Darius Ruckerダリアス・ラッカー - True Believers

　元ロックバンド、Hootie & the Blowfishからカントリー界に移籍して。。。という能書きがもう全く必要無いほどに、カントリー・フィールドでその人気、カントリー・ファンの忠誠心を獲得したダリアス・ラッカー。昨年２０１２年の１０月に、早くも歴史あるカントリー・ラジオ・ショー”Grand Ole Opey”のレギュラー・メンバーに選出された事は、彼の存在が、いかにカントリーファンの心に根付いたかを物語っています。２００８年のカントリー・デビュー「Learn to Live」、前作「Charleston Sc 1966」と来て３作目。ナッシュビルならではの艶やかでポップな音作りと見事に絡む、唯一無二の暖かなダウンホーム・ボイスがとにかく心地よく響く、安定したクオリティの作品になっていますね。

　デビュー作、「Learn to Live」では、結構ソリッドなホンキー・トンク・カントリー調を意識していた彼。本作でも、Old Crow　Medicine Showのブルーグラス曲（ボブ・ディランが共作）のカバーをリード・シングルでヒットさせたり、あちこちでペダル・スティールやバンジョーなどのカントリー楽器をフィーチャーしています。しかし、アルバムの大半はかつてのロックスタイルも彷彿とさせる、ロック・ギターをフィーチャーしたナンバーが占めていますね。ファンの愛を受けて、余裕のある音作りをしてきたのかな。

　そのピークは、やはりこちらもシングルとなった、"Radio"でしょう。一度聴いたら忘れられない大きなギター・リックがナイスなグルーブを生み出します。”ハイウェイを突っ走ってるんだ/誰がDJになりたいんだい？/道路の脇に居場所を見つけて/ラジオで何かを見つけるんだよ/本当に良い曲さ/ラジオで初めて知ったんだよ/お金なんか持ってなかったし行くところもなかった/僕たちに必要なのはラジオだけだったんだ”古きよき時代のラジオ賛歌です。

　この"Radio"でも感じられるとおり、ダリアスをカントリー・アーティストたらしめているのは、その音楽よりも歌詞における飾り気ない物語性と言われています。滑らかなポップ・ロック風のタイトル曲"True Believers"では、２人のカップルが恋に落ち、力を合わせたチャレンジを通じてより良い人生を歩んでいくポジティブな物語が歌われています。まさにカントリーならではのテーマです。一方、"Miss You"では、すっかり冷め切った結婚生活への失望を歌い、離婚率が多いアメリカの難しい現実をも垣間見せるのです。見事なストーリーテラーぶりです。

　ダリアスのカントリー界での人気の秘密は、ダリアスやジェシカ・シンプソンらがこぞってカントリーに移籍した時期に、２人のインサイド・レポートをご紹介したコチラの記事に記載されたことに尽きると思います。地道なファンとの交流を通じて、その誠実な人柄が何より愛され、その歌詞に共感されているのでしょう。