蟷螂の独白

世に背を向けた蟷螂です。喜怒哀楽を綴って18年、モットーは是々非々の団塊世代です。

欠けた茶碗

2023-08-13 19:49:00 | 徒然
40数年前、職場にはユニークな人がいた。
高齢?のご婦人で、前職は三省堂の辞書編纂部。
窓の外でカラスが鳴くと、『今日はカラスな気が悪いからこれで帰ります』と言い残して帰ってしまう。
結核で胸の手術をし、その時うつった肝炎で更に身体を悪くして、最後は糖尿も発症。
肩で息をしながら外回りから帰ると徐にデスクの一番下の引き出しからダルマを出して湯呑みに注いで一気に煽るとシャンとする。
職場はアルチューばかりだった。
朝、通勤途中の酒屋で日本酒を一杯ひっかけて出社する人もいたし。
そんな部長を見ていたご婦人が呟きました。
『部長は割れた茶碗をつなぎ合わせているから』
なるほど、上手いことを言うもんだと感心したのも束の間、社長と言い争いをして独立した歳の瀬に、出入りの業者がソファーにもたれかけている姿を最後に、旅立ちました。
動脈瘤の破裂だそうで、呆気なかった。
その部長から翌年年賀状が届き、新年会の席で死去を知らされた時は驚愕しました。
『年賀状が遺書になった!』
事務所で亡くなり、正月を跨いだので、遺体は腐敗が進んでいたそうです。
歳を聞いたことはなかったけれど、40代前半だったと記憶しています。
こう言うことを書くと、『お前も呼ばれているんじゃないか?』などと言う輩もいそうですが、なにせ元職場の先輩方で残っているのは数えるほど。
蟷螂の親父だって73歳と4ヶ月で三途を渡った。
30代の頃は70代の自分の姿を思い浮かべることはできなかった。
なのにあっという間に・・・
少年も壮年も老い易いので、いつも言っているのは、浦島伝説は本当のことではないかと言うことです。
雨のためカラスは流石に鳴いていませんし、今夏は蝉の鳴き声をまだ聞いていません。
野生児の同居人に聞くと、『何回か聴いたよ』ですと。
ま、目以外は極めて健康?



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