ストレングスコーチの個人的なトレーニング日誌&読書感想文

トレーニングについて感じたこと、また定期的に読んでいる専門誌の記事についてのコメントなども書いていこうと思います。

ベンチプレススローとジャンプスクワットにおけるパワー出力の高レップ数における変化

2008年02月16日 | Weblog
Change in Power Output Across a High-Repetition Set of Bench Throws and Jump Squats in Highly Trained Athletes

トレーニングされた運動選手におけるベンチプレススローとジャンプスクワットにおけるパワー出力の高レップ数における変化

原文
Baker, D.G., and R.U. Newton. Change in power output across a high-repetition set of bench throws and jump squats in highly trained athletes. J. Strength Cond. Res. 21(4):1007– 1011. 2007.―Athletes experienced in maximal-power and power-endurance training performed 1 set of 2 common power training exercises in an effort to determine the effects of moderately high repetitions upon power output levels throughout the set. Twenty-four and 15 athletes, respectively, performed a set of 10 repetitions in both the bench throw (BT P60) and jump squat exercise (JS P60) with a resistance of 60 kg. For both exercises, power output was highest on either the second (JS P60) or the third repetition (BT P60) and was then maintained until the fifth repetition. Significant declines in power output occurred from the sixth repetition onwards until the 10th repetition (11.2% for BT P60 and 5% for JS P60 by the 10th repetition). These findings suggest that athletes attempting to increase maximal power limit their repetitions to 2 to 5 when using resistances of 35 to 45% 1RM in these exercises.


多くのパワースポーツにおいて、必要なパワーを鍛えるために、様々なパワーエクササイズが行われる。オリンピックリフトに代表されるバーベルを使った爆発的なエクササイズもその一例である。ここでは、オリンピックリフトより技術的に簡易であると考えられる、ベンチプレススロー及びジャンプスクワット(特殊なブレーキ付きのスミスマシンを使用)におけるレップ数とパワー出力の関係について研究している。技術的な違いはあるが、ジャンプスクワットなどはオリンピックリフトに比較的似た種目であり、そのトレーニングメニューを策定する際に効果的なレップ数を知る事は非常に有用な事であると考えられる。
この実験では2つの一般的なパワーエクササイズを1セット行い、最大パワーとパワー維持のトレーニングの中で、比較的高いレップ数でのパワー発揮レベルを追跡したものである。24人と15人のグループのあすリートがそれぞれ10レップのベンチプレススローとジャンプスクワットを60KGで行った。それぞれのエクササイズにおいて最大パワーは、2もしくは3レップ目に測定され、比較的高いレベルで5レップ目まで維持することができた。明らかなパワー発揮の減少が6レップ目からみられ始め、その傾向は10レップ目まで続いた。
この結果から、1RMの35から45パーセントの負荷を行う際、パワーエクササイズのレップ数は2から5の間にとどめるべきであるということができる。

今回の実験では2レップから5レップの間に十分なパワー出力が得られるという結果を見られた。ここで、完全にフレッシュな状態である1レップ目において適正なパワー出力が得られていないと言う点は特筆すべき点である。これには色々な理由が考えられるが、大きなパワーを出力する際には事前にウォームアップに近いエクササイズを行う必要があるのかもしれない。しかし、これはおそらく技術の向上や十分なウォームアップセットを行う事で1レップ目から最大出力を得る事が出来るかもしれないと言う点は否定できないのも事実である。いずれにしてもここで確実なのは6レップ目以降からは明らかにパワー出力の低下が見られる事がわかり、これはより可動域の大きいオリンピックリフトではさらに顕著に現れる可能性がある。しかしながら現実として8レップや10レップのオリンピックリフトは依然としてトレーニングとして行われている。もしこれらが完全に技術習得のために行われるエクササイズであるとしても出力の低下は否めず、従って、誤ったメカニズムでバーをあげる事になりかねない。これはトレーニング効果があまり見られないばかりか、ケガのリスクを飛躍的に高める事にもなりかねない。総合的に見て、ある程度のボリュームのパワーエクササイズをトレーニングの中で行ってゆくためには、パワーが落ちるレベルまでのレップ数を1セットで行わず、多くのセット数を少ないレップ数で行うアプローチが好ましいのではないかと考えられる。