ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Luke Combs ルーク・コムズ - What You See Is What You Get

2019-11-16 | カントリー(男性)

デビューアルバムの「This One's for You」が今だにカントリ

ー・アルバムで1,2を争う位置にいて、ポップ・アルバムで

も20位内を維持しているルーク・クームス。そんな凄まじい

人気の最中の、待望のセカンド・アルバムです。しかし、そん

な破格の人気など全く意に介さずといった感じの、素朴なイラス

トのジケットと「見たまんまだよ」というタイトルが、ルーク

のキャラをいっそう引き立たせています。

 

だから、その音の方は当然デビュー作のキープ・コンセプトとな

ります。ただ、「This One's for You」は、確かに現代のポップ・

カントリーの王道をいく音だったのですが、最近のR&B調が溢れ

るのトレンドにあってはなかなかにトラディショナルな楽曲集で

ありました。”When It Rains It Pours”などはウェスト・コ

スト・サウンド風だったりで、90年代のネオ・トラディショナ

ル・カントリーがこんな音でしたね。音楽的にはそういうところ

が、メジャーなカントリー・シーンの中で際立ったのだと思いま

す。

 

 

それに対し、"She Got the Best of Me"くらいから聴かれるよう

なった、華やかで厚みあるギター・サウンドが、このセカンド

ではさらに幅を効かせます。先行EP「The Prequel」でリリース

されていた、”Beer Never Broke My Heart””Refrigerator Door”

あたりですね。何よりルークの魅力である深みあるバリトン・ボイ

スがエモーショナルに迫り、ダウンホームなリズムセクションもそ

れに十分対応します。歌詞の方は、それぞれカントリー定番の酒場

や素朴な家庭の風景を切り取ったものです。

 

例えば”Refrigerator Door”。”96年の最新のJohn Deere(トラ

クター・メーカ)に載った父さん/初めて幼稚園に行った日の5才

の僕/メキシコから送られたいとこのポスト・カード/母さんの

今日のIGA(アメリカの中小の街にある古いスーパーチェーン)での

買い物リスト”などの、冷蔵庫のドアに貼り付けられているありふ

れたアイテムを並べて、どこの家庭にもある温かいイメージを描

きます。そして、96年式John Deere、メキシコ、IGAあたりの

ワードで、カントリーらしさを醸しているのですね。

 

 

その1996年に飛ぶ鳥を落とす勢いの人気を誇っていたブルックス

&ダンが"1, 2 Many"でゲスト参加。この疾走するロッキン・カン

トリー(と、90年代のCMTはこの手を呼んでいた)で、キックス・

ブルックスの掛け声に続いてロニー・ダンがシャープな歌唱を聴か

てくれています。凄いな。間違いなくアルバムのハイライト曲の

一つです。

 

 

タイトル曲"What You See Is What You Get"はフックのあるミ

ディアム曲で、ルークのキャラをシンプルながらユーモラスに表

現しています。”僕は得体の知れない男さ/歩く矛盾だよ/それに

新品には程遠いね/なぜなら見つからない部品があるからさ”~

”夜にうろつき、悪癖が治らない/逃亡するかのように車を飛ばし

/君のハートの虜になっている//僕は見たまんまだよ!”

と、ファン達と等身大でいる飾らない人柄をPRします。

 

 

カントリー・バラードの方では、そのバリトン・ボイスのふくよか

で温かい面が光ります。デモ・レコーディングのようなアーシ―な

雰囲気で始まる”Dear Today”や、ドラマチックでどこか懐かしい

感じの"Nothing Like You"あたり、お気に入りです。これ見よがし

なパワー・バラードでないのが良いです。

 

彼の音楽的志向と、その絶大な人気からすると必然だったでしょう

が、今年、グランド・オール・オープリーのレギュラー・メンバー

に選ばれました。コアなカントリー・ファンからも確かな支持・支

援も受け、ジャケットのイメージに反して、メインストリームの王

を歩む存在になる事が期待されてるのです。無難なサウンドが冗

長に感じる部分も有りますが、良い作品が多いアルバムだと思いま

す。



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