珍珠茶日記

中国・台湾への旅行記など。

台湾旅行 <蛇の味・すっぽんの味 >

2009年01月17日 22時42分51秒 | 台湾
10年以上も前、台湾に仕事で滞在していた同僚のT氏によれば、昔の台湾は、かなりいかがわしい所だった様だ。
夜中にあり得ない程派手なイルミネーションを灯す「Barber's shop」や、日本人と判ると「いい場所ありますよ」と近付いてくる怪しい男たちが、うようよしていたらしい。

今の台湾はすっかり健全なところになったが、中には、今も当時の面影を残す界隈がある。
MRT龍山寺駅から歩いて5分、薄暗いアーケードのある華西街観光夜市や、その近辺だ。
雨の降るある晩、ガイドブックを片手にそちらの方面を散歩してみることにした。


【写真】アーケードの下の華西街観光夜市


夜市に入って直ぐの場所にあるCDショップ。どれ、劉若英のCDでも置いてるかな、と店に足を踏み入れると若い男の店員が笑顔で近付いてきて囁く。「おにいさん。日本のAVあるよ」。
以前、上海で仕事をしていた時に通りでよく聞いたセリフだ。よしよし、いい感じじゃないか...。

CD屋の先には、むすっとした表情のおばさんが経営する大人のおもちゃ屋やら、店先に大きな蛇のいる蛇料理の店がならぶ。中には堅気の海鮮料理屋や、良心価格のマッサージ(40分400元)などがあるが、大人のおもちゃ屋のそばでこれらの店を見ると、それらも何か裏が有りそうな所に思えてしまう。


【写真】蛇料理の店先では、蛇に触らせてくれる。動き出す蛇に飛び上がって驚く人もいた。


市場を抜け、さらに進むと、xx茶房や「カラオケ」とかかれた店が並ぶ一角に出る。雰囲気としては、地方の海水浴場近くにあるスナック街という感じか。派手な化粧の熟女が店の前に立っているかと思うと、その傍には家族連れがご飯を食べているレストランがある。
少し戻って薄暗い横道に入る。古いビルの入り口の階段のところに、若い女が一人、携帯を持ってぽつんと立っている。前を通ると、女はねっとりとした視線をこちらに投げかけてくる。

小さな「茶房」のドアが開いている。中をのぞくと、中には明らかに年齢に合わないミニスカートを着た年増の女の人がいる。

人通りが少ない一角。暗闇の中、強面の中年が二人、鋭い目つきで、建物の前に椅子を並べて座っている。ガラの悪いタクシー運転手といった風貌だ。
何故わざわざ男が、夜、人通りの少ない場所で無言で椅子に座っているのか?もちろん理由があるのだろう。

夜の街の見物はこれくらいにして、腹ごしらえにする。台湾にきたら、蛇がすっぽんを食べてみようと思っていたのだ。
もとのアーケードの通りに戻り、すっぽん料理の店をのぞいてみる。一人の中年女性が店先に立っているが、さして熱心に客寄せする様子はない。
店はガラガラで、ただ一人の客である太ったおやじが、鍋料理を食べていた。かなり待った後、ようやく中から店のおばさんが現れ、すっぽんスープは300元だよ、と説明する。300元か。以前、友人が経営する京都の先斗町の飲み屋ですっぽんを食べたとき、たしか3000円くらいしたが...。話のネタに、300元のすっぽんスープを食べてみることにする。

待つこと3分。テーブルの上に甲羅に付いたすっぽんの肉の入ったスープや、錠剤の入った酒、小さなグラスが二つ置かれる。1つのグラスはすっぽんの卵の様だ。他のは何だったか忘れた。


【写真】すっぽんスープ他。食べてスタミナ付いたのかな?


スープを味わっていると、おばさんが戻ってきて、何やら説明書きの書かれた紙を見せる。この店で販売する錠剤の効能が書かれているらしい。
滋養強壮の他、ガンにいいとか、肩こりに効くとか、膀胱の病気に効果あり、視力が良くなる等々、すっぽんを食べにくる年齢の人なら、1つぐらい何かに当てはまりそうな事が書かれている。続いておばさんは、手書きの手紙のコピーを机の上に並べる。
日本からの手紙、という事らしい。「至急3ビン送ってください」とある。隣にあるのは大阪の住所。よく見ると、手紙に書かれているカタカナには、中国人特有の間違いが見受けられる。マッサージを「マツサジ」と書いたりするあれだ。
おばさんを見ると、二カーと笑みを浮かべている。
「こんな風に日本人が一杯注文してくるんや。どや、一瓶?」(実際はこんな風に関西弁ではないが)
「で、いくらすんの?」
「一瓶で2千元」

おばさんを追い払う。


夜市を出て、雨の中、龍山寺駅へ戻る。
途中、美しくライトアップされた建物の前を通る。龍山寺だ。夜の闇の中、神々しい光を放つ美しい建物の中で、多くの信心深い台湾の人たちが祈りを捧げていた。


【写真】台湾のお寺はどれも想像以上に美しかった。


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