしまいます。
作者の知識とトリックてんこもりの、この本の種類を一言では表せないのですが、推理やサスペンス小説としても、怪談としても、妖怪解説本として読んでも楽しめる作品だと思います。
又、本の内容だけではなく、登場人物達も個性的で楽しめます。
能弁だが始終仏頂面の京極堂、楽しいほど後ろ向きな性格の関口、顔も態度も怖いが人情に厚い木場刑事、男前で繊細なルックスとは裏腹に周囲をかき回すパワーは人一倍の探偵榎木津等、主要キャラクターは勿論、脇役や犯人役までも皆個性的で魅力があります。
ちなみに管理人は榎木津と関口が好きです。特に関口君がいつも京極堂や榎木津等に馬鹿にされーの引きずり回されーので主人公(だったはず)なのに可哀想!奇人・変人だらけのキャラの中では比較的まともなのは君なんだ関口君!負けるな関口君!
とかなりおすすめなのですが。
かなりの情報量とマニアックなまでの京極堂の解説は好き嫌いが分かれるかもしれませんね。特に妖怪の記述が多いので「Oh~、妖怪、コワイ、パスデース(何故に外国人)」な方や、おどろおどろしい物が苦手な方はちょっと難しいかも。
京極堂の見事な理論、巧みな話術に嵌ってみたい方は是非読んでみて下さい。
彼の理論に絡み取られる、これこそ京極堂版陰明師の‘術’ですね。
管理人が偏見で採点。★5つが満点です。
読みやすさ★★★★ ハマれば5つですが文字もページ数も多いし、と言う事で。
本がぶ厚すぎて肩凝るって!★★★★★MAX
イラストはsyomaさんのリクエストにお応えした榎木津です。無理矢理押し付けました。syomaさん、すみません~//
エノさんファンの皆さん、石は投げないようお願いします。私のイメージでは大体こんな感じなのです。ええイメージですから!あくまで!
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