ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Don Williams ドン・ウィリアムス - You're My Best Friend / Harmony / Country Boy

2016-09-03 | カントリー(男性)

最近、少々こだわってアップをしている、カントリー界のレジェンド、ドン・ウィリアムス。全盛期のオリジナル・アルバム・リイシューのご紹介で、「Volume 1 & Volume 2」に続く第2弾です。リリースはイギリスのBGO Recordsというレーベル。ここに納められている3作は、1975年から1977年の期間の、メジャー・レーベル、ABCからリリースされたもの。ドンがメジャー・ブレイクした直後のこの間、6曲ものカントリー・シングル・チャートNo.1をモノにし、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いで時代を創っていた頃の作品郡です。押さえておくべきでしょう。



「You're My Best Friend」は、言うまでもなく、超代表曲のタイトル曲をフィーチャーしたアルバム。"You're My Best Friend"は、Wayland Holyfieldのペンによる、実にメロディアスなバラード。ドンのハートウォーミングな声とのマッチングが奇跡的です。もちろん1位を獲得。Wayland Holyfieldはこの後も引き続き名曲をドンに提供して行く事になります。もう1曲のトップ曲は、"Turn Out the Light and Love Me Tonight"。コチラはドン作品では既に実績あるBob McDillによる、活き活きとしたアップテンポ曲です。アルバムのプロデュースは基本はドン単独であたっており、"Help Yourself to Each Other"や" Don't Wanna Let Go"等3曲のみ、Allen Reynoldsが共同プロデュースしています。ドン・サウンドは既に確立されており、ツボを得たアコースティック・サウンドと適度なストリングスの絡みでリラックスさせてくれますが、エレクトリックなミディアム"Sweet Fever"のジワリとしたグルーブも好きです。アルバム後半は、チョッと楽曲のテンションが下がってくるかな。。。



1976年の「Harmony」は、人気、チャート・アクション上では生涯でピークを究めた時期と言って良いでしょう。アルバム中の2曲、"Til the Rivers All Run Dry"と"Say It Again"が連続でシングルのトップ(「You're My Best Friend」の2曲から数えると、4曲連続!)となり、さらにこの後シングルのみでリリースされた"Some Broken Hearts Never Mend"(オリジナル・アルバムでは2作後の「Visions」に収録)も1位。そしてアルバムとしてもカントリー1位をゲットしており、長いキャリアの中でも最高の成績を納めています。やはり、今年2016年リリースのDVD「Don Williams In Ireland」でも演奏されていた、ドンとWayland Holyfieldの共作、"Til the Rivers All Run Dry"のフォーキーなみずみずしさが特筆です。トップにはなりませんでしたが、"She Never Knew Me"もナイーブで感傷的な名曲。HolyfieldとMcDillの共作です。アルバムとしては、メロウ基調だった前作に対して、アップテンポ曲が増え、異色のインスト"Ramblin'"もあったりで、バラエティ感が増していますね。



1977年の「Country Boy」は、美しいイラストのジャケットに、まず目が行きます。ドンの存在感の大きさと、温かいイメージがよく表現されているのではないでしょうか。LPジャケットが欲しくなります。このアルバムでシングル1位を獲得したのが、そのイメージを体現した「I'm Just a Country Boy」。作者はMarshall BarerとFred Hellerman、新たな顔ぶれです。その他のヒット曲では、3位まで到達した"Rake and Ramblin' Man"(McDill作)、トップ10ヒットの"I've Got a Winner in You"(ドン/Holyfield共作)らを収録しおり、期待通りのレイドバックした音楽を楽しむ事が出来ます。その一方で、常にライブのセット・リストに名を連ねてきた名曲"Louisiana Saturday Night"にも注目すべきでしょう。ケイジャン・ミュージックのビートを隠し味にしたような、印象的なリフを持つリズム曲で、DVD「Don Williams In Ireland」でも観客が踊っていましたね。"Sneakin' Around"でも、エフェクトのかかったギターで新しいイメージを出しており、常に同時代の音を適度に取り込み、チャレンジを怠らなかった姿勢が窺えます。

90年代あたりにビルボードの集計方法が変わり(スーパーマーケットの売り上げも含める等)、それによってチャート上でカントリーが強くなってきた近年とは違う時代である事を考えると、当時の人気の実態は凄まじかったんだろう、と想像してしまいます。なお、「Volume 2」と「You're My Best Friend」の間にリリースされた、「Volume 3」だけはなぜか入手困難なようです。カントリー・シングル・チャートで生涯初の1位を獲得した"I Wouldn't Want to Live If You Didn't Love Me"と、黒人クルーナーのレジェンド、ブルック・ベントンの"The Ties That Bind"が代表曲。ドンがブルック・ベントンを好きだというのは、なるほど!ですが、ドンのルーツの雑食的なところが垣間見え、興味深いです。機会あれば、取り上げたいと思います。


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