Jake Owen ジェイク・オーウェン Easy Does It

　肩まで伸びたヘアスタイル、カジュアルで粋なルックスが、７０年代ウェストコーストのシンガーソグライターを思い起こさせるジェイク・オーウェンのセカンド・アルバムです。彼の魅力は、とにかく若々しくもスムーズで温かみのあるバリトン・ボイス。その声で歌われるスロー・ミディアムやバラードは、実に心地よい響きを持っています。超！個性的ってな感じじゃないけれども、ミドル・オブ・ザ・ロード的な安定感を求めるのが、ジェイクの音楽を聴く意義だと思います。アカデミー・オブ・カントリー・アワードでは、新人男性シンガー賞を既に獲得していますね。



　オープニングは快調なカントリー・ロック"Tell Me"。スカッと気持ちよく飛ばして景気をつけてくれます。ここら聴くと、ヤッパりイーグルス～ウェスト・コースト・サウンドのフォロワーだなぁ、って感じますね。しかし聴きモノはというと、タイトル・チューンの"Easy Does It"でしょう。ユッタリしたミディアムのリズムで、マイルドなツインギターに導かれ、”夜は長いよ。急ぐ事なんかないさ。リラックスして気楽に楽しもうよ”と、セクシーな低音ボイスで恋人に語りかけます。続く、よりリズムにタメが加わるリード・シングル"Don't Think I Can't Love You"も粘りのあるリードギターが印象的な、なかなかのミディム曲で、ジェイクもエモーショナルに力を込めます。カントリー・シンガーとしての面目躍如ってとこ。それでも角の取れた心地よさは損なわれないところが彼らしい。カントリーらしさがより漂うのが、"Green Bananas"。”僕は青いバナナは買わないよ。クジも買わない。今やっていることが全てなのさ。傘は持たないよ。雨が降ったら濡れていくさ。先の事はアレコレ考えないんだ”とマイペースな若者らしさが歌われる、シンプルな編成のアコースティック・ソング。マッタリして和みの極地。"Anything For You"はチョッと異色のマイナー調のスロー・チューン。ここでのジェイクのバリトンは誠実さに溢れていて、ジックリと聴かせてくれます。



　１９８１年フロリダ州Vero Beach生まれ。双子の兄とスポーツに打ち込み、実はジェイクは元々ゴルファーを目指していたそう。Florida State Universityに2人して通うようになってもスポーツへの執着は変わりませんでしたが、ジェイクに突然不幸が。水上スキーをしている時の事故が原因で、大きな外科手術を受けた結果、ゴルファーへの夢を断ち切らざるを得なくなったのです。 そこで彼が手にしたのが、ギター。子供の頃親しんでいたWaylon Jennings、 Merle Haggard、 Vern Gosdinそして Keith Whitleyらの曲を聴きながら、独学でギターを習得していったのです。そしてキャンパスのバーでカントリー・ソングを歌うようになり、カバーに飽き足らなくなった彼は自身でソングライティングも手がけるように。自身の才能に自信をつけた彼は、あともう少し単位をとれば卒業出来るにもかかわらず大学を中退、ナッシュビルに向かうのです。そこで、ジェイクのプロデューサとなるJimmy Ritcheyと出会い、２人はソングライティング活動を開始、ケニー・チェズニーに"Ghost"を提供するなど、頭角を現してきます。最終的にSony/BMG Nashville とのレコーディング契約を獲得し、その時既に録音を完了していたデビュー・アルバム「Startin' with Me」を2006年にリリース、セカンド・シングルのタイトル・トラックがチャートの6位を獲得する上々のヒットとなったのです。