国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第093回国会 衆議院運輸委員会 第1号 昭和五十五年九月二十九日 第6話

2015-01-14 00:03:53 | 国鉄関連_国会審議
みなさまこんばんは、あの後も長々と続くのですが直接国鉄関係する事柄は出てこないので省略させていただきました。
さて、最後のほうで再び国鉄関係の話が出てきましたのでピックアップさせていただきます。
特に関東と比べて関西の鉄道網は遅れているのではないかという指摘ですが、これは正直私も思うことですね。
東京と比べれば規模は小さいとはいえ、大阪も負けず劣らずの大都市であり、関東と比べると交通網は貧弱と言わざるをえないでしょう。
昭和55年当時と比して、新規に開業した路線としてはJRでは「東西線」私鉄では中之島線、阪神なんば線と言ったところでしょうか。

ここで出てくるような、長尾から奈良に抜ける鉄道なども実現していたら、木津を経由せずに奈良まで行けるわけで新たな需要が発生していたかもしれませんね。

ただ、国鉄としても関西国鉄と私鉄が競合する形で発展した経緯があり下記のような国鉄総裁の発言に繋がっているように思います。

> 私鉄の発達の程度が、大阪を中心とする近畿地域は東京よりも進んでおるので、国鉄依存度が東京と比べて少し低いという関係があるので、どうしても東京の方を先にやらざるを得ないという式の判断を申し上げてきたわけでございます。

といったことなどをご覧いただきながら公企労レポートを見ていただきたいと思います。

 中略

○西中委員 時間が参りましたので、本当はもう少し議論したいのですけれども、最後に関西の交通についてお伺いしておきたいと思います。
 ということは、首都圏におきましては、中央線、東北線、常磐線、東海道線、横須賀線、そして総武線、さらにはまた引き続いて南武線、横浜線、首都圏内から周辺部にわたってそれなりに国鉄もいろいろと整備をされておる、かなり私は進んできていると思います。
 関西の方でございますが、大臣の地元なのでぜひがんばっていただきたいと思いますが、これは非常におくれておるのじゃないかというように認識をいたしております。いろいろといま御計画もあるやに各地で聞いておるわけでございますけれども、なかなか進捗をいたしておらない。この格差を是正するためにぜひ大臣は御配慮をいただきたいと思います。
 たとえて言いますと片町線、これは長尾までは複線電化をやった、その先は単線で電化もなされていない。奈良線、これも単線である。関西本線、これも単線である。電化もなされていない。そういった地域に非常に人口がふえてきておる。もちろん一時間に一本などというダイヤでございますから、非常に不便きわまるから乗らないといえば乗らない、乗らないからやらないんだ、こういうようなことになろうかと思います。もちろん国鉄の財政再建絡みですぐどうこうということは言えないと思いますけれども、しかし、この大都市間の交通についてはやはり相当な御配慮をいただきたいと思います。
 特にまた、長尾から奈良線に短絡するということにすれば、いまベッド化しております地域が大阪に直結するということで非常に便利になる、これは一つの例でございますけれども、こうした関西圏の鉄道について積極的に取り組みをしていただきたい。
 せんだって、これは大臣の御発言なのかどうかちょっとど忘れいたしましたけれども、何か大阪営団か公団か知りませんけれども、お話をなさったようでございますが、そういう大阪だけ考えないで、関西全体の国鉄網について特に……(「京都も」と呼ぶ者あり)もちろんそういうことでございますが、ぜひ御配慮いただきい。それから、北の方の舞鶴の港湾整備、宮津の港湾整備等につきましてもぜひ特特段の御配慮をいただきたい。これは漁業補償の問題も片がつきましたから、計画よりかなりおくれておるわけでございますけれども、ぜひこれは十分なる手当てをお願いいたしたい。御答弁の方もよろしくお願いをいたします。
○塩川国務大臣 後で国鉄総裁からも詳しく答えると思いますが、私は基本的な考えをちょっと申し上げたいと思います。
 私は関西だけがおくれているとか、そういうことは思うておりませんが、しかし日本全土を見まして、交通投資がアンバランスであったように思うのです。それは長年にわたりまして新幹線投資に相当国鉄としての財政的な精力を使ってきた、こう思っておりますが、これがあと数年にしてほぼ一応いままでの既定計画の路線の建設が終わり、あとは整備新幹線五線の建設を財源の手当てとともにやりたい、こういうことになってきております。そういたしますと、国鉄の投資にも私は数年後には余力が出てくると思うのです。
 ところで、国鉄のこれからのあり方を見ました場合に、鈴木総理も予算委員会並びに本会議で、国鉄の鉄道としての特性を生かす都市間交通、また大都市圏を中心としたいわば交通圏を形成する、あるいは定型貨物の輸送に寄与する、こういうことを答弁いたしております。そういう鉄道としての特性の面から見ますならば、第二番目に申しました大都市圏を中心としたいわば輸送路の整備というものが各地域でおくれておると思うのです。特にこれがおくれておりますのは関西地方であり、京都も含みますが、関西地方であり、中京地方であり、また九州の周辺もそうだと思うのです。そういう鉄道の特性の一つ一つをとってみて、その特性に合った投資というものをやっていかなければならぬ。これは私は基本的に考えておるものでございまして、そういう考えに立ってこれから進めたいと思うております。具体的な問題につきましては国鉄総裁からお答えいたすと思います。
 それから、先ほどお尋ねの中の最後にございました舞鶴港、宮津、あのいわば京都北部の港湾の整備でございますが、舞鶴港は伝統のある港ですし、そして先ほどおっしゃっていた漁業補償問題等も片づいたしいたしますので、第六次港湾整備計画で従来の投資を大幅にふやしまして強力に建設を進めてまいりたい。そして、あそこを一つの日本海におきます重要港湾としての機能を十分発揮できるようにいたしたい。
 それから、宮津港でございますか、これもほぼ整備の計画も立ってまいりましたので、これも第六次計画で進めていきたいと思うております。
 あともう一つ、久美浜でございますか、これは地方自治体との相談等もいろいろこれからもあろうと思うておりますが、全国の港湾はやはり重要なこれからの省エネに合った海運関係の輸送というものの関係から見ましても整備は進めなければならぬと思うて、新しい五カ年計画に各港とも積極的に取り組んでおりますので、御安心いただきたいと思います。

○高木説明員 従来から東京地域と並んでといいますか、非常に人口が稠密であり、交通需要が強い関西の地域についての国鉄の建設についての力の入れ方が少しアンバランスではないかという御指摘がございました。その都度歴代の総裁が国会で答弁しておられます記録など見てみますと、一つはやはり現実にお客さんの込みぐあいが関東地域と関西地域ではやや差がある。関西地域はそれでいいんだという状態ではないけれども、東京周辺は余りにもひど過ぎるということで、どうしてもそっちが先になってきたということが一つ。
 それから二番目には、私鉄の発達の程度が、大阪を中心とする近畿地域は東京よりも進んでおるので、国鉄依存度が東京と比べて少し低いという関係があるので、どうしても東京の方を先にやらざるを得ないという式の判断を申し上げてきたわけでございます。
 ところが、最近の状態といたしましては、具体的には私鉄沿線の方の開発が進みまして、いわば国鉄沿線の地域というのは開発のエアポケットのような状態になってきておりましたのが、私鉄沿線のところの開発が限界に近づいてきて、むしろ国鉄沿線のところでの開発ということも非常に問題になってきておるわけでございます。
 そうしますと、いまのような鉄道経営の状態を考えますと、国鉄といい、私鉄といい、いろいろ多少の差はありますけれども、やはり鉄道の場合には投資に非常に金がかかるということがございますので、やはり国鉄沿線についてはいまのままでほっておくわけにいかない、さりとて私鉄を新しく敷くわけにいかないわけでございますから、一般論としては、やはり国鉄がそういう方面に従来以上に力を入れるというスタンスをとらなければならないというふうに考えております。
 現在のところは、御承知のとおり、まず福知山線を前からいたしておりましたし、片町線もある程度整備をいたしました。いたしましたけれども、両方とも大阪の市内まで入ってきていないための不便がありますので、今度はこれをどういうふうにするかという問題と、それから山陰線のあそこのところが非常に地理的環境もあってなかなか建設費もかかるということで後回しになっておりましたが、山陰線の京都口のところを何とかしなければいかぬということで、これもつい最近工事に着工し始めておるのも御承知のとおりでございます。
 奈良線、智頭線の問題というのは、まさに従来から申しますと、近鉄その他の線がかなり整備されております関係もありまして、そちらの方の沿線が先に開発された関係もありまして、後回しと言っては悪いのですけれども、順番が回ってきてなかったわけでございますが、最近、関係知事から非常に強く、余りにもおまえの方のやり方が遅過ぎるというか、そこだけがおくれてしまっているではないかという御指摘がございますので、京都の知事が世話役になっておられます協議会ができまして、そこでいろいろ技術的な問題あるいは今後の需要等の研究をことしの六月ぐらいから始められておりますので、私どもも職員をその研究会に派遣をいたしまして共同研究というような形でいま勉強を始めたところでございます。
 いま大臣おっしゃいましたように、いささか私どもは東海道新幹線以来、総投資額のうちのウエートを非常に新幹線の方へ注いでまいりました結果、総体としても在来線の整備が少しおくれておるという実態になっておりますので、今後も全体としてそうした投資の大きさ、あるいはウエートの置き方というようなことを考えながらでなければ解決がつきませんけれども、しかし大変関西地域のそういう通勤線の整備がもう待てないといいますか、おくらせられない時期に来ているなという認識は持っているつもりでございますので、またいろいろ関係市町村あるいは関係都道府県と御相談しながら進めてまいりたいと思っております。
○西中委員 終わります。
○小此木委員長 次回は、明十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十三分散会
     ――――◇―――――




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