トゼンの世相斬

政治経済で日々思いついたことを書き綴ります

習近平の野心

2021-10-27 17:15:33 | 日記
中国の習近平主席が11月初めに開催される中央委員会第六全体会議で「第三の歴史決議」を提示し、審議・採択される見込みであるとのこと。

第一の決議は毛沢東、第二は鄧小平が行っているので、習近平はこれら二人の歴史的偉人に並ぶ人物であると言いたいようだ。

毛沢東とは言わずと知れた今の中国の建国の父である。紛れもなく中国共産党へ大きな貢献をした人だが、大躍進政策での大量の餓死者を発生させて、文化大革命による大混乱をもたらしたことでも知られる。

鄧小平は文化大革命の大混乱を収束させて、経済成長へ大きく政治の舵を切った人物で中国共産党の中興の祖と言える。

両名に共通しているのは、死ぬまで権力を手放さなかったことであるが、習近平もそれを狙っているのだろうか。来年開催される5年に一度の党大会で3期目も続投することが見込まれている。その為の歴史決議なんだろう。

しかし、習近平は毛沢東・鄧小平と並び称されるような成果があっただろうか?

そうした疑問に答えるように最近言われだしたのが「共同富裕」だ。貧富の差があまりにも激しくなりすぎた中国において、みんな一緒に豊かになろうよ、という政策だろうか。確かにそれが実現できればその影響は計り知れなく、大きな功績として認められるだろう。

現実的には富裕層に多額な寄付を強制したり、IT企業のトップを呼びつけていじめたりしているだけのような気がするが。ただ、最近気になる政策が試験導入されると報道されている。なんと固定資産税を導入するというものだ。中国では投資する先があまりない為(海外投資は制限されているし、国内株式は企業が信用できないしインサイダーがありすぎて一般人が入れるような環境に無い)、富裕層は土地使用権を買う人が多い。必然的に土地・マンションの値段が上がるのだが、バブルか?と言われるほど数年前より驚異的な値段になっている(一般人の年収の数十倍!)。

昨年に政府が銀行に対して不動産への融資制限を指示した影響で不動産会社の経営悪化が表面化しており、その象徴が恒大集団でおそらく近いうちにデフォルトになるだろう。そのような環境で新税を導入すれば不動産は暴落しかねない。多くの中国人がマイホームとして不動産を保有しており、それが暴落すれば日本のバブル崩壊以上の経済的影響が懸念される。そうなると共同富裕ではなく共同貧乏になりかねない。

もしそのような状況になったらどうなるだろうか?来年に予定されている党大会を前に、失政をカバーするために習近平は博打を打つかもしれない。それは台湾進攻だ。
仮に台湾を征服して一つの中国を名実ともに実現すれば、失政をカバーして余りある功績で、間違いなく巨人2名に並び称される。

こうしてみると台湾の運命は共同富裕と習近平の個人的な野心次第であり、非常に不安定な状況と言える。でもさすがに戦争となると共産党の他の人達が止めるのだろうか。

いずれにせよ今後1年の中国の動きは要注意だと思う。


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