珍珠茶日記

中国・台湾への旅行記など。

台湾カフェの新たな革命?ー吉印

2016年07月03日 16時26分14秒 | 台湾
マンションにある秘密の小空間。

これはもしかしたら、台湾のカフェの歴史の中で、革命的なお店の出現かもしれない。
吉印。この店について知ったのは、半年程前。ホテルに設置されていた無料の雑誌の記事から。
中国語を全部読むのが面倒だったので、写真と掻い摘んで得た情報からだけれども、マンションの一室にある隠れ家の様なお店で、写真やアンティークな小物が好きで、珈琲にこだわりのあるマニアックな若い老板が開いたお店、そんな感じに紹介されていた様に思う。

ネットでの少ない情報を頼りに場所を調べて、直ぐに訪問してみたのだけれども、営業時間のはずなのに店は開いてる様子ではなく、あきらめて帰ってきた。おまけに店はGoogle Mapをつかっても極めて分かり難い場所にあった。

今年のGWに再チャレンジ。
今度は地元のカフェ事情に詳しい台湾人の友達からも情報を集めての訪問。地元の友達とは、元旅々台北のレポーターをしていた女の子Yoyoで、「吉印は小さいけれど素晴らしいお店。あなた絶対気に入るわよ」というのが彼女のコメントだった。吉印は、元々学校がだったところをカフェにしたのだという事も教えてくれた。


台湾のカフェの歴史の中で、初めの革命は「極簡」や「猫花園」「Zabu」等、猫の居るお店の出現である、といのが僕の勝手な意見だ。今ではカフェに限らず猫、犬の居るお店は台湾のそこら中にあって、多分カフェならチェーン店を除いたら3件に1つくらい猫の居るお店なのではないか、という気がするが、10年ほど前はこんなに多くなかった。今では、動物とともに家で寛ぐようにカフェでゆっくりするのが台湾スタイルだろう。

2度目の革命は吉印のスタイルで、人知れずマンションで店を開き、老板の世界に共感する人達だけ訪れる空間をつくる事ではないかと思う。台湾の若者の夢は、「しばらく働いてお金を貯めたら、自分のカフェを開く」事。でも現実的には小さなお店をつくるのにもそれなりに資金や決断が必要。マンションを借りて、外装に大きなお金を掛けず、友達中心に営業するのであれば、ハードルはぐっと下がる。今後こんな感じのお店が静かに広がるのではないかと、僕は期待を込めて予想する。

僕が訪問したのは、昼の2時頃だったか。店の扉を開けると、タングスデンの明かりの中、アンティークな家具や装飾物が飾られた空間の中、老板がお客さん用の席で一人で自分の淹れた珈琲を飲んでいた。
「どこでも好きな席に」と言われ、僕は窓側の場所を選んだ。窓側だけれども、窓は擦りガラスで外が見えなかった。

■店の扉。初めて店を訪れる時は、入るのにすこし勇気がいるかも?




僕は珈琲を注文した。老板は珈琲には見識とこだわりがあるらしく、当日飲める数種類の珈琲について違いや特徴を説明してくれ、匂いをかがせてくれた。とりあえずガテマラを選んだ。台湾デザインの美しいカップで運ばれてきた珈琲にはミルクも砂糖もなかった。多分、店ではブラックしか出さないのだと思う(以前僕がよく通っていた師大そばのZabuでも、珈琲にかなりこだわりをもつスタッフのおにいさんが居て、時々珈琲を飲ませてくれたが
それも必ずブラックだった)。






僕はいつも持ち歩いているカメラ、FUJIのX-Pro1とスマホで一通り店内の写真を撮った後、本棚へ歩いて行った。
森山大道、アラーキーの写真集。手に取ってみる。中は中国語。森山大道なども台湾でとても人気だ。ちょうどその頃蜷川美花の写真展示が華山で開催されていた。

トイレに行ってみた。実はトイレは一つのポイントだ。居心地の良いカフェはトイレにも色んな工夫がされている。極簡、Zabu、Flugel...トイレや手洗い場にも気配りやセンスを感じるお店達だ。

吉印のトイレの壁には大きな写真が掛けられていた。女性のアーティスティックなヌード写真。それに男性のもあった。モノクロ写真の中で笑顔で写っている男性は老板の様に見えた。

知らない間にお客さんで席が埋め尽くされていた。やや年齢層高めで、清潔な服装をした女性やカップルたち。
台北の中心から少し離れた場所にあるマンションの2階にあっても、好きな人たちの間ではすでに知られた存在のお店の様だ。




何年か後に台北を訪れた時、「マンションの一室」は、カフェに最適な場所の一つになっているかもしれない。そう考えなから、店を出た。

■店の入り口 見つけにくい場所にあるので、この店のボードを見印にして探す。


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吉印

營業時間 / 下午 14:00 - 晚上 23:45
店休日 / 星期二

台北市信義區忠孝東路五段492巷14號2樓
(捷運板南線永春站4號出口)

(02) 2759-6500

*MRT永春駅から徒歩7-8分だが、ちょっと分かり難い場所にある。