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情報通信分野(特にモバイル)の気になるニュース記事を通じて、ちょっと考え事をしています。

ソフトバンクモバイルがオフロード効果を説明、総務省の無線LANビジネス研究会

2012年05月11日 | ICT/電波政策
ソフトバンクモバイルがオフロード効果を説明、総務省の無線LANビジネス研究会 2012/05/11 日経ニューメディア

 総務省の無線LANビジネス研究会は2012年5月11日、第4回会合を開催した(関連記事:第1回、 第2回その1、第2回その2、第3回)。今回、プレゼンテーションを行ったのはソフトバンクモバイル、日本ケーブルラボ、日本インターネットプロバイダ協会、フォン・ジャパンの4団体である。

 興味深い内容だったのは、冒頭でソフトバンクモバイルがプレゼンした「無線LANを使った3Gトラフィックのオフロード効果」についてである。同社は、屋外エリアにおけるオフロード対策と、ユーザーの自宅内に設置する無線LANルーターによるオフロード対策の二つについて効果を示した。

 まず商業地区などユーザーが多く行き交う屋外エリアでは、屋外用の高性能アクセスポイントや、商業施設内に設置する屋内用アクセスポイントを組み合わせたオフロード対策を実施しているという。3G帯域がひっ迫しているあるエリアにおいて、基地局と個々の無線LANアクセスポイントのトラフィックの総計から効果を算出したところ、「総トラフィックのうち2割を無線LANに誘導できた」と説明した(写真1)。

 一方、同社が無線LAN対応端末購入者に無償で提供している無線LAN対応ブロードバンドルーターによるオフロード効果については、「利用前と利用後の3Gトラフィックを比較したところ最頻時の通信量を約50%に抑制できた」と、屋内でのオフロードに効果がより大きいことを示した(写真2)。

 技術面では今後、5GHz帯のアクセスポイントの導入や、通信が不安定になりがちな無線LANエリアのカバーエリアを、屋内の面積に合わせて制御することで安定化させるなどの対策を講じていく方針を説明した。

 同研究会の構成員からは、2.4GHz帯の混雑緩和策として、複数事業者によるアクセスポイント共用について、考え方を問うやり取りがあった。ソフトバンクモバイルは「将来のことを考えたら対処すべき課題とは認識しており、効果があるのであれば対応したい。ただし無線LANは、免許不要の帯域で様々な事業者やユーザ-が自由に設置してきたからこそ、ここまで発展したという側面もある。(共用すると自由度が下がるため)相反する課題だ」という見解を示した。

周波数不足、サービス化… LTEで先行く米国が映す日本の未来

2012年05月11日 | ICT/電波政策
周波数不足、サービス化… LTEで先行く米国が映す日本の未来 モバイルの達人(石川温)日経新聞

 5月8日から米ニューオーリンズで、米国最大の通信関連イベント「CTIA Wireless 2012」が開催されている。高速通信システム「LTE」一色に染まった同イベントで、米国の通信事業者は周波数不足を訴え、将来を切り開くサービスをアピールした。LTEで先行する米国の最先端の動きは、これからLTEでの競争が本格化する日本の通信事業者の未来を映す鏡ともいえる。

■閑散としていたCTIAに活気が戻った理由


米4大通信事業者のCEOが一堂に会したCTIAの基調講演
 CTIAはここ数年、リーマンショックの影響もあって閑散とした印象があったが、今年は盛況だった。会場内を歩いてまず感じたのは、各社ともLTEに力を入れていることだった。業界大手のベライゾン・ワイヤレスとAT&TモビリティーによるLTE競争が過熱していることが背景にある。

 メーカー各社もLTE対応端末の展示を展示していた。大手メーカーでは韓国LG電子、台湾HTC、京セラ、中国の華為技術(ファーウェイ)、同ZTEが顔をそろえていたが、それ以外のメーカーもLTE対応端末に力を入れていた。

 5月3日にロンドンで新製品「GALAXY S3」を発表した韓国サムスン電子は、CTIA会場内にはブースを設けなかった。それでも報道機関向けにイベントを開催し、米国で新端末のS3をお披露目していた。

 今回のCTIAで最も注目すべきイベントは、初日に開催された米4大通信事業者の最高経営責任者(CEO)が一堂に会する「Beyond-LTE」と題した基調講演だった。ベライゾンとAT&Tに加えて、スプリントネクステルとTモバイル USAのCEOが顔をそろえた。(続き有り)

ソフトバンクに「プラチナバンド」 悲願の周波数帯、「つながりにくい」に対応へ

2012年04月20日 | ICT/電波政策
ソフトバンクに「プラチナバンド」悲願の周波数帯、「つながりにくい」に対応へ[通信]毎日フォーラム~毎日新聞社

 携帯電話向けの良質な周波数帯「プラチナバンド」のうち900メガヘルツの割当先にソフトバンクモバイルが決まった。「つながりにくい」との批判があった同社にとってプラチナバンド獲得は悲願だった。

 スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)が爆発的に普及して通信混雑が深刻化する中、携帯電話会社各社は「プラチナバンドは良質な通信確保の切り札」とみている。一方で、自社機器のデータ処理能力増強やソフト改良など多角的な対策を取らなければ、通信混雑の解決にはほど遠いと言えそうだ。

 プラチナバンドは、700~900メガヘルツ帯。携帯電話会社が主に使用しているのは高周波で波長の短い1ギガ以上の周波数帯だ。これに対してプラチナバンドは、波長が長いため、建物や障害物にぶつかりにくく、回り込んで遠くまで届きやすい。携帯電話会社では、NTTドコモとKDDI(au)が800メガヘルツ帯を有していた。

 総務省は700メガヘルツ帯と900メガヘルツ帯で地上アナログ放送やタクシー無線に使われてきた周波数帯を再編。その結果、空き領域ができ、通信混雑緩和のために携帯電話会社に割り当てる方針を決定した。昨年、第1弾として900メガヘルツ帯のうち30メガヘルツ分を1社に割り当てることを明らかにした。

 1月に締め切られた公募には、ドコモ▽KDDI▽ソフトバンク▽イー・アクセスの携帯電話会社4社すべて名乗りを挙げた。総務省は各社から出された事業計画を元に審査した。主な基準は、プラチナバンド運用計画の充実度▽通信混雑のひっ迫具合▽既にプラチナバンドを有しているか---などだ。その結果、ソフトバンクが最高点を獲得した。総務省は2月29日の電波監理審議会に審査案を諮問、「妥当」との答申を受けたため、同社を割当先に決定した。

 同社選定の決め手は、900メガヘルツ帯利用の開始時期が7月、と4社の中でもっとも早かったことだった。これには、12年度からの11年間で8207億円を費やす整備計画も寄与したとみられる。また、4社の中でもっとも通信混雑が深刻でプラチナバンドを有していないことも優位に働いた。

 参入が遅れたソフトバンクは契約数で業界3位。しかし、近年は米アップル社製のスマホ「iPhone(アイフォーン)」の販売や割安な料金体系で利用者を伸ばしてきた。1月の契約数は、NTTドコモ5971万件、KDDI3447万件に対してソフトバンク2806万件と、徐々に2社との差を縮めている。

 しかし、通話エリアが狭く、都心でも「つながりにくい」との批判があった。そのためプラチナバンド割当は同社にとっては悲願だったのだ。孫正義社長は割当決定から一夜明けた3月1日「やっと念願がかなった。『どこでもつながるソフトバンク』を意地でもやる」と語り、プラチナバンド獲得を利用者増のテコにする意気込みを見せた。(続き有り)

電波オークションへの期待はやっぱり裏切られた。

2012年03月20日 | ICT/電波政策
電波オークションへの期待はやっぱり裏切られた。市場へのチャレンジャーに厳しい900MHzの周波数付与方式の問題部分 2012年03月20日(火) 吉川尚宏

 少なくとも「オークションの考え方」を導入しているからには、多少は「オークション」の香りがするかと思ったが、見事なまでにその期待は裏切られてしまった。

 2012年2月28日に総務省は「3.9世代移動通信システムの普及のための特定基地局の開設計画の認定」を行い、その結果、プラチナバンドといわれる900MHz帯の30MHz分の免許はソフトバンクモバイル株式会社に付与されることになった。

 筆者は従来から900MHzの周波数付与方式には経済合理性がないことや透明性が欠けていることを批判してきた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/25391)。特に入札価格に上限価格を設定していること、しかもその数値はバーチャルな数値であって、事業者が実際に負担する金額でもなければ、預金残高等を提示する必要がある金額でもないことについては、経済合理性が全くないことを主張してきた。

 結果はどうだったか。各社の入札金額は次のとおりであった。

・イー・アクセス        2,109.04億円
・NTTドコモ             2,100億円
・KDDI/沖縄セルラー電話    2,100億円
・ソフトバンクモバイル     2,122.5億円

 各社、上限価格2,100億円とするか、2,100億円を少し超えた金額で入札を行っている。ちなみに、この入札金額は上限が2,100億円であるため、2,100億円を超えていても何ら意味はない。ここではソフトバンクモバイルの入札金額がもっとも高いが、ソフトバンクモバイルが今回選ばれたのはこれが理由ではない。いくつかの評価基準があるが、もっとも有力な理由は割当周波数帯・契約数の程度である(これについて後述する)。

 2,100億円が上限であるにも関わらず、イー・アクセスとソフトバンクモバイルが2,100億円を微妙に上回る入札を行っていることについては、筆者はある種のシグナルを感じる。すなわち、入札金額面でも最大限の努力をしているというアピールをしたい一方、大きく上回ると上限なしのオークションと同等と捉えられてしまうことを懸念しているように感じられる。いずれにせよ、今回明らかとなったのは1MHz当たりの周波数の価値は、非常に少なく見積もっても70億円を下回ることはない、ということである。(続き有り)

相次ぐ携帯電話の通信障害 データ通信量の急増への対応が後手に

2012年03月01日 | ICT/電波政策
相次ぐ携帯電話の通信障害 データ通信量の急増への対応が後手に[通信]2012年03月01日(木) 毎日フォーラム

 昨年から携帯電話で通信障害が相次いでいる。このうち業界最大手のNTTドコモによる通信障害は、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)の普及で急増するデータ通信量にインフラ整備が追いつかなかったことが主因だった。携帯電話各社は混雑する通信をさばくための設備投資や、データ使用量が多いヘビーユーザー対策に腐心するが、万全の対策は見いだせないのが現状だ。一方、総務省も、通信障害を相次いで起こした業界1、2位の2社を行政指導すると共に、技術基準見直しなどの対策をまとめる方針だ。

 ドコモでは、昨年6月以降計5回の通信障害を起こしている。このうち1月25日の通信障害は、東京都の14区内で、従来型携帯電話とスマホ双方の通話、メール、データ通信が3時間半にわたって不能に陥った。平日の昼間とあって、商用の電話やタクシーの決済システムができなくなるなどビジネスへの影響も大きかった。

 総務省は1月26日、「スマホへの対応が十分でない」としてドコモを行政指導した。ドコモは山田隆持社長ら6人を減給処分するとともに、通信設備増強のために4年間で500億円の追加設備投資を決定した。

 スマホの特徴は、携帯電話会社以外の事業者や個人が製作したアプリ(アプリケーションソフト)を利用して、機能を増やせることだ。しかし、1月25日にドコモで発生した通信障害では、この長所が裏目に出た。

 ドコモの多くのスマホで採用している米グーグル社製の基本ソフト(OS)「アンドロイド」は28分に1回、接続状況を基地局に知らせるために制御信号を発している。また「無料で通話やメールをやりとり」「地図上で道案内」などの機能を持つアプリを組み込むと、使っていない時でも、位置情報やアプリの更新情報を知らせる制御信号を3~5分間隔で送受信する。ユーザーがスマホ端末を使っていなくても、知らないうちに一定のデータが流れていることになる。そこに電話やネット閲覧のデータ通信が加わると、携帯電話会社の機器に負荷がかかり、異常が発生する。(続き有り)

日本のホワイト・スペース政策は大丈夫か 危機に立つ米国のスーパーWi-Fi

2012年02月18日 | ICT/電波政策
日本のホワイト・スペース政策は大丈夫か 危機に立つ米国のスーパーWi-Fi 2012年02月18日(土) 小池良次 現代ビジネス

 1月末、米国初のスーパーWi-Fi(ホワイト・スペース)活用サービスがノースキャロライナ州のニュー・ハノーバー郡で開始された。しかし、サービス開始を祝う関係者の心中は決して穏やかではない。現在、連邦議会では"ワイヤレス関連法案"が乱立し、その行方によっては「スーパーWi-Fiビジネスが頓挫する」からだ。保守的な姿勢を示す米連邦議会に対し、電波開放を進めてきた連邦通信委員会(FCC)や民間ロビー団体は苛立ちを隠せない。日本政府は米国を追ってホワイト・スペース政策を進めているが、先行する米国では暗雲が垂れ込め始めている。

米国のスーパーWi-Fi政策とは

 積極的な電波開放政策を進めるバラク・オバマ大統領の意向を受け、FCCは2010年9月23日(現地時間)にデジタル・テレビ放送のホワイト・スペースを「スーパーWi-Fi」と命名して正式開放した。

 以来、FCCの支援を背景に、グーグルやマイクロソフト、シスコ・システムズやスペクトラム・ブリッジ(ホワイト・スペースを狙うベンチャー企業)などが中心になって、同サービスの実用化に力を入れてきた。

 皆さんにとってホワイト・スペース(White Space)は、聞き慣れない言葉に違いない。日本語では「未利用周波数帯域」などと訳されている。たとえば、テレビには番組が映らないチャンネルがある。この見えないチャンネルは、その地域で利用されていない電波で、これをホワイト・スペースと呼ぶ。

 米国の「スーパーWi-Fi」は、テレビ用の電波なので"TVホワイト・スペース"とも呼ばれている。その用途としては、無線LANの代替として家庭やオフィスの無線ネットワークに利用することや、携帯基地局向けの集線網(基地局とネットワーク・センターを結ぶ部分)などへの利用が期待されている。(続き有り)

皆でインフラを支えよう、場合によっては値上げもあり

2012年01月31日 | ICT/電波政策
 長く通信業界の調査・コンサルティング業務に従事する野村総合研究所(NRI)上席コンサルタントの北俊一氏。北氏は、目前に迫るモバイルトラフィックのひっ迫に対して「皆でネットワークを守っていく議論が必要」と訴える。犯人探しをする議論よりも、建設的な解決策を求めるべきという立場だ。

(聞き手は堀越 功=日経コミュニケーション、取材日:2011年10月11日)
スマートフォンへのシフトによるトラフィック急増によって、モバイルのネット中立性の問題が浮上しつつある。


野村総合研究所 上席コンサルタント 北 俊一氏
[画像のクリックで拡大表示]
 私が構成員を務めた2007年の総務省のモバイルビジネス研究会のときに、携帯電話もパソコンのようにもっと自由にすべきという話があった。そのとはにはまだ、モバイルのネット中立性の話は出ていなかった。まさか日本でもこんなに早くモバイルのネット中立性の話になるとは思わなかった。それは、スマートフォンという携帯電話事業者がコントロールできない端末が流入してきたことに尽きる。
皆でインフラを支えよう、場合によっては値上げもあり
野村総合研究所 上席コンサルタント 北 俊一氏 2012/01/31 ITPro


 例えば、NTTドコモの従来型携帯電話機(フィーチャーフォン)には、高度な帯域制御の技術があるという。基地局と端末の間が混んできたときに、周囲の状況を見ながら遅いけれども通信は途切れないという制御しているようだ。

 それに対して、ドコモのネットワークにスマートフォンが初めて入ってきたとき、「異質なものがドコモのネットワークに入ってきた」とドコモの技術者の人が話していた。周りの端末と調整せず、つながりにくいときはもっと帯域を増やす要求をするという、他の端末にも影響を及ぼす仕様になっているというのだ。

 そんなスマートフォンが、まさに販売台数の半分以上になっている。ドコモのトラフィックはきっと大変なことになっていると思う。

 とはいえ海外では、日本以上にモバイルのネット中立性の話は盛り上がっている。モバイルインターネットは日本と韓国以外はごく一部の国でしか広まっていなかった。これらの国ではデータトラフィック用の投資は進めてこなかったが、そこにいきなりiPhoneが登場した。すぐにネットワークがひっ迫してしまい、日本よりもモバイルのネット中立性の話は盛り上がっている。

 米国では、携帯電話事業者の意見も尊重しつつ、コンテンツプロバイダーの自由度を防がないというせめぎ合いが起きている。欧州では携帯電話事業者のほうが若干強く、コンテンツプロバイダーに費用負担させるべきという話も出ている。

日本ではどのような整理、解決策があると考えるか。

 ネット中立性のアカデミックな話をしても神学論争になる。目前に迫った日本のモバイルトラフィックのひっ迫という事態にどう対応していくのか、関係者で課題を解決していく議論が必要と私は考える。

 携帯電話事業者にとって自分たちのネットワークを守らなければならない。でも値上げもしたくないはずだ。

 ただモバイルの場合、固定ブロードバンドと違って複数ユーザーで帯域をシェアしている点に根本的な違いがある。混んでいる電車に大きな荷物を持ってくると、他の人に迷惑がかかる。大きな荷物を持った人を乗せない、超過料金を取る選択肢もあるだろう。

 私の意見は、このようなユーザー間の公平性を担保するために、携帯電話事業者が料金を変更するのはやむを得ない、値上げしてもよいという立場だ。

 ただし、ユーザーに利用を抑制させることはあってはならない。できれば多くのユーザーがデータ定額制を使えるようにしていきたい。そうするために、どうするべきか、しっかり議論すべきだ。そこへの解はたくさんの組み合わせがある。周波数帯の付与の前倒しやLTEなどへの移行の加速、無線LANオフロードなどだ。(続き有り)

野田首相、蓮舫大臣に反旗を翻した川端総務相

2011年12月06日 | ICT/電波政策
野田首相、蓮舫大臣に反旗を翻した川端総務相
「電波オークション前倒し実施」を総務官僚が全力で阻止に乗り出した 2011年12月06日(火) 町田 徹

 携帯電話の周波数オークションの実施前倒し議論が、閣僚の造反劇や閣内不一致騒ぎに発展してきた。 

 きっかけは、川端達夫総務大臣が1日の国会答弁で、「900、700MHzの3.9世代携帯電話への割り当ては、急増するトラフィックへの対応が急務であり、5月の法改正に基づいて既定方針通りに進めたい」と、天下り団体への巨額の資金供与を目論む総務官僚や、格安で周波数を手に入れたい携帯電話事業者に肩入れする発言をしたことだ。

 その舞台裏では、総務官僚が政治力を駆使して強行突破の構えをみせている。大手紙の中には、1面で「電波オークション行わず」との大見出しを付けた記事を掲載して総務官僚を側面支援する動きまで出てきた。

 震災復興や財政再建に役立ち、増税圧縮に繋がる財源作りを潰す行為だけに、蓮舫行政刷新担当大臣は記者会見で「所管府省に具体的な検討を求めた総理の発言は重い」と怒りを露わにした。

 国民共有の希少資源である周波数の無駄遣いは黙認できない。公益を顧みない総務省から権限をとりあげて、別の部門に委ねた方が改革が進むのではないだろうか。就任からほぼ100日。野田佳彦政権は試練を迎えている。(続き有り)



周波数オークションは携帯電話会社にとって本当にBad Newsなのか?

2011年12月01日 | ICT/電波政策
周波数オークションは携帯電話会社にとって本当にBad Newsなのか?
~周波数の供給を拡大するリアルオプション型オークション制度の提案~ 2011年12月01日(木) 吉川尚宏

携帯電話会社は優れたデベロッパー

 たとえてみれば、携帯電話会社は三井不動産や三菱地所のような優れた都市開発のデベロッパーなのである。もっとも、大手不動産会社とは異なり、自ら不動産は保有しない。市場価格で取引される定期借地権を購入し、非効率的に利用されている不動産を付加価値の高い不動産へと蘇らせる事業を営んでいるのである。

 周波数オークションとは周波数の効率的な利用を促すインセンティブシステムであるが、もともと優秀なデベロッパーによる、より付加価値の高い不動産利用を動機付けるシステムであるだけでなく、優秀なデベロッパーである彼らに地上げを促し、土地を取得させるシステムでもある。周波数オークションをめぐる議論の中で、後者の点はこれまで見落とされがちだったのではないだろうか。

携帯電話会社にとって、周波数オークションはBad Newsか?

 11月21日に開催された行政刷新会議では電波行政のあり方もとりあげられ、第3.9世代携帯電話からオークションは導入すべきであり、またオークション収入は一般財源とすべきという提言がなされた。ただ、その後、携帯電話会社や総務省からはこの提言方針に反対する動きも出ているという。http://gendai.ismedia.jp/articles/-/27991

 特に第3.9世代携帯電話用の周波数である900MHzからオークションを導入することについては、法案改正が間に合わない、制度設計に時間がかかるという声も出ている。周波数への需要は今後も増加するが、基地局の増設、WiFiの活用など、需要増加への代替的対応策は存在する。たとえば最も周波数が逼迫している通信キャリアといわれるソフトバンクの場合、1MHzあたり45.2万の加入者を抱えているが(2011年10月末現在)、NTTドコモの場合は同数値は42.2万で大きな差異はない(ちなみにKDDIは37.6万である)。基地局の増設やWiFiへのオフロードである程度、逼迫は解消するであろう。

 制度設計に要する時間も本質的な問題ではない。だいたい、900MHzの開設指針(案)など、改正電波法が今年の6月1日に公布されてから、わずか4ヵ月余り後の10月21日に公表されているくらいなのである。

 むしろ、携帯電話が飽和状態にある中で周波数オークションが導入されることが、業界に新たな経済的負担を生むというのが大筋の見方であろう。だが、この見方は真実であろうか。

 筆者は実は現在、通信業界には大きな構造変革が起きていると考えている。それは固定ブロードバンドから無線ブロードバンドへのシフトである。今後5年間で、固定ブロードバンド市場は年平均1.9%しか伸びないが、無線ブロードバンド市場は年平均で9.1%成長し、また携帯電話市場も年平均で5.6%増加し、2011年度の6.9兆円が2016年度の9.0兆円へと2.1兆円増加するという予測も最近出てきている。
http://www.nri.co.jp/news/2011/111124.html

 単身の若年層などでは、固定ブロードバンドなしで、無線ブロードバンドだけで生活するというようなケースも今後大幅に増加するであろう。これは固定通信事業を営むものにとっては大きな脅威だが、携帯電話事業を営むものにとっては新たな機会である。

 携帯電話における定額制のデータ通信の導入は、消費者の料金高騰への不安を緩和し、ユーザー層拡大に貢献した反面、収入の天井を自ら構築することになってしまった。ただ、ここ最近、再び従量制が導入される傾向にあり、携帯電話のARPU(月額利用金額)は上昇する可能性も出てきている。(続き有り)

蓮舫大臣に孫社長が肘鉄を食らったワケ 周波数オークション潰しは許されない!?

2011年11月29日 | ICT/電波政策
蓮舫大臣に孫社長が肘鉄を食らったワケ 周波数オークション潰しは許されない!? 2011年11月29日(火) 町田 徹

「まだ仕分け期間中ですから、関係事業者の方とはお会いできません」---。

 11月21日夕刻。行政刷新担当の蓮舫(れんほう)大臣が、ソフトバンクの孫正義社長にきつい肘鉄を食らわせた。孫社長が、事務局長として自然エネルギー協議会(会長:石井正弘・岡山県知事)の緊急提言を手渡すという名目で内閣府を訪ねたにもかかわらず、話題を変えて「仕分けの結果について、お話ししたい」と切り出した途端の痛撃だったという。

 関係者の話を総合すると、孫社長は、政府の行政刷新会議(議長:野田佳彦首相)がこの日の朝、東日本大震災の復興増税に伴う国民負担を軽減する狙いで打ち出した携帯電話の周波数オークションの導入前倒し方針に抗議したかったらしい。

 総務官僚が裁量的に割り当てる従来の方式ならば、ソフトバンクが格安のコストで周波数を取得できるとみられていたのに、事態が急変し、孫社長が焦ったのではないかというのだ。実際、孫社長は直後のぶら下がり会見でも方針変更への不満をぶちまけた。

 このところ、新たな経営の柱として取り組み始めた再生可能エネルギーの振興だけでなく、本業の携帯電話事業でも、すっかり政商ぶりが定着した感のある孫社長。民主党の落選議員を天下りで受け入れて以来、その我田引水の主張はとどまるところを知らない。軌道修正しないと、まともな経営者として尊敬される日は来ないのではないだろうか。

 携帯電話の周波数オークションとは、文字通り、携帯電話サービスに必要な電波の配分にあたって、競争入札を行い、その結果に従って電波を割り当てること。

 事業者のビジネスモデルの優劣を総務官僚が裁量的に判断する、現行の「比較審査方式」(ビューティコンテスト方式)と違うのは、何と言っても透明性が高いことにある。加えて、多額の税外収入が期待できることもあり、先進国クラブの異名を持つOECD(経済協力開発機構)の加盟国(34ヵ国)を例にとると、すでに31ヵ国が導入を済ませている。(続き有り)

政策仕分けで葬られた「電波社会主義」市場原理を導入しないと通信インフラがパンクする

2011年11月24日 | ICT/電波政策
政策仕分けで葬られた「電波社会主義」市場原理を導入しないと通信インフラがパンクする 2011.11.24(木)池田 信夫 JBPress

「電波の割り当てが始まる前から、どこの社が電波をもらうか決まっているという揣摩憶測(しまおくそく)が流れている。これは非常に不健全だ」

 11月21日に行われた「提言型政策仕分け」の2日目に登場した民主党の仙谷由人政務調査会長代行は、総務省の説明に言葉を荒げた。

 この日のテーマは「電波政策」。電波を市場原理で配分する周波数オークションについて、有識者の仕分け人は8人中7人が賛成したが、総務省は「時間がない」などという理由で抵抗した。これを聞いていた仙谷氏が、珍しく語気を強めて総務省を批判したのだ。

 「時間がないなどというのは、理由にならない。オークションについては民主党も10年前から言っており、総務相も副大臣も議員立法の提案者だ。国会にそのむね説明すれば、夏まで待たなくてもいい」

 周波数オークションについては、2010年の閣議決定で「オークションの考え方」を導入することが決まり、11月に総務省は「第4世代携帯電話ではオークションを行う」と発表した。ところが、なぜか来年から行う「3.9世代」の周波数割り当てだけは今まで通りの比較審査で行うというのだ。

 その理由が「時間がない」というのも奇妙な話だ。民主党は2009年の総選挙でも周波数オークションの実施を政策に掲げ、総務省の電波部に対してたびたび実施するよう圧力をかけてきた。ところが電波部は抵抗を続け、今年の電波法改正にもオークションを入れなかった。彼らが2年も時間を空費したために、法案化の時間がなくなったのだ。

 世界の主要国の中で周波数オークションを実施していないのは日本だけだ。官僚の裁量で電波を割り当てるのは、アジアでも中国と北朝鮮ぐらいしか残っていない電波社会主義である。

 それほどまでして彼らがオークションを嫌うのはなぜだろうか。

ポケットマネーと天下りを守る総務省

 これには日本の国家予算に特有の事情がからんでいる。1990年代にもオークションを実施すべきだという議論があったが、郵政省(当時)は実施を拒否し、その代わりに電波利用料という制度を設けた。(続き有り)

大手と新興が激突、LTE巡るサービス競争 日本は対岸の火事か ITジャーナリスト 小池良次

2011年10月06日 | ICT/電波政策
大手と新興が激突、LTE巡るサービス競争 日本は対岸の火事か ITジャーナリスト 小池良次

 米国時間の9月19日、携帯電話大手のAT&TモビリティーがLTEのサービスを開始し、米国はトップ2社による高速モバイルサービス競争に突入した。業界3位のスプリント・ネクステルも10月上旬にLTEネットワークの整備計画を発表するとの噂が飛び交っている。さらに新興通信事業者の動きも活発化しており、大手を交えた合従連衡の駆け引きが激しさを増している。

■トップ2社の戦いにスプリントが参戦

 2010年末にLTEサービスを開始し、ネットワーク整備で先行するベライゾン・ワイヤレスは、11年8月に15都市を追加し、さらに9月には26都市で開業して約143地域までエリアを拡大した。提供地域の人口は1億6000万人を超え、11年末までに1億8500万人を達成する予定だ。

 下り方向の実行速度で5メガ~12メガビット/秒が出るベライゾンのLTEサービスは、12年中ころまでに全米主要都市で利用できるようになる。対応携帯として米モトローラ・モビリティの「Droid Bionic」や韓国サムスン電子の「Droid Charge」などを続々と投入。約10機種をそろえた。タブレット端末ではサムスンの「Galaxy Tab 10.1」が対応したほか、モトローラの「Xoom」もアップグレードで対応可能になった。

 LTEサービスにおけるベライゾンの独走態勢は、業界内に波紋を広げた。TモバイルUSAの買収でベライゾン追撃を図ったAT&Tは、米司法省とスプリント・ネクステルから買収差し止めを求める提訴を受け、もくろみを大幅に変更せざるを得なくなった。

 買収承認を待っていてはベライゾンに引き離されるため、AT&Tは「夏の終わりにサービスを始める」と予告し、9月にアトランタ、シカゴ、ヒューストン、ダラス、サンアントニオの5都市でLTEサービスを開始。11年末までに15都市圏にサービスを拡大すると予告している。目標通りなら、提供地域の人口は約7000万人に達する。とはいえベライゾンとの差は大きく、既存周波数をやりくりしながらLTEインフラの整備を続けることになりそうだ。

 業界3位のスプリントについては、10月7日に開催予定の投資家会議でLTE整備計画を発表するとの噂がささやかれている。現在提供しているWiMAXの再販サービスに加えて、早くて来年初め、遅くとも上半期にはLTEサービスを始めると予想されている。消息筋によると、スプリントはLTEインフラを短期間に集中して整備する方針のようだ。

■3Gサービスで対抗するTモバイル

 業界4位のTモバイルUSAは、買収差し止め訴訟の影響で経営の方向を見失っている。とはいえ急ピッチで進む上位グループのLTE競争にさらされ、既存の第3世代携帯電話(3G)サービスの高速化で対抗している。(続き有り)

「私ならこうする」 ICT政策タスクフォース構成員が「電波オークション制度私案」を公表

2010年12月13日 | ICT/電波政策
「私ならこうする」 ICT政策タスクフォース構成員が「電波オークション制度私案」を公表 政務三役が今週にも決断 2010年12月13日(月) 吉川尚宏 現代ビジネス

立ち退きコストをベンチマークしたオークションなど設計できるのか?

 総務省の「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数ワーキンググループ」が11月30日に提出した「ワイヤレスブロードバンド実現に向けた周波数再編アクションプラン」(以下、「アクションプラン」)の電波オークションに関連する記述をめぐって、依然として論争が続いている(たとえばhttp://news.livedoor.com/article/detail/5188156/)。

 筆者は、上記ワーキンググループの親部会に相当するICT政策タスクフォースの「電気通信市場の環境変化への対応検討部会」の構成員である。10年ほど前に海外で第三世代携帯電話の電波オークションの制度設計にアドバイザーとして関与した経験から、周波数ワーキンググループでも参考人として意見陳述を行っている。ただし、検討時間が不足していたためか、アクションプランでは筆者が指摘した論点はほとんどカバーされてはいない。

アクションプランでは、「移行後の周波数を利用するものを国が選定する際に、移行に要する経費の負担可能額の多寡やサービス開始時期等を踏まえて事業者を決定する方法を導入すべき」、「諸外国で実施されているオークションの導入については周波数再編等具体的施策の早期実現と合わせて、周波数再編の状況も踏まえた本格的な議論を進めることが必要」と記述はしているが、具体的な制度設計像が見えない。

もともと今回の電波オークションの検討は、9月10日に閣議決定された「電波の有効利用のため、周波数再編に要するコスト負担についてオークション制度の考え方も取り入れる等、迅速かつ円滑に周波数を再編するための措置を平成23年度中に講じる」という経済対策が発端となっている。

しかし、そもそも周波数再編に要するコストとオークションで決定される電波の利用価値は金額的に一致するはずがない。立ち退きコストをベンチマークしたオークションなどそもそもできないのではないかと、筆者はICT政策タスクフォースで疑問を呈してきた。

政務三役による最終的な意思決定の時期が12月中旬に迫っていることから、今回の電波オークション制度に関する論点整理を行いつつ、実現可能な制度設計案を提示してみたい。

電波オークションの制度設計の論点

 電波の問題は土地にたとえられることが多いが、土地の場合とは異なり、基本的にはすべて国有地である。この国有地の定期借地権の売買において市場原理を導入することが電波オークションである。しかも今回の場合は、更地の土地を対象とした定期借地権の売買ではない。すでに住んでいる人がいる土地を対象として、区画整理事業も同時に行いつつ、定期借地権の売買を行うというものである。こうした特長を踏まえ、制度設計の論点を整理してみたい。

1. 区画整理に伴うコストは誰が負担するべきなのか?
住民が住んでいる土地の区画整理の方法には大きくは二つある。

(1-a)いったん、国が立ち退き者予定者の定期借地権を買い取って権利を棚上げし、更地にしてから新規利用者に対する入札を行う

(1-b) 国ではなく新規利用者が立ち退き料を負担し、それを原資として立ち退きを支援する

1-aの考え方は米国の周波数再編においても議論されているスキームであるし、今回も検討対象とすべきであろう。ただし、国に財政負担能力があるかどうかは別途議論が必要である。1-bはアクションプランで示唆されている方式である。(続き有り)

1兆円以上の財源を生む「周波数オークション」を業者への配慮で見送った「周波数官僚」

2010年11月23日 | ICT/電波政策
1兆円以上の財源を生む「周波数オークション」を業者への配慮で見送った「周波数官僚」
OECD加盟国では当たり前なのに 2010年11月23日(火) 町田 徹 現代ビジネス

 国家予算の48%にあたる44兆3030億円が国債などの公債金によって賄われるという深刻な財政危機に伴い、消費税の引き上げまで取り沙汰される中で、「1兆円を超す」と見込まれる有望な財源の歳入化が見送られようとしている。

 その財源は、競争入札によって、携帯電話用の周波数を割り当てる「周波数オークション」だ。

 周波数オークションをきちんと財源として確立することが絶望視される背景に、「周波数官僚」による一部携帯電話会社に対するなんとも不思議な配慮と、周波数を利権とみなす発想が存在することは見逃せない。

 周波数オークションとは、文字通り、政府が、放送局や通信事業者に対して、周波数を割り当てる際に、オークション(競争入札)によって決定する方法である。

 これまで日本では、放送局や通信事業者が提出した事業計画書などをもとにして、事業の採算や将来性、安定性などを勘案して、周波数を割り当てる事業者を決める「ビューティ・コンテスト方式」が行われてきた。

 オークション方式は、ビューティ・コンテスト方式と異なり、経済情勢に応じて投機的な高値落札を招き、当該企業の経営やサービスが不安定になる懸念がある半面、周波数の割り当て手続きが透明化するほか、国庫への納付金が増えるメリットがあるとされてきた。


 興味深いのが、大阪大学の鬼木甫名誉教授が作成したレポート「海外における電波オークション落札価格と日本における落札価格の推定」に盛り込まれた内容だ。

 同教授はまず、オークションの普及状況を調査し、すでに米国、英国、イタリア、カナダ、韓国、ドイツ、フランスなど経済協力開発機構(OECD)加盟30ヵ国のうち24ヵ国がオークションを採用しているのに対して、未採用国はスペイン、フィンランド、日本などわずか6ヵ国にとどまると指摘する。

 そのうえで、日本でオークションを実施した場合の推定落札価格を試算している。それによると、大手携帯電話会社の事業者収入をベースに、第3、第4携帯電話向けに帯域幅60MHzの周波数を入札にかけると仮定した場合、推定で、その落札価格は最大約1.3兆円なると見込まれるという。

 だが、当の総務省は、周波数オークションの導入に慎重だ。(続き有り)