5月4日にあっち側の人になったサトちゃん。
去年の年賀状には『すっかり元気になりました』なんて書いてあったから、奥さんから事の顛末を聞いて驚いた。
何年か前に小綺麗に建て直された病院で、肺に小ちゃな影を指摘されたと言っていたっけ。
もっとちゃんとした病院で診てもらったらと言ったけど、結局近所の小ちゃな内科クリニックでレントゲン検査だけ受けていたんだって?
あのとき、『もういいんだよ』なんて笑っていたけど、本心じゃ無いだろう?
東京の東部の病院で、肺がんを内視鏡で取る手術をしている動画を見て、あの日親身になって調べていれば、こんなことにならなかったんじゃないかな。
抗がん剤のキイトルーダは結構効くみたいで、お守りを送った時の手紙に書いたけど、間に合わなかったんだろうね。
無念だよ。
サトちゃんがそっちへ行った日は、深夜、うちのカミさんが原因不明の嘔吐で救急搬送された日なんだ。
サトちゃんがオレの胃癌を知らせようとしたんじゃないかな。
あの日、オレはカミさんに、『内視鏡検査を受けろよ』なんて言ったけど、本当はオレが内視鏡検査を受けなきゃいけなかったんだ。
だけどひと月くらい早くても結果は同じだ。
それよりも4月にサトちゃんが肺がんのステージ4と電話をくれたのも、オレの癌を暗示していたんじゃないかな。
もう三途の渡船場で切符を2枚買ったか?
それともお先にと、ひとりで行ったか?
あるいはアスカと合流して、そっちの飲屋街を飲み歩いているか?
オレがそっちへ行った時には案内してくれよ。
今年は新盆だから、昨日サトちゃんちへお線香を送る手配をした。
どこで眠っているか詳しく聞かなかったけど、オレも毎日線香に火を灯して手を合わせているから、それで勘弁してくれ。