ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Miranda Lambert ミランダ・ランバート - Wildcard

2019-11-02 | Miranda Lambertミランダ・ランバート レビューまとめ

★2021年「The Marfa Tapes」についてコチラで取り上げました


CMAアワードの女性ボーカル賞を、既に7回も獲得して一時代を
築き、カントリー界を引っ張る存在となって久しいミランダ・
ランバート
。待ちに待った7作目のオリジナル・アルバムが11月
1日にリリースされました。14曲のトラックの内、リード・シン
グルの”
It All Comes Out in the Wash”を含め、1カ月以上前から
7曲も公開され、アルバムのイメージがだいたい掴めていました
が、トレンドのダンス・ビートも程よく取り込みつつも、彼女な
らではのアーシ―なカントリー・ロック集になっていると思いま
す。



もう3年前になる前作
、「The Weight of These Wings」は充
実した(ミランダのアルバムはどれもレベルが高いけど)CD2枚
組でしたが、ブレイク・シェルトンとの離婚後という事もあって
か、幾分ダウナーな感じで圧倒的にスロー曲やトラディショナル
なカントリー・ソングが多かったです。

対して最新作は、すっかり吹っ切れた、活きの良いミランダが
帰ってきた、という感じがします。オープニングの"White Trash"
ではEDMっぽい音も交えてダンサブルに景気づけます。なかなか
カッコいいナンバーです。続く"Mess with My Head"や"Bluebird"
あたりが最近
のトレンドに目配りして、グルーヴィーなノリをアピー
ルする作品です。こういったビートは、アルバムの新鮮度を出す適
度な使われ方をしてると思います。





アルバム全体としてはサウンドにカントリーならではのキレとシャ
ープさに溢れ、”
Locomotive”あたりはミランダ史上一番高速なナ
ンバーではないでしょうか。この人、きっとパンクやグランジを消
化してるだろうから、いくら地位を築こうが、落ち着き払ってしま
う事が無く、こうしたエネルギッシュなナンバーや音を必ず入れて
きますね。



リードシングルとなった"It All Comes Out in the Wash"はトゥ
ワンギーなカントリー・ギターがフィーチャされたナンバー。ビ
デオもリリースされていて、ピックアップ・トラックで泥まみれ
になる、カントリー定番の他愛ないイメージが展開されてます。
ミランダ曰く、”Lori McKenna、Liz Roseそして Hillary Lindsey、
私のお気に入りの愛すべきジャンキー達(麻薬中毒者。ジョーク
です)と書いたわ。生きていると先が見えなくて不安な時や、傷
ついたり、避けてしまいたい事が時々あるわね。それら全ては確か
に過ぎ去って行って、洗われてきれいになるの。私たちが小さかっ
た頃、お母さんはよく言ったものよ・・汚れを気にしちゃダメ。私
はその言葉を誇りに思うの。本当に楽しい作品よ”

南部の姉御です。


”Way Too Pretty for Prison”は、今が旬のマレン・モリス(同じテ
キサス州出身)と共演。いきなりジャラァ~~ンと騒々しいイント
ロで始まり、一転イージーなホンキー・トンク調になるナンバー。
テキサスの土の香りが漂うよう。ポップにもクロスオーバーするほ
ど勢いのあるマレンをこんなユーモラスな(笑い声も聞こえます)
ナンバーで従えるあたりは、さすがの姉御です。



個人的にお気に入りは、カントリー・ロックの"Pretty Bitchin'"。
途中、ブレイクからイントロに戻る処に、ビートルズの”I've Got 
a Feeling"を思い出してしまいました。この手を軽やか歌うミラン
ダにはいつも聴き惚れます。



このアルバムで唯一気になったのが、スロー・バラードに印象的な
曲が見当たらない事。"
How Dare You Love"くらいでしょうか。
前作の"Tin Man"やかつての”The House That Built Me”レベルの
作品をつい期待してしまうのですが、バラードは前作でたっぷり収
録したから、今回は調子の良いナンバーに力を入れたってとこでしょ
うかね。


ヒット・チャート上は女性アーティストに元気がない最近、ハイ
ウィメン
(ミランダもソングライターとして参加)の動きも注目
ですが、大物になっても何をしでかすかわからない、悪戯っぽい
目つきのミランダからも目が離せないと思います。



アルバムには未収録ですが、9月からスタートした”Roadside Bars
& Pink Guitars Tour”のツアー・メイト達~マレン・モリス 、テニ
ル・タウンズTenille Townesアシュリー・マクブライドAshley
McBryde
、Elle King、Caylee Hammack~等と共に、ブルース・
ギタリスト、エルヴィン・ビショップの名曲“Fooled Around & Fell
in Love”をカバーしたビデオもリリースしています。スタジオで皆
をコントロールし、才能を発揮する機会を与えていこうとするミラ
ンダの姿が凛々しいです。


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