ブラック・カントリー・シンガーRissi Palmer、面白い人が出てきました。アフリカン・アメリカンとしては、レジェンドCharley Prideがいましたが、それ以降大物では思い当たらないし。しかし、何も知らずに音だけ聴いたらブラックだとは分からないくらいクリアーで素直、幾分フォーキーな質感を感じる確かな歌声の持ち主です。オープニングの"Hold On To Me"の歌い出しを聴くと少し昔のFaith Hill?という感じがしますが、Faithはもうこんなアコースティック・カントリーは歌わないから、これは貴重な存在。そして何よりも、既に伝統のラジオ・ライブ・ショーGrand Ole Opryに複数回出演しているのです。そのカントリー・シンガーとしての実力は、本場の強面ファンも承認済みなモノです。
CMT.Comによると、確たるヒットシングルもなしにカントリー・チャートにチャートインした画期的なアルバム。その駆動力は、前記のオープリーへの出演と、そしてインターネット。これだけ。MySpaceの自身のWebページや、最近iTunesの音楽配信をしているスターバックスが彼女の認知度を広めたようです。iTunesでのカントリー・チャートではトップ10まで到達したとの事。Rissi自身も”ネットが無かったら、だれも私の事を知らなかったでしょうね”と語っています。
ペンシルベニア州はSewickley生まれ。子供の頃からカントリー・ミュージックが好きだったものの、この方向に将来進む事には疑いを持っていました。ご本人曰く、”黒人のカントリー・シンガーなんていないし、誰も可能性があるとは思わないわ”。しかし転機は12歳の時に家族と共にミズーリ州に引っ越した事。近くのSt. Louis television局がスポンサーをしているTeam11というコーラス・グループに加わったのです。”そのグループはジャンルを問わずどんな音楽でも歌っていたの。もちろんカントリーもレパートリーにあったわ。時代は90年代後半、Shania TwainやFaith Hillがヒットしていた頃でその手の曲もたくさん歌った。楽しかったわ。私はいつもカントリーが好きだったけど、カントリーをプレイできたのはこれが初めてだったの”。
シカゴの大学生時代、ナッシュビルに旅行しDeborah Allen("Rock Me"が好きでした・・・)にデモ・レコーディングをしてもらう機会を得ました。 これをキッカケに、19歳にしてソングライターとしての仕事を得て、大学の方は早々に中退してしまいます。その後住まいはシカゴ~アトランタ~ニュー・ヨークと転々としますが、毎月2週間はナッシュビルに滞在し、作曲関係の仕事を続ける事になります。もちろんそれだけでは食べていけないので、ブティックの店員や住宅ローン会社の秘書などをしながら・・・”私はアメリカ合衆国の全てのメジャーなレコード会社幹部と会ったわ。皆最初は興味を持ってくれるのだけど結局は、黒人のカントリー・シンガーなんて売れない、彼女をどう使っていいかわからない、ってなるの”。そして彼女はソングライターに専念する為に、ナッシュビルに行く事を決意。しかし、”私のマネージャーが、いったんロサンジェルスに行ってみよう、って言い出したの。何か出来ないか見てみようって”。そして、そのロスのパーティーで1720 Entertainmentという独立レーベルのA&R幹部と出会い、Rissiのデモを渡した事をキッカケに、遂にレコーディング契約にこぎ付けたのです。
このデビュー作、音的には今では貴重な、飾り気のないアコースティック・サウンド。そこから醸し出されるのは、とてもナチュラルでフォーキーなイメージです。フィドルやバンジョー、マンドリンそして時にストリングスなども要所でフィーチャーされ、ブラック云々など全く感じない、ピュアなカントリー・ミュージックと思います。楽曲も、過去アワード賞を取った事のあるライター陣との共作(12曲中9曲で)による、まずまずの粒ぞろいです。Patsy Clineの1963年のヒット"Leavin' on Your Mind"が軽やかにカバーされている事もトピックでしょう(これは亡きお母さんのお気に入りの曲だったようです)。リラックスしたい時にはピッタリで、なかなかにありがたい手触りの作品集です。その分安定志向で、まだ彼女ならではの個性はまだ発揮してないのかな。リード・シングル"Country Girl"はカントリー・チャートでは54位とまだまだブレイクとは行きませんが、女性ブラック・アーティストとしては20年ぶりとの事で画期的。しかし、彼女自身は”人種云々ではなく、音楽で語ってもらえる日が来る事を望んでいるわ”となかなかに複雑なよう。そりゃそうですよね。私的には少しソウル的アレンジの"Love You Like of Woman"の個性が気に留まりました。今後がとても楽しみな人です。
●RissiのMySpaceページはコチラです●
うーん、Goodではありませんか。久々に素なサウンドを聴いた感じでリラックスできますね。
素敵なシンガーをご紹介いただき感謝いたします。購入リストに加えさせていただきます。
お礼にDelana・StevensのWelcome・My・Worldをご紹介いたします。タメのある歌声が魅力です。
Delana Stevensは実力派の良いシンガーですね。探せば良いシンガーが沢山いるのがカントリーのいい所です。
Rissiは今年に入って、CMTやGACのWebにバナー広告が出るなど露出してきてるような。Shania TwainやFaith Hillのメガ・スターがこんな形で新しいカントリー・タレントを生み出した事が興味深いです。個人的にはソウル風味を上手く生かして、同じく女ギター侍・Taylor Swiftと東西でタメを張ってくれたらカントリー界が面白くなるのでは?と思っています。
Ruthie FosterのRunaway Soulと言うアルバムのHole in My Pocketと言う曲ですが
アルバム情報の検索で調べたらCountryと出てきたんですが、こんなSoulっぽい歌手がいるんですか? すみません変な質問ですが教えてください。
私、知りませんでした。だから偉そうな事はいえませんが、基本はブルース/ソウル系歌手と思います。RuthieのMySpaceに、そう記載がありますから。曲を聴いたところ、やはり70年代のブルース/ソウルをベースにした音楽のようです。良いですねぇ~。
http://www.myspace.com/ruthiefosterband
カントリーのメッカ、テキサスはオースティンの出身らしくて、この地域のルーツ志向のカントリー・アーティストとステージを一緒にする事もあるのではないでしょうか?そこで、お聞きのカントリー・ラジオで、チョッと趣向の違う(しかし根っこでは共通したものを持つ)、選曲者お気に入りのRuthieを流したのではないでしょうか?音楽がクロスオーバーする一つの事例のように思いました。
やはりソール系の歌手ですか、最近R&Bソールシンガーは少ないですね、R&Bソールの女性歌手も好きですから残念です。