ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Sara Evans サラ・エヴァンス - The Barker Family Band : Live from City Winery, Nashville

2020-08-01 | カントリー(女性)

 

今年2020年、全曲カバーで占めた「Copy That」をリリースした、

そろそろレジェンドの域に達しようかというサラ・エヴァンス。

その、70年から80年代のポップやロック曲をストレートにカバー

した゛怪作゛も興味をそそるのですが、今回は個人的にはより感

銘を受けた、2019年のこのライブ・アルバムを取り上げさせてい

ただきます。

 

「Copy That」。写っているのは本人です。

 

バーカー・ファミリーとは、言うまでもなく現在の夫、ジェイ・

バーカーとその子供達のファミリー・バンドだという事になりま

すが、コーラスとリード・ボーカルも多くの曲で披露するオリヴ

ィアと、なかなかツボを得た端正なリード・ギターを聴かせるエ

イヴリーは、前の夫クレイグ・シェルスケとの間にもうけた子供

です。

 

・コチラが本来のお姿

 

バックのサウンドは、エイヴリーが生まれた頃からサラとプレイ

しているという気心知れたドラマーらが奏でる、至極簡素なライ

ンアップによるモノで、何より主役はサラ・エヴァンスの歌声で

す。そして、その声の豊かさ、躍動するリズム感、力強さに本当

に圧倒されました。今を時めく実力者、キャリー・アンダーウッ

ドやミランダ・ランバートですらも、スタイルは違うかもしれな

いけど、このサラには追いつけていない、とつくづく感じます。

そんな彼女の歌い手としての実力を改めて知らしめてくれる盤な

のです。

 

 

曲目の構成は、サラ自身の「Born To Fly」以降のヒット曲を中心

として、アメリカン・ロックの名曲や、子供の頃にファンだった

とコメントしている、カントリー・レジェンドThe Juddsの”Why 

Not Me”。そこに、娘オリヴィアが歌う4曲も交えた全16曲です。

思い入れがあるのか、パティ・グリフィンの"Long Ride Home"

も歌っています。

 

 

オープニング、CSNの"Southern Cross"がまずナイスな選曲です。

サラとオリヴィアらによるコーラスとエイヴリーのギターが気

持ちよく響きます。この他のロック・カバーは、フリートウッド・

マックの"Dreams"、そしてR&Bですがアリサ・フランクリンの"A

Natural Woman"。いずれも超名曲ばかりで、おそらくは幼少期に

自然に親しんだルーツがココらだったんだろうと納得できる選曲

です。なかでもアリサのカバーは堂々とした歌唱で、凄みすら感

じます。

 

 

自身のヒット曲では、出世作であり最大のヒット「Born To Fly」

からタイトル曲は当然として、シングル曲ではなかった"Four-Thirty"

が選ばれている事が興味深いです。「Restless」からも"Otis Redding"

と"Suds in the Bucket"~やはりこの曲、疾走感が凄い!~の2曲が

選ばれていますが、「Real Fine Place」の曲はありません。「Stronger」

「Slow Me Down」「Words」からはそれぞれ代表曲1曲づつです。 

 

 

瑞々しい声を持つオリヴィアは、やはり若さゆえにビヨンセ("XO")、

キャロル・キング("So Far Away")やスティービー・ワンダー("As")ら

のポップ曲を歌っていますが、シンプルな伴奏のおかげか特に違和

感はありません。サラの曲も多くがポップ・カントリー曲であり、

時にファンキーな部分もありますから、いい具合に馴染んでいると

思います。そんな中で、1曲、クリス・ステイプルトンの”Tennessee

Whiskey"では入魂の歌唱を聴かせ聴衆を沸かせます。一方、"Born

to Fly"で少し聴かせるリズミックな歌唱はお母さんとの差が歴然で

しょうか。難しいんです、この曲。

 

サラは、信じられない事ですが、CMAアワードの女性ボーカル賞を

一度も受賞していません。Academyアワードの方も1回だけです。

かし、2017年にリリースされたCMAアワードの一大アンソロジー

DVD「Greatest Moments: 1968-2015」では、3曲("No Place That

Far""Born to Fly""A Little Bit Stronger")のパフォーマンスが収録され

るという、トップクラスの扱いです。自身のレーベルを運営できる

ほど、今も根強い人気を誇るからなのだろうと思います。

 

●全盛期の代表曲を収録した「Greatest Hits」についても、以前レ

ビューしています●


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