トゼンの世相斬

政治経済で日々思いついたことを書き綴ります

ゼロ・コロナとゼロ金利

2022-04-22 09:11:18 | 日記
いま二つのゼロが話題になっている。

一つは日本のゼロ金利政策。日銀の黒田総裁が2013年に着任してすぐに大規模緩和政策を始め、昨今は10年国債金利がほぼゼロ(0.25%以下)で推移している。リーマンショック、欧州通貨危機やコロナの影響もあり、他の国も同じような金融緩和を行っていた為、世界的に低金利が定着していたので日本だけ目立つことはなかった。しかし、昨今のインフレ圧力により欧米は緩和縮小や利上げに動いている一方で、日本は周回遅れでまだ金融緩和を続けている。

その結果、今月になって急激な円安となっており、1ドル130円に近付いている。一昔前は円安になると輸出が伸びるので日本にとって有利と言われたが、自動車などの輸出産業の現地生産が進んだ結果、円安=輸出増とはならず、逆にエネルギーなどの輸入品の値段アップに伴うインフレ懸念が課題になってきている。

にも拘わらず日銀は金融緩和を続行、最近では0.25%での指値オペを無制限に実施という荒業を行っている。何故なら日本ではまだインフレが顕在化しておらず、今日発表された3月のCPIでも前年同期比1.2%と日銀目標の2%を下回っているからだ。ただし、これには昨年大手携帯電話会社が導入した格安プランが大きな影響を与えており、その影響は1.4ポイントと報告されている。実質的にすでに日本は2%後半のインフレ状態なのだ。

4月からはこの携帯電話インパクトが反映されなくなると言われており、実質ではなく表面上でもインフレは2%を大きく超える。それでも日銀は指値オペを継続してゼロ金利政策を続けるのだろうか?

もう一つは、中国のゼロ・コロナ政策だ。
世紀の感染症コロナは20年初めに中国武漢で発生、世界中に広まったが中国では厳格なロックダウン等でいち早く抑え込みに成功し、今年2月の北京オリンピック・パラリンピックも成功裏に終わった。

ところがパラリンピック直後から雲行きが怪しくなり、深圳や長春でオミクロンが広まってロックダウン、ついには世界的な大都市である上海も都市封鎖に至っている。当初は数日間の封鎖を通達されていたが、結局解除されずにすでに3週間以上経過、収束する兆しはまだない。

武漢や深圳ではそれほど大きな騒ぎにならなかったのに何故上海は大きな混乱が起こっているのだろうか。一説によると外出制限が幅広く行われた結果、物流を担うエッセンシャルワーカーが圧倒的に足りずに、食料の配達が滞っていることが主因のようだ。

オミクロンのような強力な感染力を持つウイルスに対して、ゼロ・コロナ政策を掲げる国トップの無謀さに加えて、トップの期待に100%以上応えようとする地方政府のトップの馬鹿さ加減が生んだ悲劇が上海で起こっている。

果たして中国はコロナに勝てるのだろうか。それとも方向転換を余儀なくされるのか?

核戦争の可能性は?

2022-04-15 18:39:00 | 日記

2034年米中戦争」という本については先日も書いたが、ネタバレを出来るだけしないようにしたので今一つ不完全燃焼だった。今回思いっきり全部書いてすっきりしたいので、ネタバレしたくない人は読まないでください。

 

この小説の大まかなストーリーは、画期的な武器を開発した中国海軍が米国の第七艦隊をほぼ全滅させてしまう。軍事バランスが大きく崩れたことに危機感を持つ米国大統領は中国海軍艦隊が寄港する中国広東省の地方都市に戦術核を落とし、艦隊殲滅のみならず数百万人の市民も道連れにする。その報復として中国は米国の2つの地方都市に戦術核を落として1千万人以上の犠牲者を出す。そして米国は報復として中国の3つの都市に戦術核を撃ち込もうとする。その時に仲介を志すインドが米国の爆撃機を襲撃して2機は撃墜するが、残り1機が戦術核を上海に落とす。ここまで来て漸く米中はインドの仲介で停戦合意する。

 

核戦争の報復合戦がどのようにエスカレートしていくのか淡々と書かれており、非常にリアルで臨場感がある。この小説からわかることは、核戦争は核保有国が大敗した時に起こりうる、という事だ。いくら第七艦隊をせん滅されたからといって核を使うというのは、この大統領はアホか?、とも思うが、核戦争なんて割と簡単に起こりうるのだ。

 

ロシアは2月にウクライナに侵攻した。まさか、と思ったが更にロシアは大苦戦してキーウ近郊から撤退して東南部戦線に注力している。そうした中、ロシア海軍の旗艦である「モスクワ」が沈没したとの報道があった。ウクライナはロシアを押し返すかもしれない。その時にプーチン大統領はどんな判断をするのだろうか。

 

ウクライナは負ければ領土を失うが、ロシアが負けたと感じるときには戦術核の使用がありうる。とにかく核保有国との戦争は出来るだけ早く停戦しないと、核戦争のリスクが高止まりし続ける。再びまさか、が起こるのか?


停戦の可能性について

2022-04-11 18:14:00 | 日記

ロシア軍はウクライナ首都のキーウを征服するのをあきらめて、東南部戦線へ注力する方向に転換したようだ。そして、対独戦勝記念日にあたる59日に勝利宣言を行うことを目指しているという。

 

もしこれが本当ならば、勝利宣言後にロシアは停戦に合意する可能性が高いと思われるので、世界を驚かせた戦争はとりあえずあと1か月程度で収まる可能性がある。ポイントはウクライナがどこまでロシアに譲歩出来るかだと思う。

 

ロシアはウクライナの軍事的中立化を要求し続けているが、ゼレンスキ‐大統領はこれを受ける用意があると言っているので争点にはならない。問題は今、乃至は今後1か月でロシアが支配下におさめる領土であり、当然ロシアは自分たちの成果と主張して、国境の変更を主張する。一方でウクライナは命を懸けて戦ったのに領土を削られるなんてとんでもない、という気持ちだろう。

 

従い、簡単には合意しないかもしれないが、最終的にはウクライナは受けるだろう。いつ核をプーチンが使うかわからない状況をこれ以上続けることは、欧州のみならず世界が悲鳴を上げる。とにかく停戦してくれ、という圧力が強固に起きるだろう。そしてウクライナは朝鮮半島と同じように仮の国境が引かれて、両国が戦時体制を維持しながらにらみ合う時代が来る。

 

この状況では仮に停戦合意がなされても、不当な駐留を続けるロシアに対する制裁は変わらずに実行される。エネルギーと食糧が豊富なロシアが干上がることはないだろうが、経済的には大きなダメージが今後当分続くことになる。結局ロシアは高い代償を払うことになるが、日本も含めた欧米等も資源価格が高騰する影響を受けて高いインフレに苦しむ。誰も得をしないバカな戦争をプーチンは始めてしまったのだ。