実母、発熱、救急搬送されたと愚弟から22時にTEL。
『いゃあ婆さん熱出しちゃってさぁ』
毎月検診に行っている病院では、健康体と折り紙付きの94歳。
『何度？』
『最初サァ、手が痛いって言って、7度5分だったんだけど』
『救急車、呼んだのか？』
大昔、サバに当たって食中毒になったとき、七転八倒しながらも『救急車は呼ぶな』と言っていた愚母です。
『呼んでくれって言われた。防護服にゴーグルの救急隊員が7人も来て、アルコールであちこち消毒していた。救急車の中で熱測ったら見る見る上がって8度5分』
『それって・・・』
蟷螂は絶句しました。
傷ついた心臓が不自然な動きをします。
『いま、運ばれた病院で簡易検査しているんだけど、結果待ち。コロナだったら女優のあの人みたいになるのかなぁ』
愚弟の声が震えます。
『オマエは気をつけろ！喫煙者なんだから、オマエが一番気をつけろ！』
愚弟は1日50本の喫煙者、もし感染したら親子の葬式を出さねばならなくなるので、蟷螂の頭の中がパニックに。
どうやらわがまま気ままな愚母は、知り合いの店から毎日浅草の名店グルメをお取り寄せしていたらしいのです。
『バカじゃないの！この時期に』
持ち込んだ物品をアルコール消毒などしていないでしょう。
『とにかくいま、結果待ちだから』
電話を切ったあと、蟷螂の足の震えが止まりません。
感染者の母親に濃厚接触者の弟。
口の中が乾いて苦苦なってきます。
94歳なので予断は許されない状況です。
3、40分して再びTELが入りました。
『なんだか陰性らしい。陰圧室には入らなかった。でも念のために個室に入れたよ』
『わかった、こっちは2時くらいまでは待機する。何かあったらTELくれ。もしコロナだったら申し訳ないけど婆さんは94歳だから寿命だよ。だけどオマエはまだ68だし喫煙者だから、十分気をつけろ！。明日、N95をポストに入れておく』
明日は義母の遺骨を同居人の実家へ納骨まで預かるために引き取りに行く予定にしていました。
そのついでに実家に立ち寄りポストにマスクをインする予定。
明後日はアンテナ工事の立ち会い、明々後日はマンションの理事会、水曜日は同居人のお供でギロッポンとハードスケジュール。
こっちもヤバイ。
胃の具合の悪さは虫の知らせだったのでしょうか？
