ストレングスコーチの個人的なトレーニング日誌&読書感想文

トレーニングについて感じたこと、また定期的に読んでいる専門誌の記事についてのコメントなども書いていこうと思います。

Stretching: Acute and Chronic?

2007年03月19日 | Weblog
今回はリサーチアーティクルなので、要約は意訳で行きます。

Stretching: Acute and Chronic? The Potential Consequences

Stone, M., O'Bryant, H. S., Ayers, C., Sands, W. A., NSCA Journal v28n6 pp66-74


要約(意訳)

ストレッチングは様々なスポーツにおいて多くのアスリートによって行われてきた。一時的なストレッチング、すなわちウォームアップの一部として行われるストレッチングは稼動域を増すために行われるが、同時にピーク筋力、筋力の立ち上がり(RFD)、そして、パワー発揮を妨げる。これに対し、長期にわたるストレッチングはいくつかパフォーマンスを向上するという研究結果も出ている。しかし、そのメカニズムはクリアーではない。短期的なストレッチングは怪我の予防にはほとんど影響がないといわれるが、長期的なストレッチングは怪我の予防に寄与する可能性がある。

感想

このトピックは最近多く議論されているトピックである。この文献で述べていて面白いのはROMの向上と、筋肉およびソフトティッシューの弾性について述べていることである。ご存知のように体の機能は筋肉の収縮によって得られる筋力を用いている。この張力が弱まれば筋出力が弱まるのは非常に理解できる。また、伸張反射によるパワー発揮もまた、弾性力に寄与している。機能的なROMが向上しても弾性力が落ちたら、パワーや伸張反射のタイミングが変化し怪我の原因になることは十分に考えられる。しかし、ストレッチングにより、血流が向上し、ウォームアップ効果があるという研究もされている。したがって、我々は、ROMが最適化(必ずしも向上とは限らない)し、弾性を保ちつつ、血流の向上するウォームアップを考えなければならない。その点で、アクティブな筋収縮をともなうダイナミックストレッチングに関する文献をより研究してみたら面白いと思う。