ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Little Big Town リトル・ビッグ・タウン - Nightfall

2020-02-08 | カントリー(女性)

デビューは2002年、CMAアワードでは7回(その内、ボーカル・

グループ賞では5年連続)、そしてグラミー賞でも3回の受賞歴

を持つ、堂々たる実績を誇るカントリー・グループの、2020年リ

リースとなる8作目のオリジナル・アルバムです。このアルバム

からの先行シングル" The Daughters"も、今年のグラミーにノミネ

ートされていました。なんとこの曲、カントリー・マーケットの

主戦場と言えるラジオ局へのプロモーションが一切なかったそう

です。それでも、カントリー・アルバム・チャートで初登場1位を

獲っています。

 

 

先のシングル"The Daughters"からしてそうでしたが、アルバム全

体も穏やかで、陰影に富んだ雰囲気も漂わせる、これまでの彼らと

は一味違う作風になっています。いつもはダンサブルでエモーシ

ョナルなナンバーで景気づける彼らですが、オープニングの"Next

to You"から深み有るコーラスのみ(リード・ボーカルなし)で聴か

せます。軽快なナンバーはタイトル曲”Nightfall”くらいでしょうか。

ビデオがリリースされてる、印象的なイントロの"Sugar Coat"も、

いを帯びたスロー・バラード。それもそのはず、カントリーの定番

のテーマの一つである、夫婦仲の不和をテーマにした重い内容が歌わ

れてるようです。

 

 

実はこのアルバム、ブレイク作である「Tornado」以降、プロデュ

ースを担当してきたJay Joyceから、自身のセルフ・プロデュースに

変わっているのです。それも、完成させた30曲から13曲を厳選す

という大変な労力をかけて完成させています。自分たちが真に表現

したい、じっくり聴かせる音楽を取りそろえた、というところでし

ょうかね。

 

 

フィリップ・スウィートの情熱的なボーカルが印象的なゴスペル・

バラード"Forever and a Night"や、カレン・フェアチャイルドのハ

スキー・ボイスがマッチしたヘヴィなブルース”Over Drinking”あたり

が重厚の極致でしょう。キュートなカントリー・ボイスのキンバリ

ー・シュラプマンは”Throw Your Love Away”で少し雰囲気を和らげ

ます。チョッと異色なのが”Wine, Beer, Whiskey”。トランペットが

喧噪感を煽り立てるメキシカンなナンバーです。彼らは時折こうい

ったエキゾチックな曲で意表をついてくれますね。

 

リトル・ビッグ・タウンが本格的にブレイクしたのは、先にも触れ

「Tornado」ででしたが、00年代からブルージーなテイストも

香る質の高音楽を提供し続けてきた彼らが、こうして長年にわ

たって高みをキープし続けてくれている事がうれしく思います。

他のアーティスト作への客演も多く、その力量が業界でも評価さ

れているのでしょう。今後はヒットにこだわらず、独自の音楽性や

コーラスにますます磨きをかけていって欲しいです。

 

【Little Big Townの以前の記事】

「Tornado」 2012年

「The Reason Why」 2010年

「A Place to Land」 2007年

「The Road To Here」 2005年



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