愛すべき台湾の中年ギター青年の会心のギターポップ ー身心靈不全/奇哥

もしかしたら、2016年の名盤の1つかもしれない。

奇哥は以前魏如萱と一緒にキュートでちょっとコミカルなギターポップユニット"自然捲"をやっていた男である。
〝娃娃”魏如萱が今や台湾を代表する人気アーティストの一人になったのに対し、陳綺貞のバックでギターを弾いたりしてたものの、自身としては永く目立った活動をしていなかった。
陳綺貞と一緒に音楽ができたら、それはそれで楽しそうだけど、芸達者な奇哥としては、それで甘んじる事が出来るはずもなく、ついに2016年、これまでの悶々として気持ちを晴らすかの様な快心の作品を発表してくれた_____。



それが「身心靈不全」という5曲入りのEPである。
内容は、アコギでの弾き語りをベースに、曲によってはBMXバンディッツなどの懐かしの英国ギターバンドを思わせるメロディアスで歯切れのよいサウンドを聴かせてくれる。60年代の暗めのフォークソング（あるいは日本のドラマのBGM）みたいなので地味に笑わせてくれた後、2曲目のタイトルトラック「身心靈不全」3曲目「假動作之王」と吹っ切れた様にお笑いギターポップを展開してくれる。「お笑い」要素はあるものの、ギターやメロディセンスはピカ一で自然捲時代のセンスの良さを感じる。特に假動作之王は僕のお気に入りの曲だ。
奇哥は曲作りだけでなく、漫画の才能もある様で、Youtubeで「假動作之王」のPVを観ていると、そこで使われていたキン肉マンみたいなアニメ動画の作成者として奇哥の名前が表示されていた。さすが。。。

奇哥【假動作之王】Official Music Video



これは假動作之王のライブ動画。町内のフリーマーケット（？）みたいな野外のイベントで弾き語りをする奇哥の姿を見ることができる。

奇哥-假動作之王

御覧のとおり、奇哥は至ってマイペース。スターの魏如萱とはまた違ったほのぼのと温かい人柄を感じる。
この作品が出た後だったか、FBで娃娃が奇哥と仲良く一緒に映った写真をアップして、「またChico(奇哥)と一緒に演ってみたいね～」とコメントを載せていた。
ファンとしては是非とも二人の再演は観てみたいところ。